暑くなり、窓を開ける機会も増え、ご近所の音や臭いが気になる季節を迎えました。弁護士のもとにも、隣家の庭で週末ごとに開かれるバーベキューの騒ぎ声や煙、臭いが迷惑だという相談が寄せられています。
悪臭に関しては「悪臭防止法」、騒音に関しては「騒音規制法」という法律がありますが、いずれも工場や建設現場などを対象とする法律で、ご近所などの個人は規制の対象外です。ただし、通常の社会生活を過ごすうえで受忍(我慢)するべき限度「受忍限度」を超えると違法行為とみなされ、損害賠償請求が認められることもあります。
しかし、「受忍限度」には画一的な基準がなく、迷惑行為の立証は難しいとされています。

ご近所トラブルは、マンションであれば、管理会社や大家、一軒家であれば地域の町内会など身近なところに相談するとよいでしょう。

それでも、迷惑行為が収まらない場合は、警察相談専用電話を利用するのも選択肢の一つです。また、損害賠償を求めたいが裁判にはしたくない場合は、弁護士が調停人になり、話し合いによる解決を目指す「紛争解決センター」を利用する方法もあります。

ご近所トラブルを解決する時には、相手と直接話し合わず、迷惑行為の証拠を残しておくことも大切です。

臭いや音などの生活習慣は人により異なることを意識して、隣人への配慮を心がけるとともに、ふだんから良好なコミュニケーションを築くことも大切です。
【出演】札幌弁護士会 弁護士
上村真太朗さん
(2022年6月29 日放送)