NHK札幌放送局

弟子屈の夜空も宝!?

ローカルフレンズ制作班

2021年6月17日(木)午前10時59分 更新

ディレクターが地域に滞在して「宝」を探す番組「ローカルフレンズ滞在記」。6月の舞台は、道東の弟子屈町です。滞在3週目、みなさんに選んでもらった取材テーマ「若い女性が考えた新しい温泉地スタイル」を追って、平原Dは温泉街へ・・・
 ※放送は 6/17(木) ほっとニュース北海道 で

最近、夜空を見上げていますか?
弟子屈町では、こんな満点の星空が見られます。

写真提供:神子島 智樹

滞在期間も3週間目に入り、「テレビ見たよ」「山登り大変だね」など、マチの人たちに声をかけてもらえる事も増え、益々、弟子屈町を身近に感じているディレクターの平原和真です。そんな中、

「私にも弟子屈町の宝を紹介させてください!」

と声を掛けてくれたのは、弟子屈町で手作りアイスクリーム店を営む、神子島 智樹(かごしま・ともき)さん。

その宝とは、市街地から車で40分の場所。午後9時、辺りは真っ暗で、木々しか認識できません。しかし車を降り、ヘッドライトが消えた次の瞬間、頭上には今にも降って来そうな星々。しかし興奮するあまり、最初は気づきませんでしたが、私がいる場所、辺りが匂います。
(同行した川上椋輔さんが暗闇にまぎれて、オナラをしたのだろうと思っていました。)
実はその匂いの正体は硫黄だったのです。

夜空を見上げていた場所は、硫黄山。明治10年から火薬や薬剤などの材料として、道内一の採掘量を誇ったそうです。硫黄の採取により鉄道も引かれ、北海道・弟子屈町発展の一翼を担いました。
この硫黄山を泉源にした温泉地が、昭和に入り道路が敷かれ観光業として急発展します。
それが今回、ご紹介する「川湯温泉」です。


魅力の詰まった川湯温泉

酸性泉(硫黄泉・酸性明礬泉など)のピリピリとした、ちょっと熱めのお湯が自慢の川湯温泉。

昭和の時代、大型バスで慰安旅行や修学旅行、湯治目的の団体客など、肩をぶつけ合いながら人があるくほどの盛況ぶりだった川湯温泉、昭和47年に36軒もの宿泊施設などが軒を連ねていました。
しかし旅行形態や趣向の変化に伴い、平成20年ごろには観光客数はピーク時のおよそ半分に、宿泊施設も現在、12軒にまで減っています。

そんな町に新風を起こしているのが、吉田 祥子(よしだ・しょうこ)さん。(27歳)
福岡県出身の吉田さん、東京での学生時代、“歩く”ことを目的にしたサークルに所属、日本各地を歩く中、北海道の地平線に沈む夕日を見て、その魅力に取りつかれます。

「北海道での旅では感動しすぎて写真撮りそこねたんですよね~」写真提供:吉田祥子

大学卒業後、すぐに弟子屈町の地域おこし協力隊へ応募。
弟子屈町で3年に渡り、トレイル(自然散策)のコースづくりを、地元のガイドたちと行う活動を行いました。

トレイルコースづくりでは、前週のローカルフレンズ滞在記で摩周岳のガイドを行ってくれた、アウトドアガイドで写真家の國分智貴さんとも知り合い、弟子屈町の魅力に益々ひかれていきます。

更に、吉田さんは一度止まっていた、硫黄山の登山コースの再開を企画。
町内認定のガイドが同行すれば、迫力ある自然を楽しめる、今では弟子屈町の観光の目玉となっています。
そんな吉田さんに川湯の魅力を聞くと、即座に返ってきた答えが、“町の人”でした。
吉田さんが“川湯のおばあちゃん”と呼んで親しい鈴木由美子(すずき・ゆみこ)さん。

川湯地区で戦前から菓子店を営む、三代目に嫁いだ鈴木 由美子さん(67歳)、夫の信一さん(67歳)と二人三脚で50種類ものお菓子を作っています。

作っているのは、弟子屈で採られたヨモギやイチゴ、そばなどの食材を使い、
弟子屈町の魅力を味で伝えています。

写真はそばの香りと食感が楽しめるクッキー、吉田さんのおススメはヨモギシフォンケーキ


若い女性が考えた新しい温泉地スタイル

いつも笑顔で迎えてくれる由美子さんの姿を見て、吉田さんは川湯に恩返しをしたい!川湯の未来を自分の力でも創っていきたいと考えるように。

吉田さんは、由美子さんと共に、川湯の歴史を知るお年寄りたちから話を聞き、記録する「てしかが昔語り」(てしかがえこまち推進協議会女性部会)という冊子づくりを一緒に行ったことでした。

冊子の内容は、弟子屈町がまだ舗道でない砂利道だった頃、親と一緒に弟子屈市街地に馬で養豚を何時間もかけて運び、販売を行ったこと。 お正月は白い米やお餅が食べられ楽しかった思い出。
嫁いできたら想像していた生活環境と違い、とても貧しかった暮らし、そんな中でも、 観光地となり始めていた硫黄山の麓での露店を始め、夫と子どもの3人バイクで家から通い、毎日精を出し土産物を売っていたことなど。日常の記憶がつづられています。

吉田さんは活動を通し、先人の苦労や思いを聞き、川湯の歩みを知るとともに、 由美子さんのような町の人たちと共に今後も歩んでいきたい、この魅力溢れる人たちを観光客へ伝える橋渡し役になりたいと思っています。
(てしかが昔語りは現在4冊、川湯温泉街の商店などで見ることができます)

吉田さんは、弟子屈の自然、そして川湯で営む暮らしを知り、川湯の人々との交流を深めていきます。

吉田さんは川湯の次世代を担う人たちと、今、裸足で温泉が流れる川を歩ける遊歩道づくりを行っています。新型コロナウイルスの終息後の川湯の見こし、川湯の自然を肌で感じてもらえる活動はもう間もなく実を結ぶようです。

そんな吉田さん。
当初からの思い「川湯への恩返し」として、「川湯の未来」への取り組みを始めています。
それが、ゲストハウスの運営です。

吉田さんは、温泉地の宿泊施設料金が比較的高いことや、個人では宿泊しづらかった経験を参考にゲストハウスを、今年4月オープンさせました。
ゲストハウスの名前は「NOMY」。“学ぶ”や“深く知る”などの意味があるそうです。

人と人の間をつなぐノミニケーションの意味も・・・。

女性の一人旅。海外からの人。自然に触れることを目的にやってくる人など、
この場所を、旅の情報共有や語り合いができる一期一会の場所にしたいという思いにあふれたゲストハウスです。

吉田さんが、訪れた人たちに知ってほしいことは、弟子屈の大自然です。

連れて行ってくれたのは、硫黄山の麓に咲く、エゾイソツツジの群生地。
白く可憐な花をつける北海道固有種は、硫黄の成分が周囲を包み、過酷な環境下ですが、根を張り、しっかりと花を咲かせています。
自然の力強さを感じさせられる場所でした。

吉田さん:今後、昔のような、川湯へたくさんの人が訪れてほしいわけではないんです。多くの人がやってきて、この自然が壊れてしまっては元も子もありません。弟子屈の自然を未来に向け守りながら、その自然を感じてもらえる一番近い場所に川湯があることを発信しているんです。

温泉に入って一日のんびり過ごすのもステキな旅ですが、アクティブに弟子屈の自然に触れあえる旅のスタイルもここならできる!吉田さんの新しい川湯スタイルが幕を開けています。

2021年6月17日

2021年6月17日(木、24日(木)の「ほっとニュース北海道」で弟子屈町の滞在記を放送する予定です。
北海道にお住いの方は、ぜひご覧ください。

弟子屈町の滞在2週目のウェブ記事はこちらから
自然の恵みに感謝して


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