NHK札幌放送局

高山アナが語る!放送後記

NHK高校放送部

2020年9月4日(金)午後4時21分 更新

「NHK高校放送部」第1弾(恵庭南高校・男子新体操部)と第2弾(富良野高校・少林寺拳法部)の放送をご覧いただいた方は、高校生たちの演技それぞれに「実況」がついていたことに気が付かれましたか…?!

その実況を担当したのが札幌局の高山大吾アナウンサー
普段は大相撲や高校野球をはじめ、スポーツ中継を多く担当しています。
そんな高山アナが、「NHK高校放送部」放送の裏話を語ってくれました!


高校生に完全燃焼して欲しい

Q.高校生の演技に実況を付けようと提案したのは高山アナと伺いました。どんな思いで提案したのですか?

高山:新型コロナウイルスの影響で目標としていた大会や発表の場を失った学生の皆さん、特に高校3年生は本当に悔しい思いをされていると思います。NHKとして、スポーツアナウンサーとして出来ることは何だろうとずっと考えていました。
お節介かもしれませんが(笑)コロナ禍で苦しむ高校生たちの気持ちを少しでも代弁してあげたい。そして皆さんの心に残るものを作ってあげたい……そんな思いで実況をつけることを提案しました。これまで10年間アナウンサーとしてスポーツの取材をしてきましたが、今回の高校生の取材が1番自分の心の中で燃え上がるものがありました。

Q.高校生への熱い思いは、ご自身の高校時代の経験や思い出からくるものでしょうか?

高山:私は5歳から33歳の今まで剣道を続けていますが、競技生活28年の中で最も頑張り、そして心に残っているのは高校時代なんです。今でも苦しいことがあると、真っ先に思い出すのは高校時代の剣道部で過ごした日々のこと。高校3年の最後の大会を前に膝を怪我してしまって。最終的にはなんとか治して出場できました。結果は県大会の初戦で負けてしまいましたが、やり切った思いがありました。悔しさや苦しさも、仲間と過ごした日々も、全てが今の自分を作っていると思います。今の高校生にも、どんな形でも良いので完全燃焼して次のステップに進んで欲しいという思いが強いのは、自分が高校時代の思い出に支えられているからかもしれません。


「実況」で高校生たちの思いを代弁したい

Q.今回取材させていただいた2つの部活はどのように選定したのですか?

高山:まずは全競技団体に片っ端から取材することから始めました。代替大会の有無を確認し、無い部活動をリスト化しました。学校独自や支部で代替大会を開く予定があるかどうかも含め取材を進める中で、少林寺拳法部と新体操部は、一切大会がなく3年生が引退を迎えるという状況だったのです。

Q.普段は大相撲や高校野球などを中心にスポーツ中継を担当する高山アナ。これまで少林寺拳法や新体操に「実況」をつけたことは…?

高山:もちろん初めてです(笑)
入局してからの10年間、スポーツ中継の経験を重ねる中で「実況は目に見えないものを伝えること」ということを先輩たちから教わってきました。技術的な補足、その技を習得するまでの選手の努力や、大会にかける思いなど、目に見える事象だけでは伝わらないことを選手に代わって伝えるのが実況の役割だと思っています。
今回の2競技も同じ考え方で取り組もうと思い、競技の醍醐味や、今回取材した各校の強み、そして高校生1人ひとりの思いや努力の過程を徹底的に取材することから始めました。少林寺拳法も新体操も、実況どころか見るのも初めてだったので、例えば少林寺拳法では「なぜ大きな声で気合を出すのか?」という基本的なことから「なぜ?」を1つひとつ潰していきましたね。

Q.実況の中で、技術的な解説よりも高校生の皆さんのキャラクターやそれぞれの思いが多く語られているのが印象的でした。

高山:そうなんです。大相撲などのスポーツ中継で普段実況を担当する時よりも、「NHK高校放送部」では高校生の気持ちを伝えることを大切にしました。

普段スポーツ中継で実況する際は、逆に技の解説に比重を置きます。もちろん選手のコンディションや思い、練習の過程も徹底的に事前取材し、選手ごとに全員分メモをまとめて当日を迎えます。でも、生放送中に選手のパーソナルな情報をお伝えできるのは、準備した取材メモのほんの一部だけ。ぱっと見ただけでは分からない技の効果やポイントを補足するのが基本です。

でも今回は普段の実況とやり方を変え、生徒たちの個性や思いが伝わる内容にシフトしようということになりました。それは、私以外の取材メンバーの熱い思いがあったからです。

(顧問の先生に取材中。右から高山アナ、ウチヤマ、ソノダ)

私以外にも、恵庭南高校・男子新体操部はソノダ&ウチヤマ、富良野高校・少林寺拳法部はエンドウ&コウダという職員が取材を担当しましたが、この4人は実は全員が入局4年目以下の若手職員。そして普段は番組制作を担当しない部署から集まった取材には不慣れなメンバーでしたが、私が他の仕事の都合でどうしても取材に同行できない期間も、4人が取材を重ねてくれました。高校生が努力する姿を近くで見て、時には雑談も交えてコミュニケーションを重ねたことで、次第に彼らの高校生への愛情は深く強くなっていって。。。高校生の皆さんが重ねてきた努力や最後の舞台にかける思いを、「実況」で代弁してあげられたらという、若手4人からの思いを受けコメントを作っていきました。

若手職員たちが不慣れな番組制作に励みながらも、高校生1人ひとりと丁寧に向き合ってきたからこそ出たアイデアだと思います。取材者として相手に寄り添うことを大切にしてきたつもりでしたが、僕もまだまだだなと反省しましたね。彼らから逆に教わることも多かったです。

(編集作業をする2人。左からコウダ、エンドウ)

そして今回こだわったのは実況だけではありません。例えばカメラ位置を決める時もそうです。それぞれの技のポイント、特に生徒たちが練習を重ねたパートや部としての強み等を本人や先生に取材し、それらが1番伝わる撮影方法を模索しました。とにかく、どうしたら高校生たちが完全燃焼でき満足のいく舞台を作ることができるのかということに、取材班も一生懸命でした。

Q.「NHK高校放送部」以外にも、甲子園で予定されていた夏の全国高校野球大会の中止を受けて道高野連が独自に開催した8月の代替大会でも実況を担当されましたよね。そこでも普段の実況とは違いがありましたか?

高山:北北海道大会の準決勝・決勝で実況を担当しました。前任地も含めて高校野球を担当することは度々ありましたが、これまでで1番選手の思いに寄り添った実況をしようという気持ちが強くありました。「NHK高校放送部」の実況に近いものがあったと思います。
例えばキャプテンの顔が一瞬アップで映った時は「1度はやめたいと思ったキャプテン。チームプレーに徹する部員たちを見てここまで続けてきてよかったと試合前に話していました」とコメントを入れたり。限られた時間の中で、より多く選手のパーソナルな部分を伝えられるよう準備していきました。ベンチ入りの選手も含めて、3年生全員がどんなことを頑張ってきたか隅々まで電話で取材したんです。初めての試みとして、当日の放送でベンチ入りが叶わなかった選手も紹介しました。スタンドで応援している3年生を撮り、名前とともにどんな努力をしてきたか、どうチームに貢献してきたかを伝えました。試合に出られたか否かに関わらず、1人ひとりの思い出に残り、完全燃焼できる大会にして欲しいという、ただその思いだけでしたね。

そういう意味では、私自身もスポーツ実況との向き合い方を改めて見つめ直す良い機会になったのかもしれません。高校野球や「NHK高校放送部」での経験を通して、どんな場面でも1人ひとりのことを深く取材して伝えていきたいと私自身も再認識できました。高校生や選手にとっては1回1回が記憶に残る大切な試合なのだから、実況する時はより丁寧に皆さんの思いに寄り添っていこうと決意を新たにしましたね。


「生徒を救ってくれてありがとう」の言葉

Q.放送を終えて、先生や生徒の皆さんからの反応はいかがでしたか?

高山:生徒たちの“やり切った”という晴れやかな表情を見られたのが何よりも嬉しかったです。「家族に感謝の気持ちを伝えられる舞台にしたい」と事前に話をしてくれていた新体操部の選手が、放送したあとにメールで、家族の喜びの反応を伝えてくれたことも印象に残っています。
他にも、少林寺拳法部の先生から後日頂いたメールの中に「選手たちも完全燃焼して自分の進路に向けて頑張れると思います。救ってくださって本当にありがとうございました」というお言葉もありました。10年アナウンサーをしていて、こんな言葉を頂いたのは私も初めてで、本当にやって良かったと心から思いました。

Q.始まったばかりの「NHK高校放送部」。これからどんな活動をしていきたいですか?

高山:「NHK高校放送部」で最後の舞台を失った高校生たちの悲しみを少しでも解消するお手伝いができるのなら、出来る限り多くの高校生に寄り添い取材を重ねていきたいです。今回放送した2校はNHKからお声掛けし取材させていただきましたが、これからは皆さんから頂いた投稿をもとに取材を進めます。運動部・文化部も問いませんし、部活動でなくても個人でこんなことを頑張っているというお話でも勿論構いません。1人ひとりの高校生がそれぞれのフィールドで頑張っている姿を応援していきたいです。
今回の2校は実況をつけさせていただきましたが、それが全てではないと思います。投稿してくれた高校生たち自身がどんな舞台にしたいかという思いを尊重しながら、私たちも最適な形を模索していきたいです。たくさんの投稿、お待ちしています!

2020年9月4日

NHK高校放送部

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