NHK札幌放送局

厳冬期の製糖工場~放水作業は職人技~

オホーツクチャンネル

2023年1月20日(金)午後3時30分 更新

 冬に24時間フル稼働する工場があります。 収穫したビートから砂糖を作る「ホクレン中斜里製糖工場」を取材しました。(北見放送局・畠澤 宏)

斜里岳の山頂が白く輝く10月下旬、ビートの収穫が最盛期を迎えます。

砂糖はサトウキビとビートが原料です。国内生産の80%がビートを原料とした砂糖です。

ビートは冷涼な地域に育つ植物で、ホウレンソウと同じヒユ科の植物です。根の部分に糖分を貯えています。北海道東部オホーツク海の内陸と十勝地方が主な産地です。ビートから作られる砂糖は北海道で100%生産しています。ホクレン中斜里製糖工場は国内2位の能力を有する大型工場です。

ビートから砂糖を作る工程の多くは自動化されています。しかし、ビートを洗う工程だけは自動化できません。

ドドッーッ。激しい勢いで水が発射されます。大爆音とともに1分間に25トンの水圧で、ビートの泥が取り除かれます。水圧でビートの山が崩れ、工場の中へと流し込まれます。

工場内でビートを裁断できる量が決まっているため、流し込むビートの量を加減しています。

この洗浄・流し込み作業も24時間続きます。厳冬期はマイナス20℃以下になることもあります。ビートの山が凍り付き、作業員の体力も消耗します。そのため作業は2~3時間で交代します。

洗浄・流し込み作業のリーダー吉森優一(よしもり・ゆういち)さん。この作業を10年続け、ノウハウを若手に継承しています。

Q.寒くはないですか?
「仕事ですから・・大丈夫です。夜中の作業は寂しいから歌を歌いながら仕事することもあります。」

「家に帰って、子どもたちと温かいごはんを食べるときが一番幸せ」と話していました。

洗浄されたビートは裁断して糖分を抽出します。熱で濃縮し結晶化させます。
その後、乾燥・冷却しサラサラの砂糖ができあがります。どの工程も密閉されたタンクの中で進んでいきます。確認用の窓から砂糖になるまでの状態を撮影しました。工場内部は汗ばむほどの温度でした。

工場内部
工場内部

毎日6000トン(ダンプカー600台)のビートが工場に運ばれてきます。

製糖工場は10月から冬が終わる4月までの半年間、24時間休みなく動き続けます。

ふだん、なにげなく使っている砂糖。ケーキや料理に当たり前のように使っています。しかし、その砂糖の甘さには多くの人が関わり、私たちに届けられています。

取材に協力いただいたホクレン中斜里製糖工場(左)総務課 上野哲久さん(右)製糖課 小谷剛弘さん

砂糖ができるまでの工程を丁寧に教えていただきました。また、一般には立ち入ることのできない場所の撮影に寒いところ、立ち会っていただきありがとうございました。(NHK北見放送局 畠澤 宏)

2023年1月20日(金)

こちらもおススメ
「そうだったのか テレビの電波「地域が停電になっても」」


関連情報

森林鉄道をいつまでも 遠軽町丸瀬布 雨宮21号

オホーツクチャンネル

2023年6月6日(火)午前11時30分 更新

オホーツクビール 職人の技と思い

オホーツクチャンネル

2022年12月22日(木)午後1時42分 更新

自動販売機で買えます!地域の味覚

オホーツクチャンネル

2023年6月9日(金)午前11時15分 更新

上に戻る