来年春に卒業する、いわゆる“23卒”の大学生などを対象とした、 大手企業の採用面接が6月1日、本格的にスタートしました。
それだけではありません。再来年に卒業する“24卒”の学生に対するインターンシップの説明会もすでに始まっています。
新型コロナウイルス禍での就職活動は3年目に入り、学生にとって採用面接や説明会は今やオンラインが当たり前の時代です。
果たして、その中で就職活動に取り組む学生はどんな思いを持っているのでしょうか。 ことし4月に入局したばかりの新人記者が取材しました。
戸惑う“24卒”の学生たち
札幌市の大型展示場に足を踏み入れると、熱気に包まれていました。
会場で開かれていたのは、対面でのインターンシップの説明会。集まったのは、大学3年生を中心とした、およそ1000人の学生たちです。

おととし入学した学生がほとんどで、授業もオンラインが主だったと話します。その中で開かれた対面での説明会、参加した学生はどんな気持ちで臨んだのでしょうか。
ある学生は…
「大学生になって初めての対面イベントなので、就職関係なく『なんか楽しいな』って」

すごく前向きです。でも、そんな学生ばかりではありません。
「コロナの中で大学に進学したこともあり、人に慣れていなくって。なので、最初、この会場を見たときは『人、いっぱいいる!』って、そこから始まりました」

ラフな服装の学生も多い中、ネクタイを締めた姿も。
「授業もオンラインなので、対面イベントは初めてでした。服装とかも、どうすれば良いか分からないこともたくさんありましたが、ちょっと勇気を出して参加してみました」

勇気を出して…。コロナ禍で学生生活を送った人たちにとって、対面で人と会うのはなかなか簡単ではないようです。
気遣う企業 それでも「対面はいいなぁ~」
会場を見ていると、企業の側もそうした学生たちのことを考えてさまざまな工夫をしていました。
そのうちの1つ、小売り・サービス業の会社のブースは、何やらにぎやかな様子でした。

学生に声をかけて対話しながら、会社のことを知ってもらおうというねらいがあるということです。
小売り・サービス業の担当者
「対面に緊張してしまう学生さんも多いかなと思うので、いきなり距離を詰めすぎないように心がけました。また、ゆっくりゆっくり、一つずつ学生さんに伝わるよう、意識もしました」
中にはクイズを出題して、学生との距離を縮める会社もありました。各社から聞こえてきたのが、「対面イベント」だからこそ、感じられるメリットです。
自動車販売会社の担当者に聞くと、こんな答えが返ってきました。
「対面だと学生さんのリアクションもダイレクトに伝わってくるので、非常に私たちもやりがいを感じました。学生の反応が直接見えることで、自然と会話も盛り上がるんですよね」
記者) クイズもしながら、説明会をしていましたね。
「コロナ禍の状況でもあるので、学生さんに大きな声を出してもらうことが難しい部分もあります。なので、AやBなど、アルファベットが書かれた札を使いながら、学生さんとクイズを行うことにしました。クイズ中は、笑顔になる学生さんもいて、緊張がほどけたかなって。改めてきょうも対面イベント良いなぁ~って感じました」

いまどきの就職活動 専門家の分析は
コロナ禍前は当たり前だった就職活動の光景が、少しずつ戻りつつあります。そのことがかえって学生たちの戸惑いを生んでいる面があるのも事実です。
専門家は、企業側もコロナ禍でさまざまな制約を受けてきた学生の事情を考慮して、採用面接にあたっていると指摘しています。
リクルート就職みらい研究所 栗田貴祥 所長
「企業側も質問の投げかけを変えていて、派手なエピソードじゃなくても、コロナの中で自分なりに工夫して、こだわってやり遂げたことなどを話す形で良いと声がけする企業もかなり多くなっていると聞いています。内容も、大学時代にこだわらず、高校時代や中学時代のように、ちょっと時間軸を伸ばして、何か夢中になったことや、こだわってやってきたことを話せば良いよと」

リクルート就職みらい研究所 栗田貴祥 所長
ことし4月に入局した私も、去年、就職活動をしていました。コロナ禍で授業もオンラインが続く中で、数少ない対面イベントに参加することがあると、前日は緊張で眠れないことがありました。
企業側には学生の不安に寄り添い、お互いの気持ちを確認しながら、採用活動を進めてもらえると、新型コロナウイルスの影響を受けてきた学生たちも安心して就職活動に臨めるのではないかと思います。
(札幌放送局 髙山もえか)
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