NHK札幌放送局

旭川医科大学 西川祐司新学長に聞く

道北チャンネル

2022年4月26日(火)午後6時41分 更新

旭川医科大学の新しい学長に、副学長を務めてきた西川祐司氏(62)が4月1日に就任しました。大学をどう立て直していくのかー。西川新学長にインタビューしました。 (聞き手:NHK旭川放送局 三上晃平記者) 

【旭川医科大学とは】
旭川医科大学は、昭和40年代に道北・道東の医師不足解消と医療水準向上を目指して設置の機運が高まり、昭和48年(1973年)に開学しました。旭川市中心部から南東に5キロほど離れた場所に位置します。付属病院は道北の基幹病院で総病床数は607床、このうち新型コロナ患者を受け入れる専用病床は33床あります。今月(4月)1日時点で、▼学生数は学部が925人、大学院が114人。▼教職員数は常勤が1462人、非常勤が598人となっています。

愛着ある母校 旭川医大

まずはじめに、就任まもない今の率直な気持ちを聞きました。

西川新学長
新しい船出は私にとってはいつもワクワクするもの。今回も希望を持ってできるだけ自分自身楽しむようにしてやっていきたい。

西川新学長は昭和59年(1984年)に旭川医科大学を卒業後、アメリカや秋田県の大学で病理学の研究を続け、平成21年(2009年)に母校に戻ってきました。

西川新学長
旭川医大は小規模の大学だが、それが逆に魅力になっている。私は6期生でこの大学に入ったが、先生方から実にいろいろなことを教わり、非常に愛着を持っている。アメリカにいても秋田にいても旭川医大のことがすごく気になっていた。戻って学生に教えたいという気持ちが強く、一から自分の教室をつくれるのも魅力に感じた。

変わってしまった母校

愛着ある母校に戻ってきた西川新学長。そこで目にした大学運営は…。

西川新学長
戻ってきたのは吉田晃敏前学長が就任して2年ちょっとのころで、印象としてはかなり強いリーダーシップがあると感じた。『大学をよい方向に持っていこう』という気持ちと受け取り、協力していこうと思った。だがその後、物事のほぼすべてを学長と『学長政策推進室』が決めるようになり、ガバナンス不全に陥っていった。長期政権で謙虚さが失われていったと感じる。

旭川医科大学では、おととし(2020年)11月に開かれた学内の会議で、当時の吉田晃敏学長が新型コロナのクラスターが発生していた民間病院を名指しし「コロナをまき散らした」などと発言したとされています。大学は去年(2021年)1月、会議の内容を外部に漏らしたとして、大学病院の古川博之病院長を解任しました。その後、吉田氏は大学の学長選考会議から指摘されたパワハラなどの不適切な行為は否定した上でことし3月、学長を辞任しました。

西川新学長
15年近く上意下達が続いてしまうと、私も含めて大学運営に対し無力と感じてしまう。自分や自分の部局のことのみに意識がいってしまい、狭い世界に閉じこもってしまった。大学を自分たちの力でよくできないという諦めが学内に根付いてしまった。

民主的な大学運営を目指す

混乱した大学をいかにして正常化するかー。
西川新学長は、独善的な大学運営の原因と考える学長直属の「学長政策推進室」を廃止し、形骸化していた「大学運営会議」を中心に協議しながら意思決定する方式に変更しました。

西川新学長
これまでの『大学運営会議』ではほぼ議論がなかった。これからは会議で議論をしてコンセンサスを得ながら、その時点で大学にとって最もよい選択肢を選んで実行していく。すでに数回新しい体制で『大学運営会議』を開いているが、かなり活発な議論が行われている。意見が対立することもあると思うが、きちんと議論することが大切。全員を満足させることは不可能だとも思うが、大学全体として何がいちばんよいのかということは議論する過程でだんだんと見えてくると信じている。

人事一新 全理事入れ替え

人事も一新し、4人の理事をすべて入れ替えました。

西川新学長
地域医療担当の佐古和広理事は名寄市立病院の院長を務め、現在も北海道医師会で地域医療を担当している。本学の重要なミッションの地域医療について、いろいろな意見をいただけると思い理事就任をお願いした。もうひとりの辻泰弘理事は元北海道副知事で、非常に多くの事業に関わっている。財務に関する経験が豊富で、本学のプロジェクトについて新しい視座をいただけると思い理事就任をお願いした。

また、前学長に解任された古川博之氏をおよそ1年2か月ぶりに大学病院長に復帰させました。理事と医師の働き方改革担当の副学長を兼務させます。

西川新学長
働き方改革は来年から本格的に始めるが、医療の世界で十分に対応するのは相当困難が伴うと思われる。過剰な労働を防ぐ一方で、地域医療を支えるためには遠くまで出張しなければいけないときもある。働き方改革と地域医療をどのように両立させるか、いろいろと工夫が必要になると思うが、病院長の強いリーダーシップで強力に進めてもらえると思っている。

教育と研究を二本柱に

さらに、大学の柱として教育と研究の充実もはかる考えです。

西川新学長
学生にとって、大学は競いあい議論を重ね人間形成する場。また、講義や実習を通じてものの考え方の基本を学ぶ場でもある。私は非常に生意気な学生で、3年生のとき顕微鏡の実習で標本を見てスケッチするレポートで得意になって提出したところ、当時の先生に真っ赤になるまで添削された。自分がいかに分かっていなかったかと本当に恥じ入った。私にとって人生を変える大きなきっかけで、そういう経験ができたことも大学に入ってよかった。
西川新学長
本学としては、教職員が積極的に自分の研究を推進できる環境を整えたい。そのような環境を議論する場がこれまでなかったので、まずはきちんとその基盤を作る。大学全体としての研究方針や環境を整えることをすぐに始めたい。そして、若手の研究者の支援もずいぶん前から中断されているが、ことしから再開したい。気持ちよく研究できる、研究を全体で奨励する、学生に生きた教育をする、それが大学のいいところだと思う。研究をしながら教育もするのは大変だが、学生にいちばん影響を与えるものだと思っているので、その二本柱でやっていきたい。

“新生”旭川医大へ問われる手腕

こうした改革で大学を立て直すことができるか、その手腕が問われる西川新学長。最後に決意を聞きました。

西川新学長
誠実で優秀で心優しい医療者を育てていきたい。そして、大学病院としては安全で安心な医療をお届けする。そのために、これから難しい問題を調整しないといけないが、私が取り組んできた研究と非常に近いものがあると考えている。いろいろな人と議論したり、矛盾する結果をどうやって理解するか考えたりしてきた経験が私にはある。どうやったら答えを見いだせるか、粘り強く取り組んでいきたい。本学がレベルの高い医科大学として地域の皆さまに信頼され、愛されるような大学にしたいと思っているので、今後ともご支援をよろしくお願いしたい。

2022年4月25日 記者 三上晃平

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