NHK札幌放送局

「教育」のはなし

シラベルカ

2020年6月5日(金)午後2時50分 更新

どうする?“コロナ時代”。最後は、放送中のみなさんからのリアクションが最も多かった「教育」の話です。

一斉休校が長く続いた北海道の教育現場で、いったい何が起きているのか?オンライン授業についての議論や、教育の今後のあり方についてなど、スタジオもヒートアップしました。スタジオのボードに載せたみなさんの声を改めてご紹介。さらにスタジオで直接質問した部分のやりとりを抜粋してお伝えします。


※シラベルカ取材チームも「なぜオンライン授業は進まないのか?」という取材を進めました。併せてご覧ください。

★スタジオでのやりとり★

■堀アナから
Q:教育の遅れによる不安について、様々な声が寄せられています。教育評論家の尾木さん。どのような対策を取っていくべきとお考えでしょうか?

■尾木さんの回答
A:学校の遅れについては文科省もおっしゃっているのですが、失った時間分をそのまま回復しようと思わなくていいのだと。これは法的にも学習指導要領に明記されていることです。災害時や、こういう感染症が流行した時はあまり時間は気にするなと言っています。そうした指示は文科省が出しているのですが、なかなか現場の受け止めがなくて、機械的にそれを埋めようとしています。夏休みや冬休みをなくして、土曜日や祝日も授業をやろう、7時間目の授業をやろうという流れになっています。

■野村アナから
Q:生徒によっても格差といいますか、授業の遅れよる差が出ているような気もしますが、それを埋めようと思うと、現場への負担も大きくなるのではないかという声がありますね。これに対する支援についてはどのようにお考えでしょうか?

■尾木さんの回答
A:これはもうほとんど僕は不可能だと思っています。44年教員やってきましたけれども不可能ですよ。再開しても授業はできないです。僕の感覚でいえば。だって学力差がこんなに広がっていますよね。この子たちを感染予防しながら、教師がやっていけますか。先生方もやったことのない苦難に陥ると僕は思っています。

■野村アナから
Q:秋元市長はいかがですか?

■秋元市長の回答
A:尾木先生おっしゃる通りですね、やはり非常に格差といいますか、子どもたちには学習の理解度に差が出ています。札幌も6月から徐々に授業を再開しますけれども、いきなり全開アクセルという形にはもうしばらくならないと思います。学校生活から離れてずいぶん経っていますので、子供を徐々に学校生活に慣らしていく。そして学習のところも予習だけやってきていますので、この格差を個々の現場の教員の先生も大変だとは思いますけれども、ひとりひとりの子どもたちの状況を見ながら、ゆっくり進めていく必要があると思います。

■野村アナから
Q:先生の負担がすごく大きいじゃないですか。市としてはどうしていきますか?

■秋元市長の回答
A:私としてはやはりプラスアルファの増員ですとか、あるいは心のケアということになると、これは先生方にお願いするのではなくて、カウンセラーの先生方にお願いをしていく。こういったサポート体制も作っていかなくてはいけないと思っています。

これからの学校に関する不安の声は様々。現場の声を取材しました。


★VTR/子ども達・保護者の声★

休校が続く5月。シラベルカ取材班は、道内の子ども達や保護者たちにリモートで取材を行いました。聞こえてきたのは長期休校に対する不安の声です。

この春中学1年生になった函館市の中澤美心(なかざわ・みころ)さん。入学式からわずか2週間で学校生活はストップしました。

■中澤美心さん(中学1年)
「先生がいて、分からないので教えてくださいというのができないので不便です。新しい友達ができて、学校に楽しく行けるかと思っていた時に、また休校になったので、やっぱり寂しい。」
■父親の亮さん
「勉強の部分は心配です。あとは学校行事ですね。体育祭だったり運動会だったり。一番の思い出になるようなイベントまで中心になってしまうのはかわいそう。」

神恵内村の小学6年生・松本愛莉(まつもと・ひまり)さんが気をもむのは、クラブ活動のこれからです。道内トップクラスの卓球クラブで活躍する愛莉さん。しかし、楽しみにしていた全国大会は中止になりました。

■松本愛莉さん(小学6年)
「全国大会が無いと何のためにやってんのかなって思っちゃうところもあります。みんなで集まってやれないのがちょっと悲しいというか嫌です。早くいつも通りになってほしいです。」

一次産業の未来を担う若者たちにも影響が出ています。
遠別農業高校の3年生・中野仙太郎さん。今年は畑での実習が一度もできていません。
■中野仙太郎さん(農業高校3年)
「種を植える作業すらする前に休業になってしまったので、不完全燃焼じゃないですけどちょっとモヤモヤする。」


★スタジオでのやりとり★

■野村アナから
Q:VTRを尾木さんはどのようにご覧になりましたか。

■尾木さんの回答
A:農業高校の彼、なんかモヤモヤするなと言っていましたよね。ないないづくしで運動会も部活もできないし。そのストレスで子供たちの心が壊れそうになっているんですね。
5月下旬に文科省が通知を出しましたけれど、自殺防止に気を付けてくれというのが一番なんですよ。本当にこれがものすごく心配です。その兆候の見つけ方などを、ぜひ秋元市長にお願いしたいです。もちろんカウンセラーも大事なんですが、担任の先生が一番接するわけですから、すべての先生にマニュアルというか、こういうところに目をつければいいんだというのを教えてあげてほしいし、それから虐待の発見もしないといけないんですよ。5、6項目のアンケートを市の方で作り、それで子どもが虐待を受けていないかどうかをチェックしてほしい。そうしたチェックなども、ぜひ市の方からサポートしてあげてほしいんですよ。

■野村アナから
Q:秋元市長いかがですか?

■秋元市長の回答
A:今、先生おっしゃったみたいに、やはりいろいろなサポート体制をしっかりとっていくということが重要という事なんですね。子供たち、いろいろな形で本当につらい思いをさせて申し訳ないなというふうに思っていますけれども、できるだけみんなでケアをしていけるような体制をしっかりとっていきたいと思います。

■野村アナから
Q:尾木さんはマニュアルを市の方で作ったらどうかとの考えでした。

■秋元市長の回答
A:基本的な方針みたいなものを作るのは、一つの考えではないかなと思います。

■野村アナから
Q:ご検討なさいますか?

■秋元市長
A:はい

さて、学校の授業の現場でも、この先 第3波、第4波が来たときに、どのように備えるのかという視点は重要です。これからの学びについても意見が届いています。ご紹介します。

■みなさんからの声

「なぜオンライン授業の体制を整えてくれないのか。今すぐにでも家で学習できるようにしてほしい」

「札幌市も機材確保の問題などが大変かと思いますが、早急にオンライン授業の環境は整えていただきたい」

今後の対策を考えますと、このオンライン教育の環境整備が重要だという声が大きくなっています。ところが、そこには大きな課題もあるようなんです。


★VTR/オンライン学習支援の模索★

今月、文部科学省が開いたオンライン授業に欠かせないICT情報通信技術の説明会。
各自治体の教育委員会に向けて速やかに環境の整備をするように強い口調で訴えました。

■文部科学省 初等中等教育局 高谷浩樹 課長 
「この非常時にICTを使わないのはなぜか。ICTを使おうとしない自治体さんにこれからは説明責任が生じてきます。やんなきゃいかんです。やろうとしないということが一番子どもに対して罪だと私は思います。」

国が推進するオンライン授業。
以前から準備を進めていたことで今回の事態に対応できた学校があります。

札幌市内の私立高校です。
4年前から全校生徒にパソコンを配布して学校と生徒を結ぶ通信環境を整えてきました。

一斉休校を機に、オンラインを本格的に活用。週5日、1日4時間の授業をオンラインで行うことができました。

■札幌新陽高校 平中伸英 教頭 
「最初は教員も生徒も戸惑うところは多く見られたが、最近は慣れてきたのかなと。
 今できる中で最善を尽くして次につなげていくというところは、ひとつ重要かと思っています」

しかし道内でこうした例はごく一部です。
道の教育委員会に取材するとオンライン学習の支援をしている自治体は31。
全体の2割以下にとどまっていました。情報通信に詳しい人材や環境整備のための財源が不足していることが要因だとしています。

こうした状況に大きな不安を抱えているのが受験生です。
豊浦町の中学3年生、金丸翼さん。
休校期間中、学校から週に一度配られる課題をひとりでこなしてきました。

■金丸翼さん(受験を控えた中学3年生)
「新しいところを自分の力でやらないといけないので、分からないところもたくさんあるので、結構心配です。自分の行きたい高校に、ちゃんと行けるかと・・」
■父親・淳さん
「都市部ではオンライン授業も普通通りのような授業で教えているのに、うちらはまだ課題を与えられてしかできない時点で、もう遅れている。条件一緒の状態で試験をやらされるから、その辺のハンデは田舎ではあるのかなという感じはする。」

今月、道東の中標津町で初めて開かれたオンライン授業の研修会です。
すでにオンラインを活用している自治体の教員を招き、ノウハウを学びました。
コロナ時代の教育とは?現場の教員たちの模索が続いています。

■中標津中学校 増田慎一 教頭
「このような授業形態はやったことがないので、こうした研修ができると、機材のセッティングの仕方などが分かって、とても勉強になった。今までの自分たちの授業を見直して、これから子どもたちが新しい時代に向かっていけるような、そういう授業づくりが必要と強く感じた。」


★スタジオでのやりとり★

■野村アナから
Q:尾木さん。オンライン化が進んでいるところと、そうでないところの差が非常に大きくなってきていますね。この差を埋めるためには何が必要ですか。

■尾木さんの回答
A:自治体の首長さんの姿勢ひとつだと思いますね。全国を見ていると。もうすでに政府は、10年ぐらい前から大規模な財政も保証しながら、ギガ計画を進めていて、文科省は今年の3月までに1人1台のパソコンとルーターを全部整える体制をとることも約束しているんですよ。お金もついているんです。だからあとは自治体が手を挙げて、やるよって言えば済むことなんですね。その意識が何か伝わってないんじゃないかと。家庭にもいろいろあるからとか、そういう問題じゃなくて。さっきの文部科学省の役人の方もおっしゃっていたように、本当にやらなきゃダメです。そうしないと、コロナ時代を乗り切ることはできい。今までの普通の対面の授業ももちろん魅力的なことはいうまでもないんですけれど、それにない魅力がオンラインにはいっぱいあるんですよ。

■野村アナから
Q:ただ現場としては、人材をどうするんだという声もあります。

■尾木さんの回答
A:人材はいらないですよ。僕のすぐ身近で毎日オンラインを使っている子は、4歳からやってますよ。そんなの4歳の子どもでもできるんです。双方向で先生がアドバイスしてくれたり何か言ってくれるから大丈夫なんです。だから研修で準備をして、教員同士で練習してなんて、そんなのいりません。是非ね、食わず嫌いにならないで飛び込んでほしいと思いますね。

■野村アナから
Q:星野さんはビジネスマンとしてこの状況をどう見ていらっしゃいますか。

■星野代表の回答
A:教育は門外漢なのですけれども、受験生などにはこのオンライン教育というのは非常にいいと思います。ただ、中学・高校時代の私自身を 振り返ってみますと、学びは勉強だけではなくて、むしろクラブ活動や友達同士の交流、先生とのパーソナルな交流から多くを学んできたと思っているんですね。なので、感覚では、オンライン教育なるものが、本当の本来目指している教育の代替にはならないんじゃないかなというふうに私は思っています。

■野村アナから
Q:尾木先生、そこはどうでしょうか。

■尾木さんの回答
A:星野さんとんでもない。ものすごく可能性が広がると思います。もちろん対面の、今おっしゃったようなことは僕も基本にしていますけれども、それ以外のことがものすごくある。自分が参加している映像まで見ながら授業を受けているわけです。子供たちは、いつも友達の後ろ姿しか見てないわけですけれども、それが正面で見れるんですよ。鼻くそほじくったりなんかできないでしょ。集中ですよね。そして友達同士がチャットをして討論したりとか、あるいは質問ができるんですよ。これまで質問などとてもできなかった子もすぐに質問できてしまって、本当に生き生きとするんです。そういうのも、僕も今回初めて知ったんです。コロナのおかげで。

■野村アナから
尾木さんはどちらかというと対面を重視されるのかと思いましたら、トップビジネスマンである星野さんの方がそちらを重視されていることが非常に興味深かったです。もちろん、どちらかがすべて大事ということではないでしょうけども、両方を回しながら、特にオンラインの整備は大事であるということは変わりがないというご主張であると。

これ以外にもたくさんの声が届きました。

■みなさんからの声
Q:教育はオンライン化しています。しかし、それでは生きた教育ではない。以前通りの教育に戻れるのはいつなのか?

■尾木さんの回答
A:ワクチンもできたりするまではなかなか難しいと思いますよね。だからそういう意味では元の教育に戻るというのはかなり難しいと思って、むしろオンラインを使ったり、あるいは友達同士のコミュニケーションをオンラインでするとか、保護者の方もオンラインで保護者会をどんどんやってるんですよ。何でもやろうと思ってやればやれる。新しい生活様式と専門家会議がおっしゃいましたけれども、新しい学びの様式、新しい学びの多様化というところに僕は入っていくべきだろうというふうに思います。

■みなさんからの声
Q:市長は、運動会や学習発表会の開催は無理ではないかとの考えを示されたが、最上級生にとってあんまりではないか?

■秋元市長の回答
A:5月から6月にかけて運動会をやっていますけれど、これはちょっと無理だなという意味でお話をしてきました。教育委員会の方も、2学期以降 学校によって規模がやっぱり違いますので、授業の状況も踏まえて、やり方を工夫して、できるだけ思い出に残るものはやると。やっぱり現場の先生方もそこは工夫を考えていますので、一律で全部ダメということではありません。

■野村アナから
Q:尾木さん、改めまして感染症を考えながらの教育。これから、どのようなことが大事になってくると思いますか。

■尾木さんの回答
A:一番大事なのは、色々なことができなくなってきている中で、例えば高校野球なんか夏の大会もなくなったけれども、地方大会を各地区が模索し始めましたよね。それに対して高野連も1億を超えるような資金援助もするっていう、そういう姿勢が僕は大事だと思います。一生懸命やってくれている先生たちがいる。そこで、大人とか先生たちや社会や行政に対する信頼が芽生えてくると。これが大きな武器になると思うんですね。努力している、頑張ってくれてるのが見える化する。そうしたところで子供たちと共に乗り越えていきたいというふうに僕は思います。

■野村アナから
Q:秋元市長はいかがでしょう。

■秋元市長の回答
A:ワクチンができたり、特効薬ができるまでは、元の生活に戻るのはなかなか難しい。
だけど、その中でのやり方・工夫の仕方っていうのは、知恵の出しどころなんじゃないかと思ってます。例えば、我々行政の立場からすると、そういう現場の先生の声をサポートしてあげる体制を整えるのが我々の仕事というふうに思います。

■野村アナから
Q:学校の先生だけではなかなか難しい部分も出てくる。学校の先生以外の人達にも関わってもらう仕組みのようなものは考えていらっしゃいますか。

■秋元市長の回答
A:すでに、色々な学校現場で、地域の方々に土曜学習みたいな形で入っていただいたりしています。いろんな方の力を借りながら進めていくことが、より重要になってくると思います。

番組に送られた意見をご紹介します。


★みなさんからの声

・中止になった部活動の大会は、代わりの大会を必ず開催してほしいです。部活動も彼らには今しかできないことの一つです。

・なんとしても医療機関で対応してもらわなければいけないので、医療機関で働く皆さんを道民全体で支援する行動を進めませんか?

・道外、海外からのお客さんが見込めないのは明白。だからこそ感染対策をして道産子同士で経済をまわしていこう。

・高校3年生の球児の弟がいます。甲子園中止は弟の野球人生もそうですが、それを支えてきた家族の苦労、我慢、涙は計り知れません

・小学生が二人います。6月から学校が再開される予定ですが、休校分のやり残しは?基礎の知識を欠落したまま学習を進めることに不安を感じています。

・緊急事態宣言解除により大学が始まる予兆があるが、解除された途端にまたクラスターが発生しそうで恐い。

・学校再開後、先生達の負担が大きくなると思います。今後、公立学校で子供たちの理解度に合わせて指導者の増員など考えていますか?

・学校職員です。夏休みなどの方針が出ず、現場として見通しや計画が立てられず困っています。子どもたちのことを考えて決断を早めにお願いしたい。

・秋元市長は、運動会や学習発表会の開催は無理ではないかとの考えを示されたが、最上級生にとって、あんまりではないでしょうか。

・これだけ小中学校の休校が続いているのに、なぜオンライン授業の体制を整えてくれないのか。今すぐにでも家で学習出来る様にして欲しい。

・札幌市も機材確保の問題や、先生達の対応が大変かと思いますが、早急にオンライン授業の環境は整えていただきたい。試験的でもいいので、ご検討を。

2020年6月5日

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