NHK札幌放送局

活火山”アトサヌプリ”空から魅力に迫る

ほっとニュースweb

2020年11月26日(木)午後3時05分 更新

弟子屈町にある活火山アトサヌプリ。年間50万人以上が訪れる人気観光スポットです。20年前に落石事故があり山に入ることは規制されていましたが、今年から登山ガイド付きで一部入山が可能になりました。今回、特別な許可を得てドローンによる撮影をおこない アトサヌプリの知られざる魅力に迫りました。 (取材・撮影 釧路局 福田 洋介 )
※このあとの放送予定 12/3(木)12:45- BSニュース4K で放送します


アトサヌプリってどんな山

アトサヌプリは今もなお活発に活動している活火山です。岩肌がむき出しとなったその姿から、アイヌ語の「アトゥサ(裸の)ヌプリ(山)」が名前の由来になっています。標高は508メートル、およそ1万年以上前に誕生しました。
まず山全体の撮影のため、地上から100メートルほどの場所をドローンでゆっくりその山並みに迫ると、谷筋や山腹、あちこちで大きな噴煙を上げるその迫力に圧倒されます。山の周囲にある噴気孔は1000以上、常に激しい噴気を上げていて特に冷え込みが強くなる冬に噴気が増え見応えがあるといいます。

弟子屈町の礎を築いた立役者

噴気孔を鮮やかな黄色に彩るのは「硫黄」です。アトサヌプリは別名「硫黄山」と呼ばれるほど明治から昭和にかけてマッチや火薬の原料として盛んに採掘され、最盛期には道内一の採掘量を誇りました。明治20年には道内で2番目の早さで運搬用の鉄道が整備されるなど、未開の地であった弟子屈町を発展させました。

立ち入り禁止となっている山の中腹部には、硫黄採掘現場の一部が残っています。活気あふれる当時様子に想像しながら歴史を感じることができます。

(当時の建物の一部が残る)

■20年ぶりの登山再開

独特な景観を生かした観光が、いま注目を集めています。かつては山頂まで登ることが出来ましたが落石事故で死亡事故が起きたため、20年前入山が規制されました。町ではアトサヌプリを観光振興に活用しようと、登山ツアーを計画。数年がかりの安全調査や試験期間を経て、今年からガイド付きという条件で登山ツアーが始まりました。火山の活動を間近で見られることが魅力です。コロナの影響で落ち込んだ観光の新たな起爆剤になるのではないかと期待されています。
今回の取材では、登山ガイドに案内してもらい、特別な許可のもと立ち入り禁止エリアも含めてドローンの撮影を行いました

■新たに見ることができる景色
立ち入りが規制されていたエリアでは、活火山ならではの景色が広がっていました。およそ400年前の噴火で誕生した熊落とし火口です。アイヌのひとたちが火口に熊を追い狩りをしたと伝えられ、その名がつけられました。
ドローンで火口をのぞき込むとその大きさは圧巻。深さは50メートル、直径は最大で100メートルに及びます。火口の規模の大きさから、当時の噴火のすさまじさを実感しました。

(熊落とし火口 ガイド付きでこのそばまで立ち入り可能になった)

登山ルート沿いにドローンを進めると眼下に広がる林野の奥に道内有数の温泉街「川湯温泉」や屈斜路湖が見えてきます。「川湯温泉」の源泉はアトサヌプリ。泉質は希少性の高い強酸性の硫黄泉、皮膚病にも効果があるといわれています。火山がもたらす恵みです。

(登山コースから天気が良ければ屈斜路湖が見える)

アトサヌプリでいちばんの見所は最も激しい噴気を上げるF1噴気孔群。噴気は上空300メートルまで達します。
噴気をさけながら吹き出し口に迫って行くと・・・・・・

(F1噴気孔群)

そこには長さ100メートル、100個以上の噴気孔が並んでいました。
噴気孔付近の温度は100度から120度でとても人は近づけずドローンでしか見ることが出来ません。真俯瞰で捉えたその姿に、操縦しながらアトサヌプリの強烈なエネルギーを感じ取ることが出来ました

(100以上の噴気孔が並ぶ)

熱気、水蒸気、そして火山ガス独特のにおい。いまもなお活発な活動が続くアトザヌプリ、地域に恵みもたらす火山です

アクセス

アトサヌプリへは女満別空港から車で1時間40分ほど、JR川湯温泉駅からは車で3分ほどで行くことが出来ます。2020年のガイド付きの登山は11月8日に終了しています。冬は寒さの影響で噴気も増え一層迫力のあるアトサヌプリを楽しむことが出来ます。

■取材を終えて

今回の取材では私自身初となるドローンによる撮影に挑戦しました。誰でも空からの映像を撮れる、簡単に操作できると考える方も多いのではないでしょうか?

実はものすごく難しいです。

正直、ただ飛ばすだけなら簡単です。しかしドローンの操縦に最も重要なのは安全管理です。墜落すれば、命につながる事故を引き起こす可能性もあります。あらゆる不測の事態を想定しなければなりません。
撮影はさらに大変。山岳地帯なので風の影響も受け、繊細な操作が必要となります。上手く撮れず、バッテリーが少なくなり着陸しなければならない事態が多々ありました。常に緊張し1回15分ほどの撮影だけでも疲労がものすごくたまります。ドローンは普段では見ることのできない映像を撮ることのできる素晴らしいツールですが、しっかりとした映像を撮りきるためには継続した操縦訓練の必要性を取材を通して体感することができました。

■注意事項
今回、ドローンの撮影に関しては環境省・林野庁・弟子屈町から特別な許可を得ています。アトサヌプリの登山は専門の知識を持ったガイドが同行する場合に限って許可されています。

2020年11月11日放送

12/3(木)12:45- BSニュース4K で放送します


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