NHK札幌放送局

函館・南茅部 活性化のヒントを学生が探る

道南web

2022年9月14日(水)午後3時18分 更新

函館市の中心部から車で45分ほど。
太平洋に面する南茅部(みなみかやべ)地区は、昆布漁で知られる港町ですが、高齢化や人口減少が大きな課題となっています。
そんな町で大学生たちが2週間近く働き、地域の課題や活性化策を考える実習が行われました。
大学生たちはどんな提案をしたのでしょうか? 

若者の視点に期待

実習に取り組むのは北海道教育大学函館校の学生で、南茅部地区に足を運ぶのは今回が初めてです。昆布漁をはじめ、地元の飲食店や宿泊施設などで、2週間近く住み込みで働き地域の魅力や課題を探ります。

この実習、若者の視点を地域活性化につなげたいと期待を寄せる函館市の南茅部支所が受け入れを希望しました。
背景にあるのが深刻な人口減少や高齢化です。
南茅部地区の人口は、ピークだった昭和30年の3割以下の4500人あまりまで減少が続いていて、65歳以上の高齢者の割合も函館市全体の36.6%より高い44.3%となっています。

そうした中、町には去年7月、大きなニュースがありました。
地区内にある2つの遺跡を含む縄文遺跡群が世界文化遺産に登録されたのです。
町の主力の1つは就労人口の半数を占める漁業ですが、今後は縄文遺跡を生かした観光業にも力を入れたい考えです。

函館市南茅部支所 池田敏春支所長
「漁業も生かす。世界遺産も生かす。南茅部の良さと若干足りないかなと思うところが仮にあったとしたら、それをどう改善していくのか具体的に鋭くお知らせいただけたらと思う」

学生たちが実際に働いたのは、仕出し屋や喫茶店などの飲食店、宿泊施設、食品加工施設から直販所までさまざま。昆布漁師のもとへは午前3時から足を運んだほか、世界遺産を構成する大船遺跡や垣ノ島遺跡も視察しました。

学生が意見発表 “観光地整備が必要”

そして迎えた最終日。南茅部支所の職員も交えて、課題や解決策についてさまざまな意見が出されました。

このうち「観光」については、縄文遺跡での観光客の受け入れ体制の整備の必要性や、観光ルートの動線がわかりづらいことなどを指摘しました。

学生
「遺跡に来たとして、そこからついでに例えば飲食店とか別の場所に寄ることができるような動線がないと感じました。新型コロナがおさまるまで、かつ、世界遺産登録というタイムリーな話題が生きている間になんとかしなきゃいけない」

具体的には…
・遺跡やその周辺で食事をとったり休憩したりする場所が少ない
・外国語の記載など外国人観光客対応の整備
・遺跡で「体験型」として楽しめる要素を増やせないか
・南茅部全体での観光ルートを知りたい

そのうえで、遺跡や食事どころ、宿泊施設などをつなぐ観光のモデルコースづくりや、地域の飲食店が共同経営する食堂を遺跡に立ち上げる案などが出されました。

また、PRの方法として、SNSを活用した発信についても触れました。

学生
「ハッシュタグが質素であまり検索しないワードが並べられていた。南茅部全体で盛り上げるような1つハッシュタグをつくって拡散していけばいいのではないか」

人々がつながる場を

このほか、地域内外で人とのつながりを増やそうと出されたアイデアもありました。

・旅行客に昆布漁など地元の仕事を手伝ってもらって賃金も支払い、あわせて空き家を宿泊施設として活用する
・廃校で学生主体のイベントや異業種が交流する場を設ける

学生
「今あるお店を継がなくても、その人が持つ地域とのつながりを誰かに継承する。今お店をやっている人が新しい人に紹介して地域に入りやすくしてもらい、新たにお店を始める人が増えたらいい」。

南茅部支所はこうした意見を前向きに捉え、新たなまちづくりにつなげていきたいとしています。

池田支所長
「地域の人にとって耳が痛くなるようなものがあってもいい。葛藤もあると思うが、南茅部支所も含めて意見を聞くことが、ものごとを考えるきっかけになる。まずは全部を受け止めて実現の可能性を行政サイドでも咀嚼(そしゃく)をして、できるものからやっていく。そういう姿勢が大事だと思っています」

今回の実習を通して、「地域のために何かしたい」と考える多くの人に出会ったと話す学生たち。地域の人が互いに手を取り合うことで活性化していくと感じています。

実習を終えた学生
「地域内の人がもっと地域の中のことに関心を持ち、課題に向き合って話し合いができ解決に持っていける。提案で終わるんじゃなくて実現までいくような地域になるといいなと思います」

函館市南茅部支所によりますと、今回の取り組みには南茅部の15事業者から延べ90人が協力したということで、今後はさらに学生たちが意見や提案を整理した上で、学生の考えを地域の人に伝える場を設けたいとしています。

(取材:NHK函館 毛利春香)

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