NHK札幌放送局

自然の恵みに感謝して

ローカルフレンズ制作班

2021年6月10日(木)午後1時29分 更新

ローカルフレンズ滞在記、弟子屈町で1か月お世話になっています、 ディレクターの平原和真です。 1週目は、弟子屈の宝、大自然の魅力を体感させて頂きました。

2週目に入り、ホカホカの手料理が食べたいなぁと、ふと立ち寄ったカフェ&定食屋。
「しょうが焼き定食」大満足でした。

実はこちらのお店、半世紀に渡って営業を続け、地元の人たちがこよなく愛し通う店です。
店主の久保 嘉久子さん(82)、娘の梅沢 君枝さん(55)が、町内の話を聞かせてくれました。

久保:この町は温泉が豊富にでるから、昭和50年ごろはね、もう修学旅行生が温泉旅館にいっぱい泊まっていてね、浴衣姿で歩く下駄の音が、町中に響き渡っていたものよ。
うちの店も、いつも客でいっぱい。アルバイト6人雇っても大忙しで、客席が埋まっているから、みんな立って食べてたわよ~。

今年、新型コロナウイルスの影響や年齢を考え、一度店を閉めることも考えたそうですが、
今も思い出の場所として、訪ねてくる人が後をたたないため、久保さんは、できる限りお店を続けていきたいそうです。

そんな心温まる久保さんの話が進み、驚く話題へ!
なんと弟子屈の住民の多くが、自宅に温泉を引いているとのこと。
さらに道東の冬は、気温がマイナス30℃にもなるため、部屋の暖房用にと、
家の床下に温泉が流れるパイプを通している家もあるんだとか。

「毎日温泉に浸かれるのは、本当に幸せ」。ツヤツヤのふたりの肌にも納得でした。
この温泉の熱を活用し、なんと弟子屈町では“マンゴー”の栽培が行われています。

マンゴーと言えば、沖縄県や宮崎県などの南国で作られるイメージ。
栽培用ハウス内の温度調整に、温泉熱を利用すると、重油代のコストを抑えられることから、2011年に弟子屈町に農園をオープンしたそうです。当初、試行錯誤を繰り返したそうですが、いまでは、立派なマンゴーが育っていました。

極寒の地で完熟マンゴーを栽培するご苦労もあるかと思いますが、
農園長の村田 陽平さんの笑顔を見れば、マンゴーの美味しさが伝わってきます。
弟子屈町の宝“自然”とその恩恵に感謝し、暮らしの営みを続ける人たちに出会えました。

“神の山”大絶景を求めて!

「昨日は大変だったねー、体は大丈夫?」
「すごい絶景だったでしょう!でも筋肉痛は?温泉に入りなさいねー。」

住民のみなさんから心優しい声をかけて頂きました。

なぜ住民のみなさんが、こんな声を掛けてくれたのか?
それは、今回のローカルフレンズである、弟子屈町地域おこし協力隊の川上椋輔(かわかみ・りょうすけ)さんが、制作を行うSNSの動画に、私の滞在の様子をいち早く伝えてくれているからです。
今回、8時間に及ぶ登山を行い、大自然に触れてきました。

(写真提供:tomokikokubun)

ローカルフレンズ滞在記弟子屈編、第1週目(6月3日)の放送時、
視聴者のみなさんに向け、アンケートを行った結果。
「神の山でしか見られない大絶景」が選ばれました。

神の山とは、爆裂火口(火山の噴火口)を望み、摩周湖が広がる風景が見られる「摩周岳」を指します。
初めて訪れる場所に、川上さんのワクワクな期待感が伝わってくる一方、私にとっては30年ぶりの登山です。

“自然”を語るのは苦手なガイド

今回、登山のガイド役を担ってくれたのは、屈斜路湖や釧路川などでカヌーのガイドを
専門に行う、國分 知貴(こくぶん・ともき)さん。(34歳)

(写真提供:tomokikokubun)

中標津出身の國分さんは、札幌やニセコで飲食店の調理を担当するかたわら、ラフティングガイドを行ってきた経験の持ち主。4年ほど前、弟子屈町へ移住してきました。
実は、川上さんが弟子屈町への移住を決めたきっかけをつくったのが國分さん。
その出会から、川上さんは弟子屈町の大自然に引き込まれたそうです。
今回のガイドを國分さんにお願いしました。

登山開始早々、國分さんに聞いてみました。

平原:摩周岳の自然の魅力って何ですか?
國分:う~ん。僕、解説やルールの説明などは、はっきりと話せるんですが、自然について語ったりするのは苦手で、自分が感じる魅力をただ押し付けてしまうんじゃないかと、しゃべりが、たどたどしくなっちゃうんですよね~。
訪れた人たちには、自然を直観的に感じとってもらえるようなガイドが僕のスタイルなんですよー。

この國分さんの話す意味が登山を続けていくとわかっていきました。

理由がわかると見えてくる大自然

行程は片道7キロ。
目的の山頂を望みながら進行方向、左手には摩周湖。

右手には、根釧台地(火山灰層に覆われた日本最大規模ともいわれる台地)が広がります。

私が知る九州の山々の多くは、杉が植林され年中、青々としていますが、
摩周岳へとつながる山道周辺の斜面は、笹に覆われ、低木のシラカバがまばらにあるだけ。
春うららかな陽気にも関わらず、花も見当たりません。
私が周囲を見渡しながら、不思議そうな顔をしていることに気付いたのか?
ガイドの國分さんが声を掛けてくれます。

(写真提供:tomokikokubun)

國分:風が強くなったと感じませんか?実は、この風は釧路沖から吹いてくる南風なんですよ~。
ちょうど私たちの今いる場所が風の通り路。
強風になることもしばしばで、大木は育ちません。風を感じると見えてくるものも色々ありますよ~。

國分さんの言葉に、改めて周りを注意深く見渡すと見つけました!小さな花。
歩いている時には気づきもしませんでしたが、山道の隅に白い小さな、本当に小さな花が咲いているじゃないですか!
風に耐えるように小さく、それでも見事に咲く花。その時です。

カシャ!

実は國分さんは、ガイドの傍ら、写真家としても活躍しています。
そのスタイルは、「ふと感じた自然」の「その瞬間」を切り取ること。
「本格的な写真家に失礼かなぁ~と思うんですけど・・・」と
謙遜する國分さんですが、國分さんが映し出した写真には、
自然の鼓動のようなものを私は感じました。

(写真提供:tomokikokubun)

山道を歩いていくと、いろいろなものが見えてきます。
近年の降雪量が少ないことから、冷風にさらされ凍って枯れてしまった可能性があるという笹の葉。

むき出しの岩肌に向かって、時をかけて木々が少しづつ、その範囲を広げている姿。          
摩周岳の自然の魅力とは、自然の息吹を感じるところにあるのかもしれません。

登り始めて4時間、いよいよ頂上まで100メートルの地点。
傾斜角度が半端ない!
息が上がり、足が上がらない!
汗が吹き出し、ずしりと重い衣服。
靴擦れで、倒れこむように岩に腰を下ろすと、
隣で同じように汗が吹き出し、息切れしている男性が声をかけてきました。

「あれ、川上さんじゃない!もしかしてこないだのNHKの撮影?」
「いや~放送楽しみにしているからね~」

この言葉と笑顔に最後の力を振り絞る気力がわきました!

(大げさに書いているわけではありませんが、誤解の無いように、この登山コースは決して高レベルではありません。小学生が笑顔で、次々と私を追い抜いていきました。)

ラストスパート。高低差100メートルを1時間30分もかけて登りきった頂上!

そこから見える景色は、まさに大絶景!言葉も出ません!
神の山と人々が呼ぶ、その神秘さも伝わってきました。

弟子屈町の宝、神の山「摩周岳」。
その大自然を肌で感じさせてくれた新たなフレンズとの出会いがありました。
摩周温泉の効果か?筋肉痛はさほどありません。ご心配お掛けしました。

2021年6月10日

2021年6月10日(木)、17日(木)、24日(木)の「ほっとニュース北海道」で弟子屈町の滞在記を放送する予定です。
北海道にお住いの方は、ぜひご覧ください。

弟子屈町の滞在1週目のウェブ記事はこちらから
弟子屈は大自然の宝庫


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