NHK札幌放送局

ヒグマ注意! 夏に相次ぐ被害に対策は

道南web

2022年8月15日(月)午後7時23分 更新

道南で相次ぐヒグマの被害。今年7月、松前町では畑作業中の高齢の夫婦がクマに襲われ大けがをしました。夏のこの時期、クマの被害は増加傾向にあります。どのように対策すれば良いのか、専門家に話を聞きました。

カメラが捉えたクマ被害

今年6月、七飯町峠下で町が設置したカメラで撮影された映像です。映像では画面中央に映るクマが地面から野菜のようなものを引き抜いて食べる様子を捉えています。収穫前のニンジンを食べていました。

七飯町ではこのほかにも7月末、とうもろこしおよそ100本がクマに荒らされたほか、森町のビート畑もおよそ250平方メートルに渡って被害を受けています。

夏に増えるクマの通報件数 人が襲われるケースも

被害を受けているのは畑だけではありあせん。今年7月には松前町白神で高齢の夫婦がクマにかまれるなどして頭や腕に大けがをした事故が起きました。

去年7月にも、福島町で畑仕事に出ていたという70代の女性がクマに襲われて死亡する事故がありました。道警函館方面本部によりますと、管内で今年通報があったクマの目撃件数は7月末までで161件となっていますが、このうち7月の通報件数が76件で全体の半数近くを占めていて、夏になるにつれて通報件数が増加しています。

なぜ夏に被害が増えるのか?

夏に被害が増加する要因について専門家は、この時期、山の中に餌となる木の実などが少ないことを挙げています。

クマの生態に詳しい北海道大学大学院獣医学研究院 坪田敏男教授
「夏の一番暑い時期はクマにとって餌や資源が少なくなる厳しい時期になるので、人里に出没しやすい背景はある。人里に出没してくるクマもやせ細っているクマが多く、アリを食べたり、かたくなった草を食べたりしてなんとか難をしのいでいる状態です」

坪田教授は、クマの特性として学習能力が優れている点をふまえ、具体的な対策を3つ挙げました。

  • 芝や草むらを刈りクマの隠れる場所をなくすこと
  • 鈴を身につけたりラジオを流したりして音を鳴らすこと
  • 電気柵を設置すること

の3つです。

北海道大学大学院獣医学研究院 坪田敏男教授
「ヒグマが出にくい環境を作るということと、人間がここにいると知らせることが必要です。クマは身を隠せる場所があるとそこに隠れて近づいてくるので、芝を刈ってなるべく見通しをよくすることや、ラジオを流したり、鈴を持って音を鳴らしたりすることが必要になってきます。また、クマは頭がいいので、クマを人間にとって良い方向に学習させるということも大事になってきます。ここに餌があってうまいものにありつけるなどの悪い学習をしてしまうと、クマはかなりそこに執着して居続けますので、『ここに来たら痛い目に遭うよ』とか『ここにきても食べ物にありつけないよ』という方向に学習させることが大事です。例えば、電気柵はクマが触れるとビリビリと電気が流れるので効果的です。クマは非常に慎重な動物なので自分が危険な状況だと思えばその場所から避けますので出てこなくなります。人の方がうまくクマを誘導していくことが大事になります」。

そして坪田教授はクマと遭遇した最悪の場合を想定しての対処法も教えてくれました。

「まずはクマが知らない間に接近しないようにするのが第一です。しかし、もし接近してしまった場合は、何もしなかったらそのまま襲われると思います。最後の最後の手段としては、戦うといいますか、長い棒を持っているのであればクマにダメージをあたえるために鼻先にダメージを与えるとか、鎌でも持っているのであればそれで一撃を与えるとか、本当に最後の手段だと思いますけれども、襲われるよりはいいです。何か武器になるものを探して、クマと戦うしかない。襲われた際、クマに一撃を与えて難を逃れたというケースはいくつもありますので、そういう点では、重傷を負うよりは一撃を与えて難を逃れるのはいいかもしれないです。そうならないために距離を保つことが一番大事だと思います」

お盆や夏に気をつけることは

警察は、お盆の時期は特に墓参りの供えものを置いたままにするとクマが近寄ってくる原因になるので、必ず持ち帰るよう呼びかけています。また、夏山登山や川遊びの時期ですが、山に入るときは1人で行動しないことや、クマに会わないよう音を鳴らすことも重要です。クマの被害を防ぐため、あらためて周りの環境を確かめたうえで、対策や対処法を考えておいて下さい。

取材:NHK函館 西田理人 奈須由樹

クマ被害や遭難を防ぐ対策はこちらもお読み下さい
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