道東の中標津町では少し変わった自動販売機が話題となっています。
コロナ禍で苦境に立たされているホテルや飲食店の創意工夫を紹介します。
(中標津支局 原田未央)
SNSでも話題
去年12月、中標津町の住宅街の一角に自動販売機が設置されました。販売されているのはクレープです。

町内でバーを経営する篠原奉行さんはコロナ禍で断続的な休業を余儀なくされ、バーだけでは生計が成り立たなくなりました。そこで、デザートとして出していた人気のクレープを自動販売機で売り始めました。種類は日替わりで、生地には地元産の牛乳がたっぷり使われています。

SNSで話題を呼び、町外からも客が訪れるようになりました。
根室市から来た女性
「クレープの自販機って新しいなあと思ったので、ちょっと行ってみたいなと思いました」
篠原さんは手応えを感じて3月に2台目を設置し、中標津町銘菓のようかんや、隣の標津町のサケトバも販売しています。
篠原奉行さん
「夜の商売だけでは成り立たず、何かしなきゃいけないという状況の中、自動販売機が一番今の時代に向いていると思いました。楽しんで、おいしいものを食べていただいて、さらに地元の魅力を再発見してもらえるようなものを自動販売機に入れていきたいです」

ホテルも生き残りをかけて
中標津町内のホテルでも敷地の一角に自動販売機を設置しました。販売されているのは地元産のチーズを包んで揚げた「流木揚げ」、エビチリ、あんかけ焼きそばなど、すべてホテルの飲食店の人気メニューで、いずれも1000円前後と手ごろな値段となっています。

このホテルはコロナ禍で観光客が減り、売り上げは感染拡大前のおよそ3割に落ち込んだ時期もありました。現在7割まで回復しましたが、宴会や婚礼の予約は大幅に減ったままで、ホテルは自動販売機という形態に目を付けました。
おいしさとボリューム感はそのままにホテルの味を再現するため、厨房には通常の20倍の早さで急速冷凍できる最新の機械を導入しました。

トーヨーグランドホテル前田隆史支配人
「新しいメニューを開発し、地元の方だけでなく観光客など利用者をどんどん増やしていきたい」

手軽さが売りの自動販売機はコロナ禍を生き抜く新たなビジネスの形として注目され始めています。
2022年4月5日(火)