NHK札幌放送局

北海道の死者13万7000人 巨大地震と津波の国の新たな被害想定とは

ほっとニュースweb

2021年12月22日(水)午後7時34分 更新

最悪の場合、北海道内の死者はおよそ13万7000人に達します。
北海道から岩手県にかけての沖合にある「千島海溝」と「日本海溝」で、巨大地震と津波が発生した場合の国の新たな被害の想定がまとまりました。
死者の数は、迅速な避難や施設の整備などの対策を進めれば、被害を大幅に減らすことができるとしています。

東日本大震災を受けて想定を見直す

東日本大震災を受けて国は、千島列島から北海道の沖合にかけての「千島海溝」沿いと、「日本海溝」のうち、北海道の南から岩手県の沖合にかけての領域で起きる地震の被害について専門家などによる検討を進め、その結果を公表しました。

日本海溝沿いでマグニチュード9.1の巨大地震が発生
各地に10メートルを超える巨大な津波
最悪の場合、道内の死者の数は、およそ13万7000人
11万9000棟が全壊
千島海溝沿いで、マグニチュード9.3の巨大地震が発生
道東を中心に20メートルを超える津波
死者の数はおよそ8万5000人
5万5000棟が全壊

地震が真冬に発生した場合、津波から逃れても屋外で長時間過ごすなどして低体温症になり、命の危険にさらされるおそれのある人が日本海溝でおよそ1万9000人、千島海溝でおよそ1万4700人に達するとしています。

"対策すれば死者は大幅減"

一方、防災対策を進めた場合の効果も公表され、津波避難施設の整備など避難先の確保を進めるとともに浸水域にいるすべての人が地震から10分ほどで避難を始めれば、犠牲者の数をおよそ80%減らすことができると推計しています。

いずれも“発生が切迫”

今回想定の対象となったのは「千島海溝」沿いと、「日本海溝」の北側にあたる領域です。そのいずれについても国は最大クラスの津波の発生が切迫しているとしています。

「千島海溝」 過去にも巨大地震と大津波
「千島海溝」の巨大地震は北海道の択捉島沖から十勝地方の沖合にかけての領域で起きる地震を指します。
海側の太平洋プレートが陸側に沈み込んでいてそのプレートの境目では過去、マグニチュード7クラスやマグニチュード8前半の津波を伴う地震が相次いで発生しました。

  • 1952年(昭和27年)「十勝沖地震(マグニチュード8.2)」
  • 1973年(昭和48年)の「根室半島沖地震(マグニチュード7.4)」


さらに、津波によって運ばれた土砂など「津波堆積物」の調査から17世紀に、これらの領域が一度にずれ動くような巨大地震が起き、東日本大震災のような高い津波が押し寄せたと考えられています。

過去およそ6500年分の調査の結果、こうした規模の巨大地震は300年から400年の間隔で発生したと考えられ、前回からすでに400年程度が経過していることから、政府の地震調査委員会は、「大津波をもたらす巨大地震の発生が切迫している可能性が高い」としています。

「日本海溝」 10年前に巨大地震 北側にはリスク
「日本海溝」は、「千島海溝」の南、青森県の東方沖から千葉県の房総沖にかけての一帯です。
太平洋プレートが陸側のプレートの下に沈み込んでいて、10年前の東日本大震災をもたらした巨大地震では東北や茨城県にかけての領域が一気にずれ動きました。

一方、国は、北海道の南の日高沖から岩手県の三陸沖にかけての領域でも津波堆積物の調査から17世紀や、12〜13世紀など、300年から400年に一度大津波を伴う巨大地震が発生していたことがわかったとしています。

17世紀の地震を最後にこうした規模の巨大地震は発生していないとして、国の検討会は、「最大クラスの津波の発生が切迫している」と指摘しています。

ただし、巨大地震の実像はわかっていないことも多く、東日本大震災を受けて、現状の科学的な知見をベースに最大クラスの地震や津波を想定したということです。

鈴木知事は

鈴木知事は「北海道では特に冬の時期に積雪寒冷地特有の被害が生じることで甚大な被害が生じるという極めて厳しい結果が示された」と述べました。

鈴木知事
「対策を講じることで、津波による死者数を8割減らすことができるという被害の軽減効果も公表されており、犠牲者を1人でも減らすための取り組みが求められている。道や市町村はもちろん、防災関係機関や地域住民の方々が、起こりうる事象を冷静に受け止め、最大クラスの災害から命を守るための防災・減災対策を検討していくことが大事だと認識している」

“スタートラインと捉えるべき”

今回の被害想定について、津波防災に詳しい北海道大学大学院の高橋浩晃教授は、「対策によって命を救えるということが明快に示された。住民は早く逃げ、行政は逃げる場所をしっかりと確保するという2点を今後、強力にかつ具体的に進めるスタートラインと捉えるべきだ」と指摘しました。

北海道大学大学院の高橋浩晃教授
「北海道のハード面の整備は、南海トラフの備えに比べるとかなり遅れている。今回の想定をきっかけとして、国の責任で整備を進めていただきたい」

解説:巨大地震と津波 国の新たな北海道の被害想定
具体的な被害想定について、詳しく。

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