NHK札幌放送局

日本ハム 新庄剛志監督 “変える指導”

ほっとスポーツプラス

2021年11月12日(金)午後7時34分 更新

11月4日に就任した新庄監督は就任から4日後、秋のキャンプを視察し、選手への指導も始めました。その中で選手たちに求めたのは「変化」。新庄流の指導を随所に見せて、選手に刺激を与えました。

11月8日、秋キャンプ視察の初日。車を降りてきた新庄監督は、上下とも赤のトレーニングウエアに身を包み、報道陣に「地味ですか?」と問いかけ、笑いを誘いました。その日の午後には黒のウエアに着替えて現れ、視察2日目の9日は白のウエア、最終日の3日目は黒のシャツ姿を見せるなど、その服装が注目されました。しかし、この3日間で、新庄監督は選手に細かい技術指導を行い、若手選手に変化を促していました。

”新庄流” 走塁の教え

視察を始める前に、新庄監督は3日間の狙いを明かしました。「選手の身体能力、足のスピードと肩の強さをチェックする」。その言葉どおり、最初に行ったのはベースランニング。このベースランニングでは、新庄監督のアイデアで、選手がバトンを持ってつなぐ、リレー形式で行われました。練習に変化をつけて、楽しみながら、最大限の力を出してもらうというのが表向きの理由でした。しかし、全力で走る選手を見て、注目していたのは、実はベースの蹴り方。多くの選手はベースを踏んだあと、大きくまわりこんで、次のベースに向かいますが、新庄監督が求めたのは、最短距離で走れるように、直角の走塁を目指すことでした。

例えば、長打で二塁から三塁を目指すケース。新庄監督は現役時代、二塁ベースを右足で蹴り、その反発力を生かして、直角に走っていたことで到達時間が変わったと明かしました。実績のある選手だったからこその説得力ある指導で、コーチ陣にも自ら足の運び方を見せて説明を繰り返し、浸透させようとしました。

“新庄流” 送球の教え

こだわりは、スローイングにも現れました。現役時代、大リーグでも強肩で評価された新庄監督は、強く低い送球しか実戦では使えないと断言します。その理由は高い送球は受け手が取れないことが多くなる一方、低い送球であれば、例えワンバウンドしても受け手が処理できるという考えからです。選手たちが練習でいつもどおりキャッチボールをしていたなか、新庄監督は歩みより、身ぶり手ぶりを交えて、なぜ低い送球が必要なのかを説明。キャッチボールから実戦を意識して投げることの重要性を説いて、さっそく実践させました。そして、遠投の練習でも、ボールを投げる高さに目安を設けて、外野からの送球は高くならないように意識を徹底させました。

新庄 剛志監督                                                                                                         高く投げて肩が強い選手は、僕はいらない。選手たちが低いボールでどれだけ強く投げられるかを見た。足の運び方とか、体の使い方を教えていけば、どういうボールを投げられるか、イメージができた
万波 中正選手                              スローイングの意識は、自分からも監督に聞いた。常に低く、ワンバウンドでも投げられるように心がけようと言われた。キャッチボールから低い球を投げろというのは印象的だった

“新庄流” 打撃の教え 

視察2日目の11月9日。新庄監督は、現役時代にともに活躍した稲葉篤紀ゼネラルマネージャーと一緒に、若手選手へのバッティング指導にあたりました。自らのバッティング理論を説明する中で、何回も出た言葉は「バリー」。新庄監督が2002年に所属した大リーグ・ジャイアンツでチームメートだったバリー・ボンズのバッティングについてでした。

バリー・ボンズ氏は、2007年の引退までに大リーグ最多記録となるホームラン762本を打ち、2001年にはシーズン最多となる73本のホームランを打った大打者です。そのボンズ氏から、新庄監督は技術を教えてもらっていました。その時のエピソードで、バットで釘を打とうと思ったら、バットを長く持つのと、短く持つのではどちらが打ちやすいかと新庄監督は問われました。ボンズ氏は、ボールを点でとらえるバッターは、バットを少し短く持って、予備動作を少なくして力を抜き、コンパクトに振るべきだと話したといいます。

新庄監督がこの理論で若手選手を指導するなか、稲葉GMも納得の表情で聞き入っていました。実際に試してみた選手が大きく打球を飛ばすと、新庄監督と稲葉GMは声を出して、喜びを表しました。

稲葉 篤紀ゼネラルマネージャー                            バリー・ボンズ選手の話をして、選手もそれを理解しながらやろうとしている。みんな全力で振るというのをやっているけど、体全体で全力ではなくて、バッドのヘッドの重みだけで簡単に飛ばせるんだと。みんな新しい挑戦の中で、何かをつかんでくれたらいい

新庄監督が今回の秋キャンプ視察で、選手を指導したのは3日と短期間でしたが、その中でも選手がこれまで行った経験がない練習方法を提案し、選手の気づきを引き出そうとしていました。口癖は「新しいことを面白いと考えて挑戦し、やってみて前に進む」。この信念のもと、年俸が減るとわかっていても大リーグに移籍し、日本球界復帰では北海道に移転した日本ハムを選ぶなど、挑戦を続けてきた新庄監督は、選手にも変化をおそれずにまずはやってみることを提案し続けてました。

新庄 剛志監督                            思い切って、勇気を持って変えていかないと、選手はスター、タレントにはなれないと思う。『やっていこう』という目をしてくれていたので、変わってくれると思います

監督としての初仕事で手応えをつかんだ新庄監督。選手、チームをどのように変えて導いていくのか、これからも取材を続けていきます。               

                   (NHK札幌放送局 記者 雁田紘司)

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