NHK札幌放送局

流氷取材の思い出

流氷情報

2021年2月5日(金)午後5時31分 更新

流氷を深く知るためのコラム。第2弾は、前回のコラム(※「流氷用語の基礎知識」)で登場したNHK記者が流氷取材の思い出を語ります。

海に「壁」が現れた!

今から20年以上前の2000年3月某日、記者は知床半島の観光拠点、斜里町ウトロに向けて車を走らせていました。
オホーツク海沿いの走り慣れた国道。ただ、いつもとは違う“違和感”を感じました。ふと海岸に視線を向けると…

「白い壁がみえる!」

海岸に押し寄せた氷のかたまりが積み重なり、高さ3~4メートルの“氷の丘”が数百メートルも連なっていました。
風や波にもまれた流氷が海岸に次々と乗り上げることでできる「氷丘(※読み方は「ひょうきゅう」)」とみられる現象でした。
自然の力強さを感じた流氷体験でした。

(※以下、当時のニュース原稿より)
オホーツク海沿いの知床半島では、海岸に押し寄せた流氷が壁のようになって連なり珍しい光景をつくり出しています。
気象台によりますと、これは風や波にもまれた流氷が海岸に次々と乗り上げてできる「氷丘」と呼ばれる現象とみられるということです。
斜里町の知床自然センターは、この現象について、「流氷の勢力が強かった昔はよくみられたが、最近では珍しい」と話しています。


シーズン最初の流氷を撮る!

記者は、「そのシーズン、北海道から最初にみえた」流氷を撮影することに強いこだわりを持っていました。
記者によると、当時はまず知床半島で最初にみえるケースが多かったそうです。
この手の情報は、今の時代はSNSで簡単に集められますが、アナログな当時はそこまでインターネットは発達していません。
風向きから流氷の動きを推測し、朝、知床在住の取材先に電話で状況を確認していました。そして「流氷がみえる」となると、駐在していた網走市から知床へ、“初流氷”撮影に車を走らせます。
現場に到着すると、望遠レンズをカメラに取り付け、水平線上に広がる流氷を最大限アップにしておさえます。
時間に追われる中(※こういう状況を私たちは「追い込む」と言っています)、正午の全国ニュースに原稿と映像を納入し、ようやくひと息。今度は観光客目線で“初流氷”を楽しむのでした。

(※以下、当時のニュース原稿より)
北海道東部の知床半島の沖で、流氷が確認されました。北海道で流氷が確認されたのは今シーズン初めてです。
知床半島の観光拠点斜里町ウトロでは、けさ、水平線近くに白い流氷が帯状になって浮いているのが確認されました。
気象台によりますと、この流氷は「流氷本体」と呼ばれる厚い氷の集まりから離れた「砕け氷」とみられるということです。


“幻”の氷を追って…

記者にはもう1つ、“こだわり”がありました。流氷のしんきろう、「幻氷(※読み方は「げんぴょう」)」です。はるか沖合にある流氷が海面から浮かび上がっているようにみえる現象で、海面の冷たい空気の上に暖かい空気が流れ込み、その温度差で光が屈折して起きます。
▽気温が上がり、▽流氷が沖に離れている日、記者は「幻氷」の撮影に情熱を傾けました。そのこだわりは、網走市の街並みと沖に広がる「幻氷」を絡めることだったそうです。
もちろん海いっぱいに広がる流氷も魅力的ですが、記者は「遠くに去った流氷が作り出す『幻氷』もまた違った味わいがあった」と話しています。
記者こだわりの「幻氷」、こちらも何度も全国ニュースを飾りました。

(※以下、当時のニュース原稿より)
オホーツク海に面した北海道の網走市では、流氷が水平線の上に浮き上がって見えるしんきろうの一種、「幻氷」が見られました。
きょうの網走は午前中よく晴れたことで海岸から「幻氷」の現象がみられ、流氷を砕きながら進む地元の観光船「おーろら」も、水平線の氷を背景に航海しているようにみえていました。


流氷の撮影は注意を

ここまで、今から20年ほど前、網走市に駐在していたNHK記者に、印象に残っている流氷取材を振り返ってもらいました。
さまざまな表情をみせてくれる流氷は、格好の被写体ですが、撮影にあたっては安全に気をつけてください。
とくに、流氷には安易に乗らないでください。
流氷は風向きによって簡単に流されます。実際、去年2月には流氷に乗って写真を撮っていた男子大学生がおよそ30分間、沖に流されています。
また、寒さが厳しくなるこの時期、海に落ちると命を落とす危険があります。
くれぐれも安全に注意して撮影してください。

2021年2月5日

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