道内では5月に入り、1日あたりの新たな感染者が過去最多をたびたび更新するかたちで報告されていて、背景には変異ウイルスの感染拡大があると指摘されています。
第3波を大きく上回る第4波
道内はこれまでに感染拡大の「波」を3つ経験していて、1日あたりの新たな感染者は「第3波」のピークだった去年11月20日の304人が最多でした。
ところが、今月2日にこれを超える326人の感染が確認されると、今月8日には403人、さらにその翌日の9日には506人になり、「第3波」を大きく超えるようになりました。
大型連休が明けた今月13日には712人の感染が確認され、その後も500人を超える感染者が連日、報告されています。
特に札幌市での感染拡大が顕著で、今月9日に327人と300人を初めて超えると、今月13日には499人の感染が明らかになるなど、道内全体の6割以上を占める日が相次いでいます。
変異ウイルスが拡大が一因
「第3波」よりも感染者が大きく増えている背景について、専門家は変異ウイルスの感染拡大が一因にあると指摘しています。
北海道ではイギリスで最初に確認された変異ウイルスの感染が広がっていて、道などによりますと、5月6日から12日の1週間に道内で新たに感染が確認された患者の85%からこの変異ウイルスが検出されています。
国立感染症研究所・感染症危機管理研究センター 齋藤センター長
「変異ウイルスは感染力などが高いため、感染者の数が急速に増加してしまう。感染拡大を抑えるにはこれまで以上の強い措置が求められる」
医療体制はどうなっている?
北海道全体でみると、16日の時点で使用されている病床は957床で、道は最大で1809床を用意する方針を明らかにしていることから、これをもとにした使用率は52.9%になります。
しかし、ホテルなどの施設で療養している感染者が436人、こうした施設に入って療養してもらうべく日程を調整しているのは2419人、自宅などで療養しているのは1501人となっていて、感染者の増加に病床などの準備がなかなか追いつかない状況が続いています。
札幌市の病床使用率97%
特に深刻なのが札幌市で、16日の時点で感染者数は回復した人を除いて3390人で、そのうち重症者は26人、入院患者の総数は398人となっていて、すぐに使える病床410床に対して使用率が97%とすでにほぼ満床の状態になっています。
このため札幌市では一部の患者を市外の医療機関に搬送していて、市によりますと、その数も3月には1件だったものが、4月には17件、今月は11日時点で18件と増えています。
さらに札幌市は、入院しての治療を必要としながらすぐには入院できない感染者を一時的に治療するための待機施設「入院待機ステーション」の運用を17日から始めるとしています。
2021年5月17日