NHK札幌放送局

パラカヌー辰己博実選手 “北海道から東京パラリンピックへ!”

ほっとスポーツプラス

2021年6月18日(金)午後8時08分 更新

東京パラリンピックのパラカヌー代表に内定した辰己博実選手。徳島県出身ですが、大自然に魅せられて北海道に移住し、この地で努力を積み重ねて、初めてのパラリンピック出場をつかみとりました。 
(札幌放送局 筒井亮太郎) 

北海道で努力してつかんだ初めてのパラリンピック

倶知安町に住むパラカヌーの辰己博実選手(43)は先月、ハ ンガリーで行われた世界最終予選で、カヤックシングルの『腰から下に障害のあ るクラス』で決勝に進み、初めてのパラリンピック代表に内定しました。辰己選手は、徳島県出身ですが、18年前の25歳のときにスノーボードで訪れた北海道の大自然に魅力を感じて、北海道に移り住みました。

辰己 博実選手
夏は山ですし、川もあれば、海もある。冬も山良いですし。全ての自然、僕のやりたいこと、遊びのフィールドっていうのが、夏でも冬でもなんでもあるっていうのが北海道なので、そこがやっぱり一番魅力ですね。

辰己選手を襲った スノーボード中の事故

北海道でアウトドアガイドとして働き始めた辰己選手でしたが、30歳の冬にスノーボード中の事故で、脊髄を損傷。下半身を自由に動かせなくなりました。

辰己 博実選手
ケガをしたときは、正直、最初は何も考えられなかったですね。自分がどうなってしまったのかが正直わからなかったですし、何ができるのかもわからなかったですし、どうすればよいのかわからなかったです。

北海道で出会った仲間たちの支え

車いすの生活になった辰己選手でしたが、北海道を離れる選択肢はなかったと言います。その理由が、北海道で出会った仲間たちの存在でした。

辰己 博実選手
北海道に移り住んでから、仕事をしたり、遊びにいったり、すごい良い仲間に巡り合えたんですよね。奥さんもそうなんですけど、こっちで出会ったので。そういういい仲間に出会って、そういう良い仲間たちが、サポートしてくれたりとか、一緒に遊んだりとか、助けてくれたりとか、すごく僕の気持ちを前向きにさせてくれましたね。

パラカヌーを始めたのも、北海道の仲間から勧められたのがキッカケでした。

元々、アウトドアガイドとしてカヌーに乗っていたこともあり、競技を始めてから4年後には日本代表に選ばれ、パラリンピック出場が大きな目標になりました。

課題は“北海道の冬のトレーニング”

しかし、北海道は、冬場のトレーニングに課題がありました。辰己選手の主な練習場である自宅横の池は、冬の間、雪と氷で閉ざされてしまいます。そのため、辰己選手は、冬場、自宅で工夫してトレーニングを積んできました。5年前に、鉄工所を営む父親からの助言を受け、辰己選手自ら、オリジナルのトレーニングマシーンを作ってしまいました。水を漕ぐのと同じ抵抗を得られる仕組みになっていて、筋力と心肺機能を強化できます。辰己選手は、このマシーンでのトレーニングを自宅の車庫で行ったそうです。このマシーン、現在は形を変え、パドルに模した棒の先に20kgの重りを付け、より負荷をかけてトレーニングを行っています。パラカヌーにとって重要な“体幹”が鍛えられるといいます。

辰己 博実選手
そういう道具を使えば、別に冬が漕げないからダメっていうのはなくて、そこでしっかりと体の地力を付ける、ということはできますので、だから最近は、あまり北海道だからどうっていうのは、僕の中では関係ないような気がするんですよね。


コロナ禍での屋外トレーニングの“ためらい”

春になって、ようやくカヌーに乗ってのトレーニングを始める辰己選手。しかし、去年は、緊急事態宣言が出ていたため、屋外でのトレーニングを行うことに“ためらい”があったと言います。

辰己 博実選手
人の目っていうのが、どういう風に見られているのか、ちょっとわからないので、アスリートだから、そんなのやっていてもいいのっていうのを、もし言われるのであれば、僕も辛いですし。できるだけ人があまりいない時間帯の朝であったりとか、夕方であったりとかに漕ぐようにしてましたね。できれば夏に向けて、状態をあげていきたい所だったので、できるだけ水上には出たかったんですけどね。

初めての大舞台となる東京パラリンピック

コロナ禍の中、悩みながらも東京パラリンピックの出場を勝ち取った辰己選手。 初めての大舞台で、自分のすべてを出し切りたいと考えています。

辰己 博実選手
情勢的には、中止になっても仕方がないのかなって言うのは頭の片隅ではあるんですよね。あるんですが、せっかく自分でつかんだチャンスですので、できれば開催してほしいとは思います。ケガをして、良い時もあれば、悪い時もあって、辛いことも多かったんですけど、それを全部ひっくるめて今の自分なので、そこまでできたことには感謝ですし、今までやってきたことの全部をぶつけて、最後にレースのスタートに立って、ゴールした時に、良かったなって思えるようなレースをしたいと思います。

(取材後記)
今回、パラカヌー選手としての辰己さんを取材させて頂きましたが、実は、辰己選手、チェアスノーボードも上級者。急斜面の冬山も難なく滑ります。また、海ではサーフィンも。 そうした辰巳選手の側には、いつも“北海道の仲間達”がいます。北海道の仲間たちに背中を押され、初めてのパラリンピックに挑む辰己選手。パラカヌーは9月2日~4日まで行われ、 辰己選手は初日の2日から登場します。ぜひ、仲間たちの思いを胸に臨んでほしいですね。

2021年6月18日


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