NHK札幌放送局

オホーツクで広がるドローン活用

舛川 弥生

2022年9月30日(金)午後4時27分 更新

こんにちは。北見放送局の舛川弥生です。 北見市にことし7月、ドローンを展示するショールームがオープンしました。店内にお邪魔してみると、オホーツク地方では今、農業用ドローンの注文が増えているとのこと。実際にどのように活用されているのか現場を取材しました。

ショールームがオープンしたのは北見工業大学の目の前にある工業団地「北見ハイテクパーク」です。大型チェーン店のカフェに隣接した開放感のある建物が目を引きます。その店内に大小さまざまなドローンがずらりと並んでいます。

ドローンは撮影に使われるイメージが強いですが、店内でひときわ存在感を放っているのは農業用です。搭載した大きなタンクを使って広大な畑に農薬を散布します。隣に立った私と比べても大きさが分かりますよね。

農業用ドローンはコメや小麦栽培向けが先行する形で利用が広がってきましたが、最近は畑作中心のオホーツク地方でも急速に拡大しているそうです。7年前から販売を始めたこの会社ではおよそ50台を納入していて、ことしに入ってからさらに注文が増えていると言います。

実際に農業の現場で使われているドローンを見てみたいと、美幌町の畑を訪ねました。畑を飛ぶドローンは想像以上の迫力で、“ヘリコプターが着陸したの?”と思うほどの風圧を感じました。
作業を見せていただいたのは麦やビートを栽培している近藤直樹さんです。2年前に農業用ドローンを導入し、今では欠かせない存在になっているそうです。

近藤直樹さん
「ドローンは小さい物もあってそれほど重くないので、ある程度年を取っても扱いやすいと感じます。今でも十分満足できる使用感がありますが、これからどんどん普及していったらもっと良くなるかなと思っています」

ドローンを使った農薬散布のメリットはさまざまあるそうですが、大きく分けると以下の3つにまとめられます。
① 作業時間を大幅に短縮できる
② 足場が悪くても適切なタイミングで散布できる
③ 価格が比較的安く導入しやすい
とりわけ効果が大きいのは作業時間の短縮だそうです。1ヘクタールの散布にかかる時間は10分程度で、従来のトラクターを使った作業に比べて3分の1ほどで済みます。
近藤さんは「人手不足に悩む農家にとって救世主のような存在だ」と話してくれました。

農業用ドローンを使うには事前に講習を受けることが必要です。ただ、操縦は多くの部分が自動化されていて、GPSの情報を使ってわずか5センチほどの誤差で農薬を散布できるそうです。実際に畑で見せてもらった私も、機械が苦手な人でも慣れてしまえば使いやすいという印象でした。
ショールームを運営する会社では農業用ドローンの講習も行っていて、まだ導入はしていないものの試しに受講する農家も多いと言います。

美幌町の近藤さんは「小学生の息子が農業をカッコイイと思ってくれたのがうれしい」と話していました。確かにドローンを操縦する姿はカッコイイですよね!直接的なメリットだけではない効果もあるんだなと感じさせてもらいました。
ショールーム運営会社の村上敦哉さんはドローン活用の将来像をこんな言葉で語ってくれました。

桑原電装 ドローンインストラクター 村上敦哉さん
「オホーツクエリアの畑道を走っていたら、そこら中にドローンが飛んでいる。そういう未来が来ればおもしろいんじゃないかと思っています」

農業用ドローンで散布できる農薬はまだ限られていますが、ことしに入って新たにジャガイモ用の薬剤が認可されるなど活用の場は年々広がってきています。広大な畑のあちらこちらでドローンが飛び交う光景が見られるのは、そう遠くないかもしれません。

2022年9月30日


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