NHK札幌放送局

【データ分析】お盆の人出どうなった? 札幌・小樽の状況は?

ほっとニュースweb

2022年8月18日(木)午後0時56分 更新

全国的に過去最多レベルで新型コロナウイルスの感染が続くなか、3年ぶりに行動制限を伴わなかったことしのお盆。 久しぶりに北海道を訪れたという人も多かったようですが、道内の人出はどう変化したのでしょうか?
NHKがビッグデータを分析したところ、札幌や小樽では去年・2021年より人出が増えていて、特に小樽では新型コロナウイルスの感染拡大前に近い水準まで回復したとみられることが分かりました。
各地の人出はどの程度回復したのか。 2019年から2022年までのお盆の人出の推移を詳しく見ていきます。 

ビッグデータを分析すると

分析に用いたのは、NTTドコモが携帯電話の基地局からプライバシーを保護した形で集めたデータです。

8月10日から15日までの6日間、
①JR札幌駅周辺に午後3時台にいた人の数、
②小樽市中心部に午後3時台にいた人の数、
③札幌市の歓楽街 すすきの地区に午後9時台にいた人の数をそれぞれ分析しました。

まず、交通の要衝で多くの商業施設が集まる①JR札幌駅周辺です。

赤色で示しているのが、今年・2022年のお盆の状況です。
JR札幌駅周辺では、まん延防止等重点措置が出されていた2021年のお盆と比べると5%増加。
しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の3年前・2019年のお盆に比べると16%少なくなっていました。

次に、北海道最大の歓楽街②すすきの地区です。

すすきの地区では、まん延防止等重点措置が出されていた2021年のお盆と比べて2.2倍あまりと大きく増加しました。
ただ、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の3年前・2019年のお盆と比べると26%少なくなっていました。

最後に、運河を中心に多くの観光客が訪れる③小樽市中心部です。

小樽市中心部では、2021年のお盆と比べると7%増加しました。
新型コロナウイルスの感染が拡大する前の3年前・2019年のお盆と比べると6%少なくなっていました。

分析を通じてデータで裏付けられたことは次の通りです。

▽飲食を伴う夜の繁華街で大きく人出が増えるなど、各地で2021年を上回る人出となったものの、札幌市内では依然として3年前の感染拡大前の水準を大きく下回っている状況がうかがえる。
▽小樽市中心部では感染拡大前に近い水準まで回復したとみられる。

回復傾向の小樽では

人出の回復傾向が見られた小樽市で取材すると、宿泊施設や観光施設などからも観光客の回復に手応えを感じているという声が相次いで聞かれました。    

こちらは、観光客に人気の小樽運河を周遊するクルーズ船です。

8月1日から15日までの予約状況は、去年・2021年の同じ時期より3倍近くに増え、感染拡大前の3年前・2019年の同じ時期に比べて83%の予約数となったということです。

感染拡大防止のため、1度に乗れる客数を1割から2割ほど減らしている中での回復傾向ということで、運航する会社も手応えを感じています。

(クルーズ船の運航会社 小樽カナルボート 白畑博信さん)

「去年は運河の周りを歩いている人がほとんどいない日もあったが、ことしは予約がいっぱいで断らないといけない日もあった」

観光客の回復傾向は宿泊施設でも見られました。

小樽市中心部にあるホテル「運河の宿 おたる ふる川」では、お盆の期間中、満室状態が続きました。

予約のほとんどは道外からの観光客で、早い時期から予約で埋まったということです。

新型コロナウイルスの感染が急拡大し、発熱などで当日にキャンセルするケースもありましたが、その日のうちに別の予約で埋まるなど、盛況が続いているということです。

(運河の宿 おたる ふる川 古川淑恵社長)

「観光客のみなさんは、感染対策をして上手にコロナと付き合いながら観光を楽しんでくれている。このまま多くの人が小樽を訪れてほしい」  

さらなる観光客回復へ カギはインバウンド

さらなる誘客に向けてカギとなるのがインバウンドの回復です。

新型コロナの感染拡大前の2018年度には小樽市を訪れた観光客全体の30%あまりにあたる29万人が外国人観光客でした。

インバウンドが戻らない中で人出が回復しているのはなぜか。

小樽市観光振興室の松本貴充主幹は市独自の観光振興策が効果を上げている可能性を指摘します。

(小樽市観光振興室 松本貴充主幹)

「市が行っている宿泊者への観光ギフト券の補助などを利用してもらい、多くの国内観光客に来てもらっている。
インバウンドは国の政策によるところも大きいが、小樽にとって観光は一大産業なので、インバウンドの回復によってコロナ前の水準以上に盛り上がってほしい」

人出の戻りは道内でも地域によってばらつきがあります。

感染の収束が見通せない中で、今後、道内の観光客などが本格的に回復するかが焦点となります。

新型コロナの影響や道内経済の回復について、データを交えながら引き続きお伝えしていきます。
(札幌放送局 黒瀬総一郎記者 波多野新吾記者)

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