NHK札幌放送局

いつだって開発途中、夢が膨んでいくゲストハウス「UNTAPPED HOSTEL」

NHK高校放送部

2021年9月15日(水)午後7時34分 更新

親や先生(タテ)でも友達(ヨコ)でもない“ナナメの関係”が生まれる温かな居場所、#ナナメの場。9月18日(土)放送の「ラジオ #ナナメの場」では、「あなたの町の“ナナメの場”」と題して、北海道で場づくりに取り組む人に話を聞きます。 今回スタジオに招くのは、ゲストハウスオーナーの神輝哉(じん・てるや)さん。ラジオ本番より一足先に、MCの水野莉穂さん(ずーちゃん)が神さんのゲストハウスに足を運び、話をして感じたことを綴ってくれました。 

“未開発な居場所”の秘密

札幌・南北線、北18条という駅を降りたら、目の前におおきな信号がひとつ。
その信号を、心の赴くままに曲がってみてください。

ふと立ち止まってみると、そこにはついつい見上げてしまいたくなる4階建ての建物。

ここはきっと、誰かにとってのナナメの場、「UNTAPPED HOSTEL」。

UNTAPPED、つまり“未開発な”という意味を背負ったこの建物は、今年で7年目を迎える札幌のゲストハウスです。

「場」というのは、外から見ると、既に雰囲気が出来上がってしまっているような気がして、一歩中に踏み込むのは、すこし勇気がいることもあります。

ですがここは、いつまでも“UNTAPPED”な場所。

だからこそ、いつ来ても、いつ来始めても、みんなのちょっとした心の拠り所になるのです。

そんなUNTAPPED HOSTELの居心地の良さの秘密を、オーナー神輝哉(じん・てるや)さんから紐解いていきます。

この宿の、コンセプトとは

この宿は、つくり始めた時から、コンセプトやキャッチコピーはありませんでした。

コンセプトを固めてその場所を定義してしまうのではなく、旅人さんも地元の方も気軽に来られる場所になったらいいな、という神さんの想いがあり、大きな受け皿ではじめたかったそうです。

言葉には、大きな力があると信じているからこそ、あえて言葉にはせず、ゲストさんとスタッフさん同士のお喋りや距離感を通して、場の想いを伝えているそうです。

▲ゲストハウスの共有リビング。お喋りしたり、本を読んだり、好きな時間を過ごす場所。

場をつくるおもしろさとは

神さんが育ってきた原風景の中に、いろんな職業や立場のひとが集まって、楽しそうにお酒を酌み交わしたり、お喋りしたりしている大人たちの姿があったそうです。

そんな神さんが、東京でサラリーマンを経験したのちに、故郷の北海道に戻って自分でゲストハウスとしての場をもつことになりました。

あの頃外側から見ていた景色の中に実際に自分が入り込んでみると、新しく気づいた、ちいさなしあわせが、たくさんあったそうです。

10代の頃、アメリカを一人旅したときに覚えた、人と出逢うおもしろさ。そしてそこから実際に自分で場をもつと、今度は人と人が出逢うおもしろさに気づいたそうです。

人と人が出逢うことで、なにかがうまれる可能性がある。それは、なにか革命的なことではなくて、出逢う前と後で、ちょっとだけ人生が変わるような、そんなささやかで優しい出来事。

そんな場面に立ち会えるのが、場をつくるおもしろさかな!と、教えてくれました。

▲旅人さんからの贈りもの。ここはきっと、誰かの心の中にずっとあるナナメの場。

神さんにとってのナナメの場とは

そんな質問をすると、すぐに「バーですかね!」と笑って答えてくれました。

バーという場では、マスターを介していろんな人たちが繋がって、すごく深堀してくるわけでもなければ、距離をとりすぎるわけでもない。その“ちょうどいい距離感”が、気楽で落ち着く理由のようです。

UNTAPPED HOSTELでも、来てくれる方が自分らしくいられる、ちょうどいい距離感を大切にしているのです。

▲宿のなかに大きく掲げられた周辺地図。仲良しのお店が、増えていく地図。

そんな神さんが、これから新たにスタートすることとは

書店×シェルターとして、ゲストハウスに新しい可能性を生み出すことに挑戦されるそうです。

シェルターとは、ホームレスの方に3食と住まいを提供するもの。コロナ禍で行き場を失った方たちに向けて、2020年の5月にUNTAPPED HOSTELの別館でスタートさせた取り組みです。そして今回、そこに書店をくっつけて、新たな場をつくり始めるそうです。

サラリーマン時代に出版業界に勤めていたほど、本好きな神さん。今回、シェルターに加えてもうひとつの場をつくろうと思ったとき、居酒屋やカフェなど、いろいろな選択肢があった中で、書店に決めた理由を「いちばん優しく繋げてくれそうなのが本屋だったんだよね」と、教えてくれました。

人と人を、そして札幌のカルチャーと福祉の境界線を溶かして繋げていくのは、神さんのこの、温かくて心の深いお人柄だからこそ、ぽっと温かく照らしていける未来なのだと思います。

▲ふと手に取れる場所に並んでいる、誰かの好奇心

大きなことを目指すのも素敵、でも好奇心を原動力にして手元にあるじぶんの好きなものを大切にしていくことが、なにかを始めるきっかけになったりするのかもね、と話してくれる神さんの言葉は、いつだって力がふうっと抜けていて、だからこそ、温かい空気のようにそこにいる人たちを包み込んでくれるような、そんな優しさがあります。

▲UNTAPPED HOSTELの1階に入っている「ごはんや はるや」さんを照らす電球

そんなふうに、言葉を大切にしている神さんが選んだ本がたくさん並んでいる書店が、いつか、あなたにとってのナナメの場になるかもしれません。

<筆者プロフィール>
水野莉穂(みずの・りほ/ずーちゃん)
ラジオ#ナナメの場 パーソナリティー。紅茶の喫茶店アグラクロック オーナー。2017年北海学園大学を卒業して半年後、生まれ育った恵庭市で喫茶店をオープン。"自分が好きなじぶんで居られるところ"を大切にした場づくりを通して、輪づくりをしている。今後は、田舎暮らしを通して、季節と暮らしながら遊ぶ場づくりを計画中。

神さんのお話、生放送でさらに深掘りします。番組への投稿もお待ちしています!

ラジオ #ナナメの場
9月18日(土)午後2時~午後4時【NHK-FM・北海道ブロック】
※NHKラジオ「らじる★らじる」の地域選択「札幌」で聞くことができます

#ナナメの場 ホームページはこちら

2021年9月15日

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