NHK札幌放送局

野鳥が窓にぶつかる原因は?衝突を防止する対策を調べました! シラベルカ#49

シラベルカ

2021年5月7日(金)午後3時58分 更新

みなさんからの疑問を調べるシラベルカ!今回は・・・

「野鳥が窓に衝突しない方法を教えてください!春になると野鳥が窓にぶつかる事が多く心を痛めています。 自分なりに調べましたが、今ひとつどの方法がいいかわかりません」

佐呂間町で民宿を経営する40代の女性・ペンネーム:よちこさんからの投稿を調べます。

野鳥のガラス窓への衝突事故の原因と対策を調べているうちに、 私たちの知らないところで、野鳥の悲惨な衝突事故が多く起こっていることが 分かってきました。

野鳥が窓ガラスにぶつかる原因は・・・

 まずは帯広市の周辺で、鳥の衝突事故について調査をした帯広畜産大学の柳川久教授に野鳥が窓ガラスにぶつかる原因をうかがいました。

 柳川さんの調査によると、野鳥が窓にぶつかるパターンは主に3つ。

1.窓に映った空や木を目指して、鳥がぶつかる

2.家の手前と奥にある窓ガラスを見て、トンネルのように通り抜けられると勘違いしてしまうケース

3.窓の近くにあるエサ台などに集まってきた鳥が、何かに驚いて飛び上がったときに、ぶつかってしまうケース


窓ガラスへの衝突を防ぐ方法は・・・

では、野鳥が窓ガラスにぶつからないためにはどうしたらいいのか、ケガをした野鳥を長年治療してきた猛禽類医学研究所代表で獣医の齋藤慶輔さんにうかがいました。

齋藤さんは、野鳥が窓ガラスに衝突しやすいのは、部屋の中が暗く、窓ガラスが透き通って見えたり、景色が反射する時だと言います。それを踏まえて、以下のことをすべきとアドバイスします。

1.日中も電気をつけること
2.明るい色のレースのカーテン、またはブラインドを閉めること

電気をつけることで、部屋の中が明るくなり、空や木の窓ガラスの反射を抑えます。
明るい色のレースのカーテンをすることで、窓ガラス全体を覆い、反射を抑え、ここには「壁がある」と野鳥に伝えることができるということです。レースのカーテンのヒラヒラが 野鳥に障害物が目の前にあるとより気づかせやすいそうです。レースのカーテンが無い場合は、窓全体を覆う大きさの白系の色のブラインドも有効だそうです。

猛禽類の形をしたシールを窓に貼るという対策もあるそうですが、シールを貼っていない部分を鳥が通り抜けようとすることがあるので、シールを貼るなら、小さいシールを窓全体に貼らないといけないそうです。シールを貼るよりも、レースのカーテンやブラインドの方が手軽ではないでしょうか。


衝突した野鳥を見つけたら・・・

 対策をしても、強風に吹かれるなどのアクシンデントで野鳥が窓ガラスにぶつかることもあるそうです。倒れている鳥がいた場合は、最寄りの振興局の環境生活課自然環境係に 電話してください。相談に乗ってくれ、回収に来てくれることもあるそうです。


悲惨な野鳥の衝突事故は、私たちの知らないところで続いている・・・

窓ガラスの衝突事故が起こる原因と対策を教えてくれた齋藤さん。
齋藤さんの職場にうかがうと、私たちの知らないところで、多くの野鳥が、悲惨な事故に あっている姿を目の当たりにすることになりました。

このオジロワシは、風車にぶつかり、片翼とクチバシの一部を失いました。

このオジロワシは、車にぶつかり、上のクチバシと片眼を失いました。

多くの傷ついた野鳥を前に、齋藤さんは憤りを露わにします。

 こんなの治せない。獣医だったとしても、翼を生えさせることはできないでしょ。

車、風車、列車との衝突。さらに、えづけの場所に群がった鳥同士の空中衝突も あるといいます。衝突した野鳥たちは、ほとんどが息絶えます。生き残って、齋藤さんの 治療で命をつなぐ野鳥もいますが、ほとんどが野生に戻ることはできません。空を飛んで生きる動物なのに、二度と飛べないことがほとんどです。人間の豊かな生活の影で、翻弄される野鳥たちの姿がそこにありました。


ちょっとした気使いを野生動物に・・・

齋藤さんは、必要なのは、ちょっとした心遣いだといいます。 どうしたら彼等(野鳥たち)に迷惑をかけないか。そこを考える。それが共存。

齋藤さんは、衝突事故の原因を探り、その対策を考え、自治体や企業に働きかけています。

釧路市の橋に建てられた高さ4メートルのポールです。エサの魚を求め、川沿いを飛ぶオジロワシと橋を渡る車が出会い頭にぶつかるのを防ぐために建てられました。

高さ4メートルは、通行できる車の一番の高さ、ポールの間をオジロワシがすり抜けないようにポールの間隔も考えられています。

齋藤さんたちは、他にも列車、風車の衝突事故など、様々な事故の原因を調べ、対策を考え、実行に移しています。

野生動物特に傷病鳥というのは、自然界からのメッセージンジャーだと思っています。自然界がどんな状況になっているのか。それはこういう姿で我々に教えてくれているのでそれを我々がきちんとキャッチして教えてもらった自然界の病気を治して行くそれが重要なんじゃないかと思う。

最後に、齋藤さんに野鳥のために私たちができることをたずねました。

野生動物に気を使うにも、どう使えばいいかわからない。その時にお隣さんと例えます。自分がやる行動をふかん的にみて、普段は関係ないお隣さんの存在を頭のどこかにおいて、それで彼等に迷惑がかからないように、配慮する。それが必要なんですよね。
例えばこういうところに道路を作ったら、お隣さんが交通事故にあうんじゃないかなと考えて、ポールを設置するとか。それぞれの人が少しでも考えることによって、トータルでみると、野生動物からの軋轢というのは、軽減される思います。


お隣さんへの配慮

傷を負った野鳥たちにレンズを向けている間、心苦しく「ごめんな、ごめんな」と呟きながら撮影をしました。この状況を多くの人に知っていただき、関心を持ち、考えてもらえるように、これからも齋藤さんたちの活動を伝え続けたいと考えています。

室蘭局カメラマン 上野哲平
札幌局ディレクター 伊澤光之輔
2021年5月7日

北海道の生き物について関連記事(こちらもどうぞ)

ヒグマなどの野生動物への餌付け禁止 法改正へ
野生動物と人間の適切な関わり方とは・・・。北海道の知床では、人に慣れてしまったヒグマが人里に降りて駆除されたりすることが相次ぎ大きな問題となっています。
エゾシロチョウが大量発生?北海道に生息する白いチョウの謎
国内では北海道にしか生息していないチョウで、毎年6月中旬ごろに羽化するエゾシロチョウ。その生態に迫ります。

シラベルカトップページはこちら


関連情報

ふるさと納税って何? シラベルカ#21

シラベルカ

2020年9月4日(金)午後7時14分 更新

新型ウイルス影響で休校続く“学校教育”の問題に迫る シラベ…

シラベルカ

2020年5月15日(金)午後5時08分 更新

平熱・発熱とはいったい何度のこと? シラベルカ#30

シラベルカ

2020年11月13日(金)午後6時07分 更新

上に戻る