NHK札幌放送局

投票用紙は海を越えて…

衆院北海道2区補選

2021年4月9日(金)午前11時10分 更新

4月25日に投票が行われる今回の衆議院北海道2区補欠選挙。 実は、海外からも投票できるんです。それは「在外投票」(※読み方は「ザイガイ」)です。 

海外在住でも有権者に

「在外投票」は、仕事や留学などで海外に住む日本人が日本国内の選挙で投票できる制度です。前回・2017年の第48回衆議院選挙では、全国でおよそ10万人がこの有権者として登録され、このうちの2万1000人余りが投票しました。投票率は20%程度でした。

この「在外投票」が公職選挙法改正で制度化されたのは1998年、今から23年前です。この記事をチェックしている札幌放送局のSデスクは当時、記者2年目の若手で、「海外から投票できる」こと自体が衝撃だったといいます。グローバル化が進んだ令和の現代からすると“当然の権利”のように思えますが、当時は平成10年、“隔世の感”があります。
なお、実際の選挙では、「在外投票」は2000年の第42回衆議院選挙から行われていて、このときは有権者数が5万8000人余り、投票者数は1万7000人近くでした。
その後「在外投票」の規模は大きくなりましたが、実は投票率としては今もそれほど変わっていません。

この「在外投票」。かつては、衆議院選挙と参議院選挙の比例代表のみで行われていましたが、2006年6月の公職選挙法改正で、衆議院選挙の小選挙区、参議院選挙の選挙区、さらには衆参の補欠選挙や再選挙でも行われるようになりました。前年の2005年、最高裁判所大法廷が「投票を比例代表に限定する制度は、選挙権を保障した憲法に違反する」という判断を示し、法改正が行われました。

なお、衆議院選挙にあわせて行われる最高裁判所裁判官の国民審査では、まだ「在外投票」は行われていません。

また、「在外投票」と同時期に導入された遠洋漁業などの船員が船の上から投票する「洋上投票」は、全国一斉の衆議院選挙と参議院選挙のみが実施対象で、衆参の補欠選挙や再選挙は対象外です。
ということで、今回の補欠選挙では「在外投票」が行われます。海外からも投票できるんです。

「在外投票」 具体的には

「在外投票」として、海外から投票する方法は2つあります。
「在外公館投票」「郵便投票」です。

いずれも「在外選挙人名簿」に有権者として登録され、「在外選挙人証」の交付を受ける必要があります。「在外選挙人名簿」には基本的に日本にいた時の最後の住所で登録されます。
なお、「在外投票」だからといって海外で開票されるわけではありません。実際の開票作業は、国内投票とあわせて行われます。つまり、投票用紙が海を越えるのです。


2つの方法を具体的にみていきます。
まず、「在外公館投票」は、日本大使館や総領事館などに出向いて投票する方法です。その際、「在外選挙人証」とパスポートなどの本人証明書が必要になります。今回の衆議院北海道2区補欠選挙では4月14日に投票日が設けられる予定です。「在外公館投票」ができる日本大使館や総領事館は外務省のホームページで調べることができます。
ただ、今は世界的に新型コロナウイルスの感染が広がっています。
現地の感染状況しだいでは予定どおりに「在外公館投票」ができないおそれもあります。
実際、去年4月に行われた衆議院静岡4区の補欠選挙では、アメリカやヨーロッパなど20か国あわせて53の在外公館では「在外公館投票」を実施できませんでした。
過去の選挙でも、現地の治安情勢などを理由に「在外公館投票」ができなかったケースがあります。

一方、「郵便投票」は、有権者が直接、投票用紙を送る方法です。
今回の補欠選挙でいえば、まず札幌市選挙管理委員会に必要な投票用紙などを請求します。
その際、請求用紙とあわせて「在外選挙人証」を送る必要があります。この請求はいつでも可能で、告示前に行うこともできます。
選挙管理委員会からは、投票用紙のほか投票で使う2種類の専用封筒、投票用紙の交付記録が書き加えられた「在外選挙人証」が送られてきます。
そして告示翌日、つまり今月14日以降、その投票用紙に記入して、市選挙管理委員会委員長あてに送ります。
投票用紙は、国内投票が締め切られる今月25日午後8時までに市選挙管理委員会に届く必要があります。ちなみに郵送にかかる費用は、事前の投票用紙請求、そして投票用紙送付いずれも自己負担です。
なお、海外から郵送するわけですから、一定の時間がかかります。
事前の投票用紙請求も含めて、「郵便投票」する場合は早め早めに動いてください。
また、「郵便投票」の投票用紙を受け取ったあとでも、その投票用紙を在外公館に返却することで「在外公館投票」に切り替えることも可能です。

実は、ほかにもう1つ、海外に住む日本人が日本国内の選挙で投票する方法があります。
それは、日本国内に戻って投票する方法です。
選挙の時期に一時帰国した際、「在外選挙人名簿」に登録されている自治体で期日前投票したり、それ以外の自治体で不在者投票したりできるほか、投票日当日は「在外選挙人名簿」登録の自治体の決められた投票所で投票できます。いずれも「在外選挙人証」が必要になりますので、一時帰国の際は忘れないようにしてください。

(※不在者投票については、「投票を諦めないで! 不在者投票の活用を」の記事をご覧ください)

海外の1票も貴重な1票です!

次に「在外投票」の有権者となるためにはどうすればよいのかをみていきます。
まず、大前提として、「日本国籍を持つ18歳以上の有権者」であることが必要です。
そのうえで、前述したように「在外選挙人名簿」に登録される必要があります。
その申請には2種類の方法があります。

まず、「出国時申請」は、出国前、国外への転出届を提出する際に、その自治体の窓口で行えます。ただし、国内最終住所地の自治体で選挙人名簿に登録されているか、転出予定日までに3か月以上居住している必要があります。この「出国時申請」は2018年6月に始まったまだ新しい申請方法です。

一方、「在外公館申請」は、居住地域を管轄する日本大使館や総領事館などで行えます。
実際に登録されるためには、その在外公館が管轄する地域内に3か月以上継続して居住していることが必要です。なお、申請だけであれば3か月未満の居住でも可能です。
2種類の方法を比べますと、「出国時申請」のほうが簡単です。積極的に活用してください。

こうして、「在外選挙人名簿」に登録されると、「在外投票」で必要になる「在外選挙人証」が交付されます。ただし、「在外選挙人名簿」登録申請から「在外選挙人証」交付まで2か月程度かかります。今からだととても今回の補欠選挙には間に合いませんが、ことしは秋までに衆議院選挙があります。この春、海外に転居される方は、忘れず早めに「在外選挙人名簿」登録の手続きを進めてください。

最後に、衆議院選挙で北海道2区の「在外投票」の状況を整理します。
小選挙区で「在外投票」が導入された2009年の45回選挙から前回・2017年の48回選挙までの4回の選挙について、北海道2区の「在外選挙人名簿」に登録された有権者数と、「在外投票」の投票率の推移をまとめました。

このうち棒グラフで示した有権者数は200人未満で推移しています。区割りの見直しで北区の一部が北海道1区に移った前回選挙では175人でした。

札幌市選挙管理委員会によると、ことし3月1日現在、北海道2区では北区96人、東区67人のあわせて163人が「在外選挙人名簿」に登録されているということです。
一方、折れ線グラフで示した「在外投票」の投票率は、前回選挙は21.14%でした。
この4回で最も高かった45回選挙でも25%程度で、国内投票とあわせた全体の投票率と比べて「在外投票」の投票率は総じて低く推移しています。
「在外選挙人名簿」に登録しても、投票に行かない人が少なくないということです。

「在外投票」は、海外にいながら日本の将来を決めうる選挙に参加できる貴重な機会です。海外に住んでいると候補者の情報を得にくくなり、どうしても選挙は「遠く」なりますが、せっかくの機会をむだにせず、貴重な1票をいかしてほしいと思います。

報告 NHK札幌 臼杵良

2021年4月6日

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