NHK札幌放送局

「トラウトサーモン」ってなに? 道南の声、受信中! #3

道南web

2023年3月15日(水)午後6時45分 更新

視聴者のみなさんの身近な疑問・悩みを全力で調査する、「道南の声、受信中!」。 今回は、道南で養殖が盛んになっている「あの魚について知りたい」という声をもとに、朝山職員が取材してきました。 

【気になるのは、あの魚】
今回、声を寄せてくれたのは、「えさし水土里の会」のみなさんです。地元の伝統料理を受け継ぐ活動などをしています。

えさし水士里の会
「道南各地でトラウトサーモンの養殖の話を聞きますが、 なかなか私たちのほうでは見ることがないんですよね。そのトラウトサーモンがちょっと気になりまして」

最近ニュースで取り上げられる機会が多いという、養殖トラウトサーモンについて知りたいというものでした。話を進めてみると・・・。

朝山職員
「どんなえさで育っているかとか、知っていますか?」
えさし水士里の会
「全然知らない。食べることしか」
朝山職員
「大きさとかも?」
えさし水士里の会
「短くて太いというか、私たちみたいにまるまる太っている」

【トラウトサーモンを調査】
えさし水士里の会のみなさんの声を受けて、私も詳しく知らないトラウトサーモンについて調べるため、函館市入舟町にある漁港を訪れました。

今回訪ねたのは、おととしからトラウトサーモンの養殖に取り組んでいる函館市漁協函館サーモン養殖部会の松川雅樹さんです。早速、トラウトサーモンは「どんな魚なのか」、聞いてみました。

松川雅樹さん
「学術的にはトラウトサーモンという魚は、実はいないんです。一般的に川にいるニジマスを養殖目的で海水の中で育て、育てた魚をトラウトサーモンと呼んで販売しているのです」

一般的には川で育つニジマスを海で育て、流通・販売をする際にトラウトサーモンと呼んでいるということなのです。つまりトラウトサーモンという名前は通称だったのです。トラウトサーモンは海外からの輸入も多く、回転ずしなどでも食べられています。

【養殖している"生けす"へ】

トラウトサーモンの正体を教えてもらったところで、生けすまで連れて行ってもらいました。養殖用のいけすがあるのは、岸壁のすぐ近く。現場まで、船で数十秒。上からのぞくと、大量のトラウトサーモンの姿が見えました。

許可を得て、生けすの中にカメラを潜らせ、撮影させてもらうと・・・。

水中には、元気に泳ぎ回る姿が見えました!

松川さん
「こちらのほうで、いま大きさがだいたい1.8キロぐらい」
朝山職員
「ちなみにこの生けすでどれくらい?」
松川さん
「1600尾程度です」

最終的には大きいもので5キロほどまで育つそうです。このほかにも生けすがあり、ことしは5000尾ほどを養殖していて、養殖にかかる半年ほどは毎日、えさやりが欠かせないということなのです。

松川さん
「養殖を行う半年ほどは朝と夕方の1日2回、えさやりを行っています。基本的には毎日行うようにしています。きょうみたく天候がいい時は本当に気持ち良いんですけども、やっぱり吹雪の日だったり海が荒れていたりすると大変だなというところはあります。それでも、日々成長は感じられるので、そこが楽しみでもありますね」

取材をする中で松川さんは、スルメイカの不漁などが続く中、トラウトサーモンに期待を寄せているという熱い思いを教えてくれました。

松川さん
「サーモンは新しい魚になりますけれども、養殖をする背景を伝えながら、観光客にも地元客にも喜んでいただけるような、イカに肩を並べられるような魚になってほしいと思っています」

現在、函館で養殖を行っているトラウトサーモンは、6月ごろに出荷される予定で、味は上品に感じられるという脂が特徴だということです。道南では、ここ数年で八雲町をはじめ奥尻町などでも養殖が行われていて盛んになっています。今後、トラウトサーモン養殖がどういった展開をみせるのか、注目していきたいです。

取材後記:朝山憲太
今回一番驚いたのは、育つ場所によって魚の名称が変化することです。今回取材した養殖のトラウトサーモンも、育つ地域・場所が変われば、各地域でご当地サーモンとして別の名称を名付けられてブランド化されていて地域の特性がありおもしろい特徴だと感じました。スーパーや鮮魚店でもそういった名称を気にしてみると、おもしろい発見があるかもしれません。

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https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-ne059d729393c

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