被害があとを絶たない特殊詐欺。道内でもことしに入ってから相次いで起きています。これまでの被害状況と新たな対策についてご紹介します。(札幌放送局記者 堀内優希)
特殊詐欺 道内の最近の状況は
北海道警察本部のまとめによりますと、道内ではことし1月の1か月間に特殊詐欺の被害が12件確認され、被害総額はおよそ4000万円にのぼっています。去年1月の被害額がおよそ1億8800万円でしたので、4分の1程度に収まっているとも言えますが、引き続き高い水準で推移しています。
また、2月に入ってからは、在宅かどうかを探るいわゆる「アポ電」が相次いでいることもあって、警察は警戒を強めています。
ATMで被害を防ぐ
詐欺の被害をどうやって防いでいくのか。そこで今回は、ATMでの被害防止に取り組む金融機関の対策をご紹介します。
去年、道内で起きた特殊詐欺308件のうち、およそ3割にあたる92件はATMにお金を振り込ませてだまし取る手口でした。また、被害者がATMから引き出した現金を手渡してしまったり、郵送してしまったりするケースも多く確認されています。
特殊詐欺の被害を減らすには、被害者がATMに向かう前に手だてを講じる必要があるのです。
道内に数多くの支店を持つ北洋銀行も、ことしから新たな対策を始めました。
詐欺の被害に遭いやすい70歳以上の預金者を対象にATMの利用ルールを変更。キャッシュカードを使った引き出しについて、1日当たりの限度額をこれまでの100万円や50万円から20万円に引き下げました。年金受給者が1か月間に使う生活費の平均額などを考慮し、20万円に設定したということです。
預金者からは「利便性が落ちる」といった声もあったということですが、特殊詐欺被害を防止するためには早急な対応が必要だと考え、踏み切ったといいます。
ほかにも北洋銀行では、利用頻度が少ない預金者を対象にキャッシュカードを使った振り込み自体を停止するなど、さらなる対策を進めています。こうした対策でどのような効果が出ているのか現時点ではわからないということですが、銀行では、検証を行いながら改善につなげたいとしています。
北洋銀行法務コンプライアンス部 青木貴宏主任調査役
「今回の取り組みはお客様の大切なご預金をお守りするための対応で、特殊詐欺の被害防止に有効だと考えております。対象となるお客様にはご不便をおかけしますが、ご理解いただきますようお願い申し上げます」
被害に遭わないためのポイントは
ATMから振り込ませる手口の中で特に多いのが「還付金詐欺」です。還付金詐欺は、役所の職員などをかたって信用させたうえで、「還付金を受け取れる」とうそを言い、ATMの画面を操作させてお金をだまし取ろうとします。
今月、千歳市では60代の女性がこの手口でおよそ100万円をだまし取られる被害に遭っています。
還付金詐欺の被害に遭わないためには、次のような文言に注意してください。
✅「医療費や保険料の還付金がある」
✅「期限が迫っている」
✅「ATMで手続きができる」
ATMで還付金が受け取れることは絶対にありません。電話口の相手が市役所の職員や銀行員、警察官を名乗っても、電話でそうしたことを言われたらそれは詐欺ですから、すぐに電話を切ってください。
周囲の声かけも大切
ATMでは、周囲の人の目配りや声かけも詐欺の被害防止に効果的です。
北洋銀行によりますと、道内のATMでは去年1年間に銀行員や周りの人の声かけによって41件の特殊詐欺が未然に防がれたということです。
電話をかけながらATMを操作しているお年寄りなどを見かけて不審に思ったら声をかけてほしいと思います。また判断に迷うことがあれば警察の相談専用電話「#9110」を活用してください。
2023年2月22日
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