NHK札幌放送局

シラベルカ#16 旭川ラーメンの定義を調査!!

シラベルカ

2020年7月22日(水)午後5時30分 更新

みなさんの疑問を調べるシラベルカ!第16回目は旭川放送局発、「旭川ラーメン」について調べました。いったいほかのご当地ラーメンとどう違うのか。どんな定義があるのでしょうか。

地元だからこそ調べたい!

ラーメンは、北海道でも、ご当地グルメの代表格。シラベルカの投稿フォームでも「麺は食味のよいものもあれば、粉っぽいものも伸びやすいものもある。どこがどういう風に違うのか?」といった奥深い疑問もいただいていました。

では、旭川ラーメンの麺ってどういう麺なの? → そもそも旭川ラーメンってどんなラーメンを指すの?

と、地元にいながらも、ご当地ラーメンについて即答できなかった旭川放送局のメンバー。そこで今回、旭川が地元だからこそ、「旭川ラーメンの定義」に迫ることになりました。

旭川ラーメンって「しょうゆ味」が定義?

取材班が向かったのは、旭川ラーメンの名店が一堂に集まる「あさひかわラーメン村」です。ここに客として訪れた人たちに旭川ラーメンの定義をたずねると、しょうゆ味のイメージが強いという声が多く聞かれました。

では、定義は「しょうゆ味」が正解なのでしょうか。
確認するべく、ラーメン村の担当者に聞くと・・・。
あさひかわラーメン村事務局 髙井文人さん
「旭川ラーメンの特徴は テイカスイ麺を使用していることです」

「テイカスイ麺」?

どうやら、麺そのものに、ほかの地域とは違う特徴があるようです。テイカスイ麺とはいったいどんな麺なのか、詳しく調べるため、地元の製麺所を訪ねました。

テイカスイ麺を追う

向かった先は、旭川市内で、戦後すぐの昭和22年から営業しているもっとも老舗の製麺所、70年以上の歴史があります。市内にある100以上のラーメン店のうち、4分の1ほどがこの製麺所で作った麺を使っています。おじゃました午前8時には、出荷する麺の箱詰め作業の真っ最中でした。

テイカスイ麺とは何か、製麺所の3代目、加藤紀人社長が、忙しいなか取材に答えてくれました。

加藤ラーメン加藤紀人社長
「低加水麺とは、小麦粉に混ぜる水、かん水の割合が低い麺のことです。僕の祖父が作り始めたのですが、この麺を変えずに守り続けていくことが、僕の仕事だと思っています」

そう、テイカスイ麺とは「低加水麺」でした。ひと言で言うと、麺に含まれる水分の割合が低い麺のこと。
例えば、札幌ラーメンの麺の加水率は 37%前後ですが、旭川ラーメンは27%前後です。

麺は、小麦で作った生地に圧力をかけて平らに伸ばして作られます。水分の割合が低いと、麺が崩れないように圧力をかけるのに高い技術が必要になります。
そのため、熟練した技術を持つ職人が、その日の湿度に応じて「勘」で圧力の強さを調整しているそうです。
そうして作る「低加水麺」は水分の割合が低いことで、スープが、より、麺にしみこみやすくなります。

スープの特徴は?

では、その低加水麺にしみ込むスープにはどんな特徴があるのでしょうか。この疑問を解くにはぴったりの研究チームが旭川市内に存在することがわかりました。

それは旭川大学の江口尚文教授の研究室です。江口研究室は、経営学が専門分野、学生にも親しみやすいラーメン店を研究対象にしています。

旭川ラーメンの100店舗以上を訪れ、麺やスープを徹底的に調査、研究の結果をまとめて本として出版しています。さらに、研究室独自のラーメンも考案して販売、学生たちは、ラーメンを入り口に実践的に経営を学んでいます。

江口教授の研究で明らかになった、旭川ラーメンの定義、そして、低加水麺にしみこむスープの特徴とはいったい何なのか?

旭川大学経済学部江口尚文教授
「旭川ラーメンには、低加水麺、ダブルスープ、味はしょうゆ味という特徴があります」

江口教授によりますと、市内のラーメン店の9割以上が低加水麺を使用しているということです。また、しょうゆ味を売りにしているラーメン店は、8割近くにのぼります。

「ダブルスープ」とは、豚骨や鶏ガラなどの陸の食材に加え、サケやコンブなどの海の食材をだしに取ったスープです。旭川市は、明治時代から、養豚業が盛んだったことや、交通の要所として、海の幸も多く集まってきたことから発展してきたとみられています。市内のラーメン店の6割以上がダブルスープを採用しているということです。

旭川ラーメンの定義

旭川ラーメンとはどんなラーメンなのか?

  • 低加水麺
  • ダブルスープをベース
  • しょうゆ味

ということがわかりました。しかし、ラーメンを経営学の対象として研究を続けている江口教授は、最近のラーメン店の経営努力、ラーメンの進化について付け加えました。

旭川大学経済学部江口尚文教授
「最近、旭川では麺、スープ、味、多様なバリエーションのお店が出てきています。旭川に来たらいろんなお店をまわって、それらの特徴も踏まえて味わっていただきたい」

ラーメンの奥深さを知る

最後に、私は、この1週間で取材のためにラーメンを7食食べて少し太ってしまいましたが、ご当地ラーメンというのは、その地域の産業や歴史などが複雑に絡み合っていて、非常に奥深いものだと、強く感じました。

取材のきっかけになった投稿、「麺は食味のよいものもあれば、粉っぽいものも伸びやすいものもある。どこがどういう風に違うのか」という疑問については、今回の取材で「加水率」の違いが大きなポイントということがわかりました。
加水率を低くすると、小麦粉の香りは強く感じられ、スープとの一体感が高まる一方、粉っぽく、伸びやすいというデメリットもあります。その加水率は、ご当地ラーメンの背景にある歴史や、地域に住む住民の趣味嗜好により決まっているのでしょう。

これからも、「旭川ラーメンを愛する記者」として、積極的に食べ歩き、疑問や魅力を発信していきたいと思います。

(取材:旭川放送局 芋野 達郎 記者/ 札幌放送局 廣野 未沙子 ディレクター)

放送の動画はこちら↓


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