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進む人口減少 変わる道東 web

ほっとニュース北海道

2020年11月18日(水)午後2時57分 更新

「道内第5の都市が変わる?」  ▼197万都市の道都、札幌。そして▼旭川(33万人)▼函館(25万人)▼苫小牧(17万人)▼釧路(16万人)。道内の人口上位5都市です。この順位に変化が起きようとしています。変わるのは道内第5の都市。近く釧路の人口を帯広が上回る可能性が高まっているのです。日本中、どの地域でも人口減少が避けられない中、見えてきた道東での都市人口のチェンジ。その背景を取材しました。

釧路と帯広 迫る人口逆転

釧路と帯広に迫っている人口逆転の可能性。まずは2つの都市の人口の推移を見ていきます。釧路の人口のピークは1984年(昭和59年)の21万8145人。しかし炭鉱の閉山や漁業など基幹産業の不振が続き、人口は急速に減少しました。特にこの10年では2万人近く減少し、人口減少に歯止めがかかっていません。帯広の人口も2001年(平成13年)の17万5164人をピークに減少が続いていますが、減少ペースが緩やかで、釧路との人口差が縮まり続けています。そして10月末時点での人口は、釧路が16万5951人、帯広は16万5655人。かつては6万人以上もあった差が、ついに300人を切り、近く、帯広の人口が釧路を抜く可能性が高まっています。この現状について、それぞれの街で聞きました。

帯広市民
「やっぱりうれしいですよね。帯広は農家も多いし、いろいろな工場もあるからやっぱり人口も多いんじゃないですか」
「帯広市民としてはうれしいけど、やっぱり釧路にも発展してほしいですね」
釧路市民
「人口が逆転するとは知りませんでした。釧路の住民としてはやはり寂しいです」
「働くところが少ないっていうのはやっぱり大きいんじゃないでしょうかね。残念だなっていう思いがありますね」


人口逆転の要因は…

帯広市の人口減少のペースはなぜ緩やかなのか。一因として指摘されているのが、好調な基幹産業の農業です。十勝地方にある24の農協の農畜産物の販売額は去年は3549億円と過去最高を更新しました。大規模化や高付加価値化の取り組みによって、10年前と比べ1100億円余り、率にして45%も増えています。好調な農業を背景に、地域経済には好循環が生まれているといいます。

帝国データバンク帯広支店 山元勝海支店長
「農業が好調であることによって、例えば畑作関係であれば農協の大型の倉庫を新設・改修するといった設備投資にもつながっています。建設業や土木関係の企業が農業とうまく結びついて経済を回していると言えます。帯広に経済活動の拠点として魅力が間違いなくあると思います」

経済活動の拠点としての帯広の魅力。山元支店長によりますと、企業の中には釧路にあった拠点を帯広に移転させる動きも確認されているということです。取材を進めると、実際に大手電機メーカーや旅行会社が道東地区の拠点を釧路から帯広に移しているという動きが確認できました。


商機を見いだす企業も

ことし9月、帯広にオープンした回転ずし店。休日を中心に多くの家族連れなどでにぎわうこのお店、実は経営するのは釧路の企業です。帯広への出店はこの店舗で3店舗目で十勝への出店を強化しています。この企業では他にも、帯広の隣町の音更町などへの出店も計画しているということです。さらに数年後には今回開業した店舗の敷地内に、とんかつ店の出店も予定しています。企業にとって帯広は魅力的なマーケットだといいます。


回転ずし店 加藤章弘 道東支社長
「帯広はお客様1人あたりの単価がほかの地域と比べても非常にいい状況が出ていますので、街に元気があると思います。魚や農畜産物の仕入れもしやすく、非常に魅力的な場所だと感じています」


帯広に“タワマン”登場

経済の勢いを、中心市街地の活性化につなげようという動きも出ています。帯広市の中心部に10月下旬に完成したタワーマンション。市街地再開発の一環として建設されました。道東初となるタワーマンションで、高さは60メートルと十勝最高層。部屋からは十勝平野を一望できます。価格が高い部屋は1億円を超えますが、11月上旬の時点で、8割ほどの部屋がすでに売れているといいます。

マンション販売会社 二瓶聖 部長代理
「上層階の購入者の3分の2ぐらいはセカンドハウスという形で、居住地を持ったままマンションを購入しています。購入者には農家さんもいらっしゃって、農作業をしない冬にはマンションに住んで、春に郊外の自宅に戻るというような、2拠点生活のための1つの拠点として買われたようです。これまでのところ、販売は非常に順調にいっていると思います」


“人口逆転”釧路・帯広市長は

一方、釧路では11月5日、日本製紙が釧路工場での紙の生産を終了するという発表がありました。人口減少への危機感も高まっていて、10月の市長選挙では人口減少対策が大きな争点になりました。釧路市の蝦名市長は雇用創出を図り、若年層の転出防止や少子化対策に力を入れる考えを示しています。道東の人口変化への受け止めや今後の街作りについて釧路と帯広、それぞれのトップに聞きました。

釧路市 蝦名大也市長
「人口で苫小牧に逆転され、帯広が迫ってきていることは、多くの市民にとってショックなことだと思います。そうした中でも、人口減少にはしっかりあらがっていきますし、いろいろな形でとにかく増加に向けた施策に取り組んでいきます。産業や経済の活性化を図っていくことが重要だと思っています」
帯広市 米沢則寿市長
「中長期的には日本中どこでも人口減少ということが避けられない中、今後帯広も人口が急に減るかもしれません。近年は『帯広市』ではなく『十勝』という視点で動いてきましたが、今度は釧路や北見も含め『ひがし北海道』という視点でみんなで頑張っていけたらいいなと思います。その中で十勝や帯広は何ができるのかということを真剣に考えていけたらと思っています」


【取材を終えて】
釧路と帯広は地理的に近いこともあってつながりが深く、帯広市民の中にも「釧路の人口が減るのは寂しい」と残念そうに話す人が多くいました。札幌出身の私も釧路には親戚がいて、1年に1回は訪れていた街なので、かつての中心市街地のにぎわいを思うと寂しい気持ちがこみ上げてきます。確かに都市の人口は、街づくりにとってはひとつの指標ではありますが、帯広市の米沢市長も話していたように、いま必要なのは「道東」全体でどう地域づくりを進めるのかという視点だと思います。釧路と帯広、「道東」を代表する2つの都市の協力がこれまで以上に求められていると感じました。

(帯広局 記者 辻脇匡郎)

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