北海道から岩手県にかけての沖合にある「千島海溝」と「日本海溝」で、巨大地震と津波が発生した場合の国の新たな被害の想定がまとまりました。最悪の場合、北海道内の死者はおよそ13万7000人。その中身を解説します。(保存版です)
死者数
日本海溝と千島海溝で巨大地震と津波が冬の深夜に発生し、住民の避難が遅れた場合の道内の死者数です。
- 日本海溝で約13万7000人
- 千島海溝で約8万5000人
犠牲となる人の大半は津波によるものだとしています。
低体温症
日本海溝と千島海溝で巨大地震と津波が冬の深夜に発生して、住民の避難が遅れ、津波から逃れても屋外で長時間過ごすなどして低体温症になり死亡のリスクが高まる人数です。
- 日本海溝で約1万9000人
- 千島海溝で約1万4700人
負傷者
日本海溝と千島海溝で巨大地震と津波が冬の深夜に発生し、住民の避難が遅れた場合の道内の負傷者数です。
- 日本海溝で約5900人
- 千島海溝で約4200人
避難者数
冬の夕方に地震が発生し、住民の避難が遅れた場合の道内の避難者数です。
被災から1日後の避難者数です。
- 日本海溝で約41万3000人
- 千島海溝で約25万人
被災から1週間後の避難者数です。
- 日本海溝で約26万5000人
- 千島海溝で約16万8000人
被災から1か月後の避難者数です。
- 日本海溝で約26万5000人
- 千島海溝で約15万5000人
とされています。
孤立集落
道内で津波や土砂崩れなどが起き道路が寸断されて孤立するおそれのある集落の数です。
- 日本海溝で62か所
- 千島海溝で49か所
断水
被災の直後に断水の影響を受ける人の数です。
- 日本海溝で約1万5000人
- 千島海溝で約30万2000人
被災から1日後に断水の影響を受ける人の数です。
- 日本海溝で約1万3000人
- 千島海溝で約28万8000人
被災から1週間後に断水の影響を受ける人の数です。
- 日本海溝で約4600人
- 千島海溝で約19万6000人
被災から1か月後に断水の影響を受ける人の数です。
- 日本海溝で約400人
- 千島海溝で約3万6000人
下水道
被災の1日後にトイレが使えない人の数です。
- 日本海溝で約114万人
- 千島海溝で約53万人
被災の1週間後にトイレが使えない人の数です。
- 日本海溝で約94万5000人
- 千島海溝で約38万9000人
被災の1か月後にトイレが使えない人の数です。
- 日本海溝で約14万2000人
- 千島海溝で約3万4000人
停電
停電も長期化します。
- 日本海溝では、地震の1日後から1か月後にかけて、4%にあたる約10万7000戸が停電するとされています。
- 千島海溝では地震の1日後に約5万4000戸が停電し、1週間後から1か月後にかけては約5万3000戸が停電するとされています。
ガス
道内で約51万1000戸が利用している都市ガスも供給が止まります。
- 日本海溝では、被災直後から1か月後にかけ約6万戸で供給が停止するとされています。
- 千島海溝では、被災直後から1か月後にかけ約6万7000戸で供給が停止するとされています。
携帯電話
携帯電話は地震のあとの津波の浸水によって道内の基地局が電源を確保できず機能を停止します。
- 日本海溝では被災直後から1か月後まで5%が機能を停止します。
- 千島海溝では被災直後から1か月後まで3%が機能を停止します。
建物
冬の深夜に発生した場合、全壊する恐れのある建物の数です。
- 日本海溝では約11万9000棟で、要因の内訳は、津波が約11万8000棟、液状化が約800棟となっています。
- 千島海溝では約5万5000棟で、要因の内訳は、津波が約5万1000棟、揺れが約1700棟、液状化が約1600棟、火災が約700棟、急傾斜地の崩壊が約70棟となっています。
道路
津波や地震の揺れ、橋の損傷などによって道路が通行できなくなる場所の数です。
- 日本海溝では約2700か所
- 千島海溝では約1100か所
高速道路については地震の影響を受ける地域が限られるため、一般車両の通行は制限されますが、機能はおおむね維持されるとしています。
鉄道
津波や地震の揺れ、橋の損傷などで鉄道が運行できなくなる場所の数です。
- 日本海溝で約800か所
- 千島海溝で約1200か所
北海道・東北新幹線は約30か所が被害を受け、一部の区間は1週間後も運転できず、脱線が起きた場合は、復旧まで2か月かかるおそれがあるとしています。
空港
空港は道内では函館空港が震度5以上の揺れの影響を受けて運用を一時停止する可能性があるとしています。
港湾
港湾は548の岸壁のうち千島海溝で、約50か所に被害が出て、被害を受けたところでは本格的な復旧に2年以上かかるおそれがあるとしています。
防波堤
道内の総延長約98キロメートルの防波堤のうち、損壊するなどの被害を受ける範囲です。
- 日本海溝では約39キロメートル
- 千島海溝では約36キロメートル
コンビナート
千島海溝では道内の石油コンビナートなど約1000の施設のうち約10の施設でタンクや配管の破損や火災などの被害が起きるおそれがあるとしています。
石油タンクで火災が起きた場合でも周辺への影響は小さいとしていますが、毒性のガスや可燃性のガスが大量に漏えいした場合は、周辺に影響が及ぶとしています。