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シカとの事故を防ぐには?

  • 2022年10月26日

今回のテーマはシカについて。
シラベルカ取材班がシカをシラベルのは初めて?!
 『鹿よけ笛』に関して投稿をいただきました。 

「去年、バイクでシカと衝突しました。ホームセンターなどで見かける、車やバイクなどに取り付ける『鹿よけ笛』の効果が知りたいです」(男性・56歳)

たしかに、北海道を車で走っているとシカが路上にいる様子をよく見かけますよね。シカによる交通事故、どのくらいあるものなのでしょうか?

上の画像は、道警がまとめたエゾシカが関係する交通事故の件数を示したグラフです。
去年は4009件の事故が起きていて、5年連続で過去最多を更新しています。
シカによる交通事故は、ひとごとではないのかもしれません。

まずは投稿者の方にお話を聞きに行ってきました!

まさか自分がぶつかるとは…

投稿を寄せてくれた五十嵐英樹さんです。ニセコ町でゲストハウスを営んでいます。

事故当時のバイクの写真を見せてくれました。ウインカーが折れているのが分かります。

五十嵐さんは去年の10月上旬、道東をバイクでツーリングしている最中にシカと接触しました。
道路に2頭のシカがいたため、五十嵐さんは一旦、バイクを停めました。
再び走り始め、しばらくしたところで後から飛び出してきたもう1頭にぶつかったといいます。

五十嵐英樹さん
「シカが出るかなという予想はしていたので、そこそこ速度は落としていたつもりですけど間に合わなかったです。『まさか自分がぶつかるとは』という感じですね」

写真にもあるように、五十嵐さんが事故にあった現場は片側1車線の林にはさまれた道路です。急に飛び出してきたシカを避けるのは難しそうですね…。

幸いにも五十嵐さんに大きなけがはなく、シカもぶつかったあと山の方に逃げて行ったそうです。しかし、シカにぶつかったバイクはウインカーが折れただけでなく、駐輪させるときに使うセンタースタンドが取れてしまい、修理が必要となりました。

シカとの事故は避けられるのか

五十嵐さんが最近気になっているのが、シカと車両の事故を防ぐために開発された「鹿よけ笛」です。

「鹿よけ笛」とは、車やバイクの前方部分に取り付け、走行中に受ける風によって音が鳴る仕組みの笛です。
鹿よけ笛は2種類の笛がひと組になっているものが多く、車両が走行するときの風を受けて2つの笛からそれぞれ違う音を発します。
これらを車のフロントグリルやサイドミラーの横など、空気が流れやすい場所に取り付けることで音を鳴らすそうです。

五十嵐さんのゲストハウスを訪れるライダーたちも取り付けている人が多いといいます。どれだけの効果があるのでしょうか?

「鹿よけ笛」の研究って?

「鹿よけ笛」を実験で調べた研究者がいる大学に向かいました。

音声・音響工学を研究している北海道科学大学の松﨑博季(まつざき・ひろき)教授です。車両とシカとの事故を防ごうと、鹿よけ笛から出る音の測定や、鹿よけ笛の音に対するシカの反応を調査する実験を行っています。

松﨑教授は、7年前、鹿よけ笛を車に取り付けて走行時の音を測定する実験を行いました。

「残念ながらですね、そのとき使用した笛では、音を確認することはできませんでした」

この実験では、鹿よけ笛は空気の流れによって音が鳴らない場合があり、車体の取り付け位置が難しいことがわかりました。

そこで松﨑教授は、事前に収録した鹿よけ笛の合成音をスピーカーで流して、シカの反応を見る実験も行いました。
すると鹿よけ笛の合成音に対して、野生のシカ15頭のうち8頭が警戒して立ち止まるなどの反応を示しました。

ほかにもシカの警戒した鳴き声をスピーカーで流した場合は、11頭のうち10頭が反応し、実験したなかでは最も高い効果が見られたということです。

松﨑教授はほかにも、枯れ葉を踏む音やヒグマの鳴き声など、さまざまな音を使用してシカの反応を調査しているそうです!

鹿よけ笛について、教授は…

北海道科学大学工学部情報工学科 松﨑博季教授 
「鹿よけ笛は、しっかり音が出る形で付けられれば、おそらくシカは反応を示します。うまくいけば足を止めて、車両との衝突を防ぐというふうに考えています。どのような方法でも動物は慣れといった問題もありますので、個人で行うことのできる対策としましては、やはり安全に走行することが一番なのかなと思います」

なるほど、一筋縄ではいきませんね…。
シカとの衝突事故対策、まずはシカを知ることから!そう考えたシラベルカ取材班は、エゾシカの生態に詳しい専門家にお話を聞くことにしました。

シカとの事故 防ぐには

エゾシカを中心とした狩猟管理学の専門家、酪農学園大学の伊吾田宏正(いごた・ひろまさ)准教授です。

伊吾田先生によりますと、秋のこの時期は、エゾシカが交尾期に入り行動が活発化することや越冬地に向かうために移動することからシカの出没が増え、事故も増えているということです。

伊吾田先生に伺った、運転する際に注意すべきポイントをまとめてみました。

・1頭だけと思わない。
・秋~初冬の運転に気をつける。
・早朝や夕方、深夜の運転に気をつける。
・シカの急な方向転換や転倒に注意。

まず、群れで行動することの多いシカは、1頭目の後に複数の個体がついてきている可能性があります。1頭いたら周囲に他のシカがいないかも確認が必要です。
また、シカがよく出没する早朝や夕方、夜間にかけての時間帯には注意が必要になります。
ほかにもシカは、道路を横断するとき、急な方向転換や予期できない素早い動きをする場合があります。シカは蹄をもった動物なので、冬、路面が凍結しているような場合ですとシカが転んだり滑ったりすることもあるので、注意する必要があります。

伊吾田先生は、シカの生息数の増加に伴って生息域も広がっているとして、これまでシカがいなかった地域でも運転時などに注意が必要だと話していました。
鹿よけ笛が付いているからといって安心せず、ひとりひとりのドライバーが十分注意した上で運転することが重要だと感じました。

シカとの事故についてもっと知りたい方はこちらもどうぞ
「もし、エゾシカとぶつかったら」

投稿はこちらから↓

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