NHK札幌放送局

自転車が車道を走ると危ない!歩道は走っちゃだめ?意外と知らない自転車の交通ルールを調べました シラベルカ#59

シラベルカ

2021年7月20日(火)午後3時48分 更新

最近、街なかでよく見る自転車。手軽に乗れて便利な乗り物ですが、自転車のルールをよく知らない人も多いのではないでしょうか?今回、NHK北海道の「シラベルカ」が、どうすれば自転車が車道を安全に走れるかをテーマに、交通ルールや走行方法を調べてきました。 

札幌市中心部は路上駐車をしている車が多くて、自転車は安全に走れない!?

今回の取材のきっかけは、シラベルカに寄せられたこちらの投稿です。

投稿文
「自転車は車道の左側を走るものと決められていますが、実際は駐車している車が多く、安全に走れる状態ではありません。どうすればいいでしょうか?」

この他にも、自転車が車道を走行する上での悩みや、交通ルールの疑問が寄せられていました。手軽な乗り物である一方、ルールに関して迷いながら自転車に乗っている方が多いようです。

さっそくお話を伺うため、投稿者と待ち合わせすると・・・

現れたのは「#26 札幌のカラスって減ったの?増えたの?」の回で取材させて頂いた、札幌カラス研究会の中村さんでした!

(左・2020年10月19日放送)

毎日カラスの研究のために札幌市内を自転車で走り回っている中村さん。車道を走行中、路肩に駐停車している車を追い越そうとして、至近距離に迫ってきた車に身の危険を感じることがよくあると言います。

特に怖い思いをするのが、行政の建物や商業施設が建ち並ぶ地域です。取材した日も、車道上に駐停車している車を多くみかけました。駐車禁止の場所で駐車している車や、長時間にわたって停車している車が多く、こんな状態では自転車が車道を走行するのは難しいように思えます。

中村眞樹子さん
「中心部はいつも路肩に車が止まっていて、安心して走れる場所がありません。たまに車にあおられたり、クラクションを鳴らされたりすると、怖くなって歩道を走ってしまいます。歩行者に怖い思いをさせたいわけでないけど、自転車はどこにいけばいいんでしょうか」

自転車でも歩道を走ってよい場合とは

道路交通法上、「軽車両」扱いとなっている自転車。原則として車道の左側を走らなければいけません。しかし、中村さんのように身の危険を感じてまで、車道を走行し続けなくてはいけないのでしょうか?

北海道警察に問い合わせたところ、自転車が歩道を走っても許される場合が3つだけありました。

1. 歩道に普通自転車歩道通行可の標識や標示があるとき。
2. 13歳未満の子供や70歳以上の高齢者や身体の不自由な人が、普通自転車を運転しているとき。
3. 道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行することが困難な場所を通行する場合や、著しく自動車などの交通量が多く、かつ、車道の幅が狭いなどのために、追越しをしようとする自動車などとの接触事故の危険がある場合など、普通自転車の通行の安全を確保するためやむを得ないと認められるとき。

そう、自転車が車道を走行する上で危険を感じたら、歩道を走ってもいいんです!

とはいえ、じゃあ自由に歩道を走行してもいいという訳ではありません。

あくまでも歩道は歩行者が優先なので、自転車は歩道の車道寄りの部分を、いつでもすぐ停止できる速度で走行しなくてはいけません。

自転車だけが通れる「自転車レーン」の設置は?

ここまで読んで「自転車って車に怯えながら、歩行者にも気を遣ってなんだか大変だなあ。自転車のための道があればいいのに・・・」と、思われた方もいるのではないでしょうか。

札幌市でも市民からの要望をきっかけにして、ある取り組みが行われています。

こちらのマークを見かけたことがある人も多いのではないでしょうか?

札幌市では平成24年から自転車が走行する位置に、「矢羽根型路面表示」などの青いマークを設置する取り組みを進めてきました。

矢羽根型路面表示とは、自転車に「ここを走ってくださいね」と伝えたり、車に「ここを自転車が通りますよ」と知らせしたりするものです。自転車に通行を義務化したり、車の停車を禁止したりするなどの法的拘束力はありません。

自転車と車の共存のため、お互いの認知を進めるためのものです。

札幌市ではこのマークを設置したところ、一部の車道では自転車の車道通行率が設置前の23.1%から、設置後に42.6%に上昇。車道を走る自転車を増やすことに成功し、以前より安全性が増したとの声が多数寄せられたと言います。

とはいえ、自転車は車と同じ道を走らねばならず、自転車が駐停車している車に困っている現状を打開してくれるものではありません。

もっと自転車だけが通るような道を作ることはできないのか・・・。

調べてみると、全国各地で自転車だけの道の整備が進められていました。

それが、「自転車道」や「普通自転車専用通行帯」です。いわゆる「自転車レーン」と一般的に呼ばれるものです。

これらは自転車が通るためのスペースが確保されていて、車も原則停車禁止となっています。一方、札幌市には、自転車と車が車道を共有して通行する道路しかありません。

自転車だけが通ることができる「自転車道」や「普通自転車専用通行帯」が札幌にも設置できれば、かなり自転車の安全が確保されそうですが・・・。

調べてみると、北海道にはそうはいかない事情がありました。

札幌には自転車レーンが作れない!?雪国ゆえの悩み

札幌市に自転車レーンを設置できない理由を取材したところ、いくつかの問題点があることが分かりました。
まず、自転車レーンの幅を確保するためには、代わりに車道や歩道の幅を狭めないといけません。そうすると、今度は車や歩行者の安全が危うくなります。 そして、それだけの工事をするとなると、当然費用がかさんできますし、時間もかかります。

さらには、北海道ならではの事情も絡んでいることが分かりました。

 
上記の表にもあるような自転車レーンは、自転車だけが通行できる場所です。 逆に言えば、レーンがある場合、自転車は歩道を通行してはいけません。

「それの何が問題なの?」と思われる方もいると思います。
ですが、ここで思い出してください、北海道の冬を・・・。

北海道では雪が積もると、一番左の車線が雪捨て場になって完全に埋まってしまいます。歩道と車道の間に作られる自転車レーンも当然雪で埋まってしまうことが想定されます。
そうなると、自転車は残された車線を走行するしかありません。雪に埋まっているとはいえ、もちろん自転車は歩道を走ってはいけません。

つまり、自転車はツルツルの狭い車道を車と一緒に走らなくてはいけなくなります。 言うまでもなく、これはかなり危険です。

自転車レーンを除雪してくれれば一番良いのですが、それもかなりの費用がかかるそうです。
北海道に設置するのは、なかなか簡単ではないようです。

自転車が今すぐできる安全対策、ハンドサイン

徐々に青いマークなどの整備への進められているとはいえ、今すぐ自転車の安全を確保したいのが自転車ユーザーの本音ではないでしょうか。
危ないときは歩道を走行できますが、歩道と車道を頻繁に行き来するのも、歩行者や車との接触事故の原因になりそうです。逃げる歩道がない場合も当然あるでしょう。

もっと自転車に役立つ情報はないのか。
 そこで、自転車の専門家にお話を伺うことにしました。自転車に関する政策の提言などを行っているNPO・自転車活用推進研究会の小林成基さんです。
なんと小林さんは、札幌の自転車レーンの設置に携わっていた方でもありました。

取材班「自転車が車道を安全に走るための方法って何かないですか?」
小林さん「やっている人はあまりいないと思いますが、ハンドサインというのがあります」

ハンドサインとは、車や自転車の動きを周りに伝えるときに使用する方法です。
車だとウィンカーという方向指示器がありますが、自転車には何もついていない場合が多いので、そんなとき役に立つのがハンドサインです。

そもそも、道路交通法第五十三条で「車両(自転車以外の軽車両を除く。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない」と定められています。

つまり、どういうことかと言うと、
自転車も方向指示器やハンドサインを使わないと、罰金が課せられるんです!

取材班もこれにはびっくり。
是が非でも、使い方を覚えなければなさそうです。

ハンドサインには色んな種類がありますが、今回は日本の法律で決められているものを小林さんに教えてもらいました。

主なハンドサインは3つです。

1.右方向へ進路変更 → 右手を水平に出す

2.左方向へ進路変更 → 右手を直角に曲げる

3.徐行または停止する → 右手を斜め下に出す

例えば、車道上に駐停車している車を追い越したい場合はどうするかというと・・・。
まず、止まっている車を追い越す3秒前に、右手を水平に出し、右に出る意思表示をします。車の横にさしかかったら、右手を直角に曲げて、左に戻る意思表示をする。車を通り過ぎたら、そのまま自転車を元の位置に戻します。

(NHKの駐車場内で小林さんに実演してもらいました)

取材班「3つでいいなら、なんとか覚えられそうです。でも、ハンドサインを使うと片手運転になってしまいますよね」
小林さん片手運転が難しければ、駐車している車の後ろで一度止まり、隣の車線の車が通り過ぎるのを待って動き出せばいいと思います
取材班「無理はしない方がいいですね」

実際にハンドサインを使いながら、小林さんと札幌市内を自転車で走行してみました。

すると、ハンドサインというツールを使うだけで、それまで怖かった車となんとなく意思疎通が取れているような感覚がありました。

もし自分が車側だとしたら、何を考えているのかわからない自転車が目の前にいると不安だと思います。でも、自転車がどうしたいのかさえ分かれば、スピードを落としてあげるなど配慮することができます。

小林成基さん
「ハンドサインは路上でのコミュニケーションなんです。はっきり自分が<行きます、行きません、止まります>っていう事を示さないと、相手には伝わりません。相手に理解してもらうことが一番重要です」

自転車の安全のために、あなたの工夫を教えてください

今回、シラベルカ取材班では「ハンドサイン」という解決法を紹介しました。
しかし、ハンドサインも片手運転ができない人には使えない方法なので完璧ではありません。

それなら、私たちで安全に走れる方法を考えてみませんか?
みなさんが行っている工夫や、アイディアなどがあったらぜひ教えてください!
悩みや疑問も引き続き大歓迎です。

あなたの投稿をお待ちしています!

(取材チーム/NHK札幌放送局 高伽耶カメラマン、吉田美和PD)

交通ルールに関するこちらの記事もどうぞ
・#39 標識のない交差点 事故を防ぐには?
・#47 「前向き駐車」、実は危険って本当?
車道と歩道 どこを走る?自転車事故を減らすために

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