NHK札幌放送局

ススキノの“音楽の文化”復活への思い

ほっとニュースweb

2022年10月7日(金)午後1時56分 更新

今月1日、あるライブがススキノで開かれました。 集まった50組のミュージシャンが、この半世紀、ススキノにあるナイトクラブやライブバーで歌われてきた名曲の数々を披露したのです。 ミュージシャンたちが込めた願いは、「ススキノの“音楽の文化”の復活」です。 (札幌放送局・飯嶋千尋)

ススキノ“復活”の願い込めて

ライブイベントでは、全国各地から集まったミュージシャンが、演歌やムード歌謡、ロック、ディスコミュージックと、さまざまなジャンルの曲を披露しました。客席にはダンスフロアも設けられ、集まった人たちは新型コロナ対策で人との距離を取りながらも、思い思いにステップを踏んで音楽を楽しんでいました。

イベントを企画したのは、老舗ナイトクラブ「ナイトイン21世紀」を経営する、NORIさんです。ことし5月から、このナイトクラブの経営を任されています。

NORIさん
「ススキノからはコロナの影響でたくさんのお店もなくなりましたし、この業種でこの状況で食べていくのは難しいと、職業を変えたミュージシャンもたくさんいます。とても寂しいことではありますが、その中でもススキノを再び盛り上げるために頑張ってやっていけたらと、イベントを行うことに決めました。コロナの第7波が来たときに中止にしようかと悩んだ時期もありましたが、参加してくれたミュージシャンの皆さん、支えてくれたスタッフの皆さん、そしてお客様がたの応援がなかったら、きょうという日を迎えることができなかったと思います。本当に、感謝しています」

いまだ苦境にあるススキノ

数多くのナイトクラブやスナックが立ち並ぶ、繁華街・ススキノ。新型コロナの影響で多くの店がいまも苦境に立たされていて、コロナの影響で閉店した飲食店などは800件以上にのぼるともいわれています。

ススキノで半世紀営業を続けてきた「ナイトイン21世紀」も、例外ではありません。1972年に開業し、“ススキノの音楽の文化”の中心地として、多くのミュージシャンの舞台となってきましたが、客足は、コロナ前の半分にとどまっています。

そこでNORIさんが考えたのが、先輩たちの力を借りること。ススキノでこの50年間歌ってきたミュージシャンたちに声をかけ、50組が集まりました。

NORIさん
「ススキノというところは、バーに入ればBGMが流れ、ナイトクラブではライブ演奏、DJさんたちが盛り上げるディスコやクラブ、スナックではカラオケを楽しむ人たちがいて、音楽にあふれている街です。そういったこの半世紀に培われた音楽カルチャーを、一度、音楽にどんな思い出があるかという視点で、原点から振り返っていただけたらと思ったんです」

駆けつけたミュージシャンたちのメッセージ

その中には、往年のスター、「中の島ブルース」でブレイクした木下あきらさんと、「北国の街から愛を込めて」がヒットした中村明さんの姿もありました。2人は音楽こそが、ススキノの活気を象徴してきたと振り返ります。

木下あきらさん
「当時はロック、アイドルの新曲、洋楽など、もうジャンル問わずなんでも歌わなければいけない時代でしたし、歌が下手でも楽しく踊ったりできる音楽を届けられるミュージシャンが人気がありました。あちこちのステージを掛け持ちで渡り歩いて歌わせてもらえるようになると、バンドマンの譜面や手持ちの楽器を持って走って移動するというのは、ススキノの名物だったんです。冬場だと、凍ってテカテカの交差点を走って渡ったら、真ん中で滑って転んだ、なんてこともありましたね。
 ススキノではたくさん勉強させてもらったし、その準備期間のおかげで実力がついてプロになれたんだと思っています」
「中の島ブルース」 木下あきらさん
中村明さん
「50年前はナイトクラブがたくさんある時代で、ダンスや歌が好きなお客さんがたくさんいて盛り上がりはすごいものでした。僕たちにとってはステージで歌えるということが本当に幸せなことで、人気が出ればススキノで引っ張りだこになってあちこちから声をかけていただきました、いい時代だったんです。
 今でもライブハウスで歌うこともたまにあるんですが、生バンドで音楽を届けるお店っていうのは、やっぱりなくしたくないですよね。このコロナに負けないでね、どんどんどんどんやり続けてほしいですね」
「北国の街から愛をこめて」 中村明さん

2人が歌に込めたのは、「音楽で盛り上げれば、ススキノに活気を取り戻せるはずだ」との思い。そしてその思いは、ファンも同じでした。

ファンの声
「私にとっては、ススキノは人生で楽しい場所ですね!最高に!」
「コロナの中でみんな大変だけど、ここにくると全然安心して楽しめますね」

バトンを受け取って

そんなミュージシャンたちと、ファンの姿を目の当たりにしたNORIさん。
NORIさんは「ススキノの“音楽の文化”を、絶やしたくない」という思いを新たにしていました。

NORIさん
「先輩がたに頑張れという言葉をかけていただいたので、その言葉に背中を押していただきながら、私たちも歩みを止めることは決してしたくないと改めて思いました。50年前はたくさんのナイトクラブがあって、たくさんのミュージシャンがいて、本当ににぎわっていたというお話を聞くと、この50年の歴史の重みというものを感じます。そのような時代がまた再びすすきのに、戻ってくれたらというのが一番の願いです。もちろん、新型コロナによってススキノという街への関わり方も変わっていると思います。今回のライブのように、新たな生活様式の中で、ススキノの“音楽カルチャー”を楽しんでもらうためのきっかけを今後も作っていきたいと思っています」

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