2021年5月

2021年05月29日 (土)

これって"やりすぎ教育"?<番組内容>


子どもを思うあまり、本人の限度を超えて勉強や習い事をさせてしまうこと、ありませんか?


それは「教育虐待」かも…
背景にあるのは、「子どもの将来は全て親次第だ」という不安や焦りと言われている。
“やりすぎ教育”について詳しい臨床心理士武田信子さんと一緒に、親はどうすればいいのか考える。


保護者のお悩み「これって“やりすぎ教育”?」

ヤマネコさんは長男(小4)に週5日、6つの習い事をさせている。
しかし長男「ママは僕がいっぱいいっぱいやっているのに、それ以上を要求する!」と爆発。
自分はやり過ぎているのかも知れないと考えるようになった。

ポピーさんの長男りょうまさん(小3)は、図工と体育が大好きで運動神経が抜群。
しかし、九九の問題を4分で解く課題をクラスで一人だけできなかったことがあり、ポピーさんは、先生から、「家で練習させてください」と言われた。ポピーさんは苦手を克服させてあげたいと、くつろぐ時間もとれないほどに塾と家庭学習を増やし、つきっきりで教える。
しかし、りょうまさんの勉強はなかなか進まない。ポピーさんはいらだちをりょうまさんにぶつけてしまうことも。

ポピーさん
・彼が泣いちゃうような嫌なやり方でないと勉強をやらせられない、自分が無力だと感じる。
・子どもに人並みのことを身につけさせなくてはいけないというプレッシャーがある。

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そんな保護者のお悩みに、尾木ママ武田さんは・・・

武田信子さん(臨床心理士) 
・彼は今、これ以上できないというギリギリの状態。
・ものづくりやスポーツなど、いったん子どものやりたいことをやらせる。自分に自信をもっと持たせていって、やりたいことが勉強につながるような方策をその時点で考える。

尾木ママ
・彼は九九の意味をちゃんと捉えているから、トレーニングの部分はいつでもどうにでもできる。

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どこからが教育虐待?

武田信子さん(臨床心理士)
・子どもが、もう耐えられない、無理だと言ったところで虐待と言えると思う。

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ヤマネコさん
・うちの子が「頑張っているのにそれ以上要求する!」と言ったとき、いったん習い事をやめた。
・しかし、子どもの将来を考えると今までやっていたことをやめるのは親が不安。


親の不安を生む背景とは?

親の不安をあおる背景。それは、過度な競争を強いる日本の教育制度。
国連から、子どもの成育に悪影響があると何度も改善を求められているのだ。
実際、ユニセフの調査によると、日本の子どもたちの精神的幸福度は低い。

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立派な人間に育てたい

不安な親が“やりすぎ教育”から脱するにはどうすればいいのか?

ある保護者の経験から考える。
不登校やひきこもりなど生きづらさを抱える人たちの居場所を提供している後藤誠子さんは、かつて勉強をめぐって次男をひどく責めた経験がある。次男が中学生の頃、本人の希望を無視して偏差値が高い進学校に行くよう、朝から晩までスケジュールを決めて勉強をさせ、時には言葉で責めたてた。

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後藤誠子さん
・良い学校に入れたら本人も助かるし、正しいことをしていると思っていた。
・立派な人間になってもらいたいという思いが根本にあった。

後藤さんの望む進学校に合格した次男。しかし、高校一年生の夏、学校に行かなくなった。後藤さんは勉強が遅れると焦り、次男をベッドから引きずり出し、無理やり学校に連れて行った。


“やりすぎ教育”に気づいたきっかけ

なんとか高校を卒業し、東京の専門学校に進んだ次男だったが、1年後「もう学校には行けない」後藤さんに電話で告げ、その後連絡がとれなくなった。後藤さんは急いで東京に向かい、会うことができた。そこで初めて、次男の胸の内に触れた。

後藤さん
次男が黙って下を向き、「死ねなくてごめん。俺みたいなのが生きててごめん」と言った。

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子どもからのSOS

後藤さん
・途中で次男の様子に「なんか変だぞ」気づくのだが「いやいやいや」と打ち消してしまった
「世の中に出たときにこの子が困るでしょ?」という気持ちの方が勝ってしまった

武田さん
・子どもは親にニコニコしていて欲しいし、あとは「言っても聞いてくれない」と思うと文句を言わなくなる。そうなると修復が難しくなるが、親は「もう大丈夫」と思ってしまい、ますます気づかなくなる。



いい親子関係を築くには?

死を考えるほど次男を追い詰めていたことに気づいた後藤さんは初めて助けを求めて、ひきこもりの家族相談会に参加するようになった。

そこでは毎月一回、「良かったこと」を皆の前で話すという課題が出されたが、後藤さんは次男のことで「良かったこと」を見つけられず、何も発表できずにいた。

半年が過ぎたころ、ふと「今日ここに来れたことが良かったことです」と発表した。

周囲の人たちの反応に、「子どものこと以外で“良かったこと”を探していいんだ!」と思えた後藤さん。ちょっとした日常の中に良かったことがたくさんあると気づいた。それからは少しずつ自分の楽しいことをやってみるようになった。  

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後藤さん
・この子をしっかり常識的な人間に育てなくてはという強迫観念を外していくような作業だった。
・子どもばかり見ていたときは、こんなことが好きなんだ、こういうことが嫌なんだ、というのが全然わからなかったが、目を離したとたん逆に見えてくるようになり、本人も言ってくれるように。



何もしないことや遊びが大事

今では、生きづらさをかかえた人のための居場所づくりを、次男と一緒に運営している後藤さん。
「プログラム的なことをしない、ただ来た人たちとお茶を飲みながら雑談する」ことを大切にしているという。

武田さん
・ぼーっとしたりゴロゴロしたりする時間が人間には必要
子どもが遊ぶことがすごく大事で、学力の基礎にもなる、ということが研究で分かってきている。(2013年 IPA(子どもの遊びのための国際協会)宣言)

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ヤマネコさん
・自分の子どもの頃、そういえばキツキツと勉強していなくて、みんなと外で遊んでいた。
・今勉強ばかりさせることで、生きていく能力を逆に奪ってしまっているのかなと思わされた。

武田さん
「私の子どもはどうなるの?全部親の責任」というふうになっていて親は苦しんでいる。
もうできないから助けて、という力が多分一番大事になってくるんじゃないか。



END

 

 

投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | カテゴリ:番組内容 | 固定リンク


2021年05月15日 (土)

早生まれの悩み <番組内容>

今回のテーマは“早生まれ”
番組でアンケートをとると、「周りと比べて行動が遅い」「競争で勝てない」「勉強が苦手」など、早生まれについて心配する保護者の声が多く寄せられた。
早生まれの影響って本当にあるの?あるとすれば、保護者はどう向き合えばよい?

ゲストは、ご自身も2月生まれであり、早生まれのお子さんがいる、藤本美貴さん。

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早生まれの子がいる保護者は、どんなことで悩んでいる?

ハナミズキさん(小4次男が2月生まれ
・サッカーチームに所属しているが、体が大きい子にとばされてしまう
・負けずに頑張ってほしいが、「早生まれのせいで不利なのでは?」ともどかしい気持ちにもなる。

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ビオラさん(小4長男が1月生まれ
・小学1~2年生の頃は、文字の書き取りが苦手など、勉強の遅れが気になった。
給食を食べるのが遅かったり、同級生に言い負かされてしまったりなど、今でも生活面で心配なことが。

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教育学・育児学などに詳しい汐見稔幸さんによると・・・

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・4/2生まれの子と、その1年後の4/1生まれの子が同じクラスになる。当然、1年間の相対的な発達差がある。
自律神経は10歳ぐらいでほぼ大人と同じになる。それ以降は、生まれ月による発達差は気にならなくなる。
・生まれ月による学力差は、低学年では若干あっても、高学年ではその子の得意不得意が反映される度合いが高い。


しかし、こんなデータも・・・
日本のプロ野球選手の生まれ月を調べると、早生まれが少ない。
アメリカの大企業の社長や国会議員の生まれ月調べると、やはり早生まれが少ない。


早生まれと遅生まれで差があるのはなぜ?カギは“自己効力感”
生まれ月による差がなぜ見られるのか、その背景を調べた山口慎太郎さん(東京大学大学院経済学研究科)に聞いた。

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山口さんは、埼玉県の学力・学習状況調査(2015~2018年度)について、各学年の結果を生まれ月に注目して分析した。この調査では、算数や国語などの学力(認知能力)を測定するだけでなく、目標に向かってやりぬく力や自己をコントロールする力(非認知能力)についても子どもに答えてもらっている

算数や国語の成績は、早生まれのほうが遅生まれよりも相対的に低い傾向があったが、その差は学年が上がるにつれ徐々に縮まっていった。

しかし、「自分はできる」という自信である“自己効力感”などの非認知能力については、やはり早生まれのほうが遅生まれよりも相対的に低い傾向があったうえ、学年が上がってもその差が縮まらなかったのだ。

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山口さんの見解>
・生まれ月を考慮すれば問題ないのに、周囲が「あの子はできない」という不当な評価をすることで、早生まれは「自分はできない子なんだ」と誤って理解してしまう可能性が高い。それを裏付けるように、早生まれほど「先生や友人は自分のよいところを認めてくれない」と感じている傾向があることもわかった。
・これは制度の問題であり、早生まれの不利が人間関係の中で固定化されていると考えられる。リーダーシップをとる機会を均等にするなど、先生や保護者が介入しないと解決しない問題だと思う。


汐見さんの見解>
・環境や育て方しだいで、早生まれの子が不利になってしまう状況は解消できる。
・実はプロ野球選手の中でも、タイトル獲得者には早生まれが多く、日本人のノーベル賞受賞者にも早生まれが多い。小さいときから周りよりもスタートが遅れているぶん、努力して成功する経験をたくさんすることで、頑張り屋さんになりやすいのではないか。
・大事なのは、他の子と比べるような育て方はせずに、その子らしさを認めてあげること。



生まれ月を考慮する取り組みで、子どもの自信を育む
都内のある私立の小学校では、1年生の間だけ、【4~9月生まれ】と【10月~4月1日生まれ】でクラスを分けている。入学式では、【10月~4月1日生まれ】のクラスは落ち着きがない子が目立つなど、顕著に差が見られる。

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授業も、それぞれのクラスのペースに合わせて進めている。【4~9月生まれ】のクラスでは、座って教科書を音読する授業が行われていた。
一方、【10月~4月1日生まれ】のクラスでは、教室を歩き回りながら友達と好きなものを発表し合う授業が行われていた。じっと座って教科書を読むよりも、体を動かしたほうが授業に参加しやすいと、先生が判断したのだ。

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でも、これだと2つのクラスで学習の差が出ないのだろうか?

この小学校の先生によれば、【10月~4月1日生まれ】のクラスは2学期後半から徐々にペースアップしていくそう。さらに、この段階で習熟度に多少の差があったとしても、子どもたちが「小学校って楽しい」と感じたり、自信を育んだりすることのほうが、長い目で見れば大事だという。


<学校でできること>

・幼稚園・保育園から小学校へ円滑に移行する取り組み(幼保小連携)のように、多様な授業形態を柔軟に取り入れていくことが、早生まれと遅生まれの子の差を解消する一つの方法ではないか。汐見さん)

・ヨーロッパでは、異学年が混ざった学級を作るところもたくさんある。年上の子が年下の子に教えてあげることで、リーダーシップを発揮でき、これを繰り返していくとどの子もいろんなポジションを経験して育つ。日本でも、公立の学校で取り入れようとしている動きがある。尾木ママ

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早生まれでもそうでない子も、みんながその子らしく活躍できるような社会に近づくように、まず日々の声かけから意識してみませんか?

END




 

 

投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | カテゴリ:番組内容 | 固定リンク


2021年05月08日 (土)

学校の行き渋り <番組内容>

今回のテーマは、「学校の行き渋り」
●行き渋りとは?
年間30日未満の欠席、あるいは遅刻を繰り返す、保健室登校や行きたくないのに無理して行っている子どもたちのことを指す。(不登校に関しては、文科省が年間30日以上欠席することと定義づけをしている)

*不登校と言われる子どもたちは、約10万人と言われているが、行き渋る子どもは、その3倍、約33万人いるという調査結果も。
(※2018年日本財団「不登校傾向にある子どもの実態調査報告書」より)

*コロナの影響で、かなり急増しているのでは、と懸念している。(尾木ママ


お悩みホゴシャーズ【息子たちの行き渋りに悩む マルベリーさん】(小6男・小3男)
「親子の中が険悪になってしまい、毎朝起こすのが辛い。
一度遅刻を許してしまうと、それが当たり前になってしまうのでは・・・と心配している」

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お悩みホゴシャーズ【「学校に行く」と言うのに行かない息子に悩む、シマエナガさん】(高2男)
「『お腹が痛い、頭が痛い』と日によって違う理由で行き渋る息子。つい『学校に行くって言ったじゃないの!嘘だったわけ!』と声を荒げてしまう。いいことではないと分かっているけれど、自分に歯止めがかからない・・・」


日々の診療で、親子のこころのケアを行っている 田中恭子先生(国立成育医療研究センター)解説
多くの子どもたちは、「学校に行きたい」のに、何らかの理由でしんどくなり、行けなくなっている状態。
親が登校を強いると、子どもは「学校に行けない自分=ダメな自分」と思い込み、徐々に自信を失くしていく。
ますます学校に行けなくなる、健全に生活を送ることも出来なくなるなど、深刻化してしまう可能性がある。

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マルベリーさんの息子さんたちは、なぜ学校に行きたくない?胸の内を聞いてみたところ・・・
・学校に行きたくないというより行く意味が分からなくなってしまった
・新型コロナウィルスの影響で、学校で友達とワイワイ喋ったり遊べなくなったことで、楽しくないと感じるよ
うになった。

 


しかし、
簡単に「休んでいいよ」とは言えない・・・
学校って行くのが当たり前だと思っていたから、「なんとなく行きたくない」という気持ちに共感できない・・・
という保護者の苦しい想いもある。



休むことは子どもの心を回復させる大切なプロセス【田中先生解説】
行き渋りは、【家族】【学校】【心】など、様々な要因が複雑に絡み合って起こる。
その為、子どもは自分の気持ちをうまく言葉にすることが難しい。
学校に行く行かないではなく、学校に行けなくなりつつある子どもの辛さに共感をしていくことが大事。

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子どもの休む権利について【尾木ママ解説】
身体が悪い時や心が疲れた時は、休むのが当たり前なのだから、休んだってよい。
(2016年 文科省 「教育機会確保法 第13条」にも明記)



親として 子どもが休むことを肯定した結果、元気を取り戻した親子【リクガメさんのエピソード】(高2女)
リクガメさんの娘の行き渋りが始まったのは中2の秋。
リクガメさんのもとに学校から「登校していない」という連絡が入ったのだ。
近所を探しまわったところ、通学路の途中にある橋の上でひとりたたずむ娘を見つけた。

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行き渋り始めた当初は娘自身も理由が分からなかったという。そして徐々に食事も摂れなくなっていった。
リクガメさんは、そんな娘の様子が心配になり、学校の担任や保健室の先生の相談しにいくと・・

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そこで必ず言われたのは「学校行きなさいと言うな」「暖かく見守れ」「子どもにプレッシャーをかけるな」という言葉。「学校に行けるんじゃないの」という思いをぐっと飲み込み、声掛けを我慢するようになった。

そんなリクガメさんの変化を、娘は「お母さんは自分を受け入れてくれているのかな」と感じるようになり、徐々に心がほぐれてきたという。その中で娘も行き渋りの理由も見えてきて、親子の会話も増えていった。
リクガメさんも、娘の苦しみを知り、やっと、心から「休もう」と言えるようになった。

保健室登校から、教室まで通えるようになったが、今でも時々学校を休むことはあるという。
しかし、そんなときも、少し休んで、親子でゆっくりと過ごす時間を大事にすることで行き渋りと向き合っている。



食事を摂れているか、睡眠時間がとれているか、親が気にかける「見守り」が大事【田中先生解説】
保護者が「学校を休む」ことを肯定することで、子どもの心のプレッシャーが減ってゆき、自分自身の事を考える時間が持てるようになる。


我が子が元気になってまた歩んでいく未来を信じる【尾木ママ解説】
我が子の未来を信じることが大事。
そのためには、親も辛い気持ちを1人で抱え込まずに、カウンセラーの先生などに相談することが必要。様々な事例を聞くことで、我が子を信じる気持ちが湧いてくる。



「東京 親の会」行き渋りや不登校に悩む親が集まる場所
相談員や経験者に、悩みを話したり、情報交換も出来る。

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代表の平野さんは、親自身のケアも大切だと考えている。
「悩みを共感することで、辛いことも頑張ろうと思えるようになる。」
「保護者が元気を回復していくことで、子どもにプラスにならないかもしれないが、子どものマイナスにはならないと思う。」


「子どもに」ではなく「子どもと」一緒に考えてゆく【田中先生解説】
子どもの苦しさに気づいた時が、ベターなタイミング。親自身を責め過ぎないでほしい。
これからどうしていけるかな、ということを子どもと一緒に考えてゆくことが大事。

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学校に行けない=幸せのレールをはずれたわけではない【尾木ママ解説】
今は、いろんな学びの機会や方法、場所もある。これらの情報を子どもに教えることで、親が味方になれることもある。できることから始めていけばいい

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※全国には、自分の子どもが行き渋っている、または不登校になっている保護者の気持ちを話したり聞いたりできる場所がたくさんあります。

「教育相談室」(全国の市区町村に設置)
各行政HPに案内があります。
心理や教育の専門員が相談を受けつけています。保護者だけでなく、子どもも一緒に、または子どもひとりでも相談できます。「いじめ相談」や「フリースクール」「近くの医療機関」などの窓口紹介なども行っているところもあります。

 


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投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | カテゴリ:番組内容 | 固定リンク


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