「親子関係」
< 親子関係 >
投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:00:00 | 固定リンク
これって過干渉?<番組内容>
今回のテーマは“過干渉”。
ホゴシャーズからは「自分は過干渉かもしれない」という悩みの声がたくさん寄せられた。
「長男(小1)が忘れ物をしないよう、学校の準備を毎日手伝っていました。子どもの自立を邪魔したのでしょうか?」
「長女(中1)は、華やかなグループに無理して入っているように見えます。『合わないのでは?』と伝えたのですが、これも過干渉ですか?」

親は子どもにどう関わればよいのか?尾木ママ、専門家と共に考えていく!
〈これって過干渉? ホゴシャーズの悩み〉
・カラスウリさん
長女(高2)の中学受験のとき、親としてよいと思う学校を強くすすめたら、キレてしまった。その反省から、長男(中3)の受験には関与しすぎないようにしていたら、妻から「もっと関わってよお父さん!」。その微妙なバランスが難しい。

・ディクディクさん
長男(中2)に対し、小学校低学年のころから、TODOリストを作っていた。宿題や習い事の課題など、子どもが学校から帰ってきてやることをまとめ、やらせている。その話をママ友にしたら「やりすぎじゃない!?」。でも、助け船を出すつもりでやっているから、いいんじゃないかなあと、もやもや・・・。

・ハナミズキさん
長男(中2)。友達関係について、小学校のころは聞いたら素直に答えてくれていた。でも中学生くらいになってから、急に面倒くさそうになって、うざがられている感じのことが増えてきた。
他には、服装について寒いときに厚着するように言ったり、上下の組み合わせについても言ってしまう。すべてが心配で、ついつい口を出してしまう。

他には・・・
〈これって過干渉? GPSで居場所を・・・〉
・ハナミズキさん
長男が出かけているときに、スマホのGPSで居場所をチェックしている。
・ディクディクさん
長男が小学生のときは、私もやっていた。
・カラスウリさん
やっていないけど、見たい気持ちはある。塾で夜遅くなるとき、治安の悪い地域にいたりしたら、不安になる。
これについて尾木ママは・・・
子どもに内緒でGPSで見ていたら、子どもは「親に監視されている」と感じてしまう。ただ、繁華街など危険だと思う場所にいる場合などは、親との合意の上で使ってもよい。

教育学・育児学などが専門で、子どもの発達心理に詳しい汐見稔幸さん。

子どものことが心配でしかたないのは非常によく分かる。子どもを愛していることはよく伝わってくる。自分も、子どもは40代と30代だが、いまだに心配。でも、親が知らないことは増えていくし、子どもは「親に知られてたまるか」と思っているかもしれない。子どもの世界に入り込みすぎないようにするということが愛し方。
子どもは、親の関わり方をどう思っているのか?
ハナミズキさんの長男、みずきくんに話を聞いてみると、今まで口に出せなかったお母さんへの思いがあふれてきた。
〈親の心配に子どもの本音は・・・〉
・みずきくん(中2)
『最近は、いろいろと言われることが多いので、少しストレス。服装のこととか自分が寒ければ厚着していくし、友達関係についても「誰と行くの?」と聞かれるけど、メンバーなんて自分の勝手じゃん!と思う。』

それでもお母さんに本音を言わないのは、傷つけたくないという思いから。
『お母さんとちゃんと話したい、よい関係になりたいという気持ちと、嫌だなという気持ちが、時と場合によって揺れ動いて、変わっているという感じ。』
〈過干渉 子どもが心配だから・・・〉
・ハナミズキさん
よかれと思ってやっていたことが息子にとってストレスになっていたと思うとつらくなった。
・尾木ママ
みずきくんはすごい子。お母さんが心配しているのを分かっていて、それを跳ね返したら、お母さんが落ち込むことまで分かっている。自分を客観視していている。
・汐見先生
子どもは、親が考える以上に親のことを心配している。社会のいろいろなことを考え、これから自分はどう生きていくのか、どういう風な友達とやっていくのか、一生懸命考えている。親が考えている以上にもう大人になっている。
ハナミズキさんは、今のやり方について、自分を否定する必要は全然ない。アドバイスすることはあってよい。でも、少しやり方を変えたほうがいいのかもっていうようなことを、子どもが言ってくれたような感じ。
〈過干渉にならないために 親子で対話〉
みずきくんは、お母さんにどう関わってほしいと思っているのか?ハナミズキさんが聞いてみた。

みずきくん
「お母さんは干渉しすぎ。大事なことだったら答えるけど、どうだったよい質問が多すぎる。もう中学校2年生なのだから、信頼してほしい!悩みも友達に相談している。」
〈過干渉にならない関わり方とは?〉
・ハナミズキさん
「僕のことを信頼してくれ」という言葉が心に残っている。口を出しそうになったとき「ダメだ!息子のことを信頼しよう」とワンアクション置けるようになった。
・尾木ママ
子どもは日常の小さなことは友達に相談している。それをいちいち親に言われたくないと思っている。子どもは友達関係、学校の授業など、社会の中で成長している。
この対話を通じてみずきくんは・・・
「前は、お母さんは僕のことを心配して手放せない感じだった。今はいちいち聞かれることもなくなり、信用してもらえていることを感じる。本当に困ったときに、相談しようと思えるようになった。」

子どもに対して過干渉にならないよい関係を作っていくコツはある?
・汐見先生
中学生にとって親は「同じ時代を生きているちょっとした先輩」として、対等に意見を言い合える年齢になっている。だからテレビのニュースや、コロナ問題などについて、対等に議論していくといい。そういう話し合いの中から、子どもがやりたいことを見つけていく。そして、子どもの意見を絶対に否定せず「面白いね」「どうしてそう思うの?」と受け入れる。
もう一つ、子どものことしか人生がないのではなく、親自身が「やりたいこと」を見つける。そうすると子どもは、親が何かに一生懸命になっている姿を見て、尊敬するようになる。
・尾木ママ
過干渉を避けるためには、子どもが大人になったときのことをイメージしながら子育てしていくことが大事。そうすると、服装とか細かいことは気にならなくなる。
子ども自身が物事を決めることが大事。自分で決めた子どもは、失敗しても「自分で決めたからしかたない」と乗り越えようとして、たくましくなる。だから、小さな失敗は初期にしておいて、乗り越える力や、自己分析、客観視する力がついてくることが生きる力になる!
END
投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | 固定リンク
わが子がひきこもったら<番組内容>
ひきこもりを考えるプロジェクト「#こもりびと」の関連番組。
プロジェクトに参加する各番組の情報はこちらまで。

小中学校で不登校になっている子どもたちは年々増え続け、およそ18万人。わが子が学校に行かなくなったり、部屋にこもったりしたとき、親はどうすればよいのか、不登校経験者とともに考えた。
<ひきこもりがちな子どもの気持ち>
映像・デザイン制作会社役員のたけしさんは、中学1年生の時から不登校の経験がある。
中学1年生の時、丸刈りを強制する校則に疑問を持ち、校則を変える運動を始め、髪も伸ばし始めたたけしさん。応援してくれる友達も多かったが、一部の同級生からは髪を伸ばしたことで「ずるい!」と言われ、先生からは「切ってこい」と言われて板挟みになった。やがて学校に行くのがつらくなって休みがちになり、中学3年生の春には完全に行かなくなった。
たけしさん
・学校に行きたくないと思っているし、学校に行くと自分じゃなくなってしまう
・学校のある昼間の時間がつらくてゲームに夢中になって紛らわそうとしていた
・校則を変えられず、さらに不登校になってしまった。そんな自分は弱いんだと思っていた
その後、通信制高校を経て大学に進学。「強くなりたい」と敢えてきついアルバイトにも挑戦したがいずれも続かず、大学3年生の時にはひきこもりがちに。
たけしさん
・自分が弱いから頑張る、うまくいかない、やはりだめだ、という事を繰り返していくうちに、自分が弱い、ダメな人間ということが確定していく

<子どもの苦しさ どう受けとめる?>
・ビーツさん(娘が中学3年間ほぼ不登校 今は高校に通っているが調子に波がある)
・自分が弱いからと敢えて険しい道を選ぶのがうちの子と共通していると思った
・トカゲさん(娘が小5から不登校 中学生になり短時間だけ通うが疲れ切っている)
・娘も弱い自分を許せないと言っていた。何をしても無駄と思う自分もいれば頑張らなきゃいけないと思う自分もいて葛藤している。
・10分くらい学校に行って帰ると疲れ切って寝てしまい、ゆすっても起きない。「学校に行かなくても大丈夫だよ」と言ってあげても、本人は「それじゃあ自分がダメになる」と言う。

みなこさん(映像・デザイン制作会社役員 不登校経験者)
・「しばらく休んでみれば?」と母から言ってくれたのは救いだった。
・学校を休んでいた時に「洋服でも買う?」と連れ出してくれたのが印象に残っていて、そのときの服は今も大事にしまってある
・「私の味方なんだ」というメッセージとして受けとめた
<一歩踏み出すとき>
・大学3年生のとき再びひきこもりがちになったたけしさん。つらい思いを部屋の壁に書いたり、もがいていた。あるとき不登校経験者が作った大学のイベントに参加し、その場で入学した。
・いつも周囲に合わせようとしてきたたけしさんだったが、その大学では少し違った。

たけしさん
・“たけしくんはどうしたいの?”と聞かれることに感動した
・少しずつ「自分はこうしたい」と言い、受け入れられることが積み重なると安心できるようになった
・安心できるようになると自分も何かしてみたくなり、ソーラーカーレースに挑戦した
・毎朝10時から夜12時まで作業して、寝ると回復して翌朝も10時から作業する
・エネルギーがどんどん湧いてきて動けるようになっていった
<一歩踏み出すためには・・・>
・ビーツさん
・娘も好きなことに没頭できるようになれば楽しいだろうが、我慢しなきゃいけない今がつらそうで…
・たけしさん
・嫌なことを乗り越えないと好きなことができないと自分もとらわれていた
・その大学はやりたいことをやる場所だった 安心できる場所でないとやりたいことができない
・みなこさん
・へとへとになってしまうと一番エネルギーを注ぎたいことに注ぐことができないのでもったいない
・好きなことからどんどんやっても良いのではないか?

・トカゲさん
・娘は自分で調べて定時制の高校に行きたがっているが、中学の先生からは全日制に行くようにとプレッシャーがある
・尾木ママ
・それは学校がおかしい 多様な学びがあって定時制でも通信制でもいい
・本人が一番伸びやすい安心できる場所が一番いい進路先なんです
<専門家に聞く 不登校 “親にできること”>
・児童精神科医 高岡健(たかおか・けん)さん(岐阜県立希望が丘こども医療福祉センター)
によると
不登校の意義
[1] いじめなど危険でストレスフルな環境から身を守るという意義
[2] 自分との対話「自分の生き方がこれでいいのだろうか」「もっと違った生き方をした方が良いのではないか?」と考える
大人になっていくうえで自分を確立するプロセス
親ができることは?
・ひきこもっては駄目だとか自分を守るのは駄目だといった間違った対応をするとエネルギーが溜まらない
・本人を非難、否定する情報をシャットアウトすると、自分との対話が促進される
・親が子どもに向けて語り掛けたり行動を起こすことにはあまり意味がなくマイナスになりがち
・親は自分自身の事をするのが良い

<親は自分自身のことをする>
・トカゲさん
・娘に「お母さんなぜ仕事を辞めたの?もう一回したら?」と言われた
・ビーツさん
・同じように「お母さん、生きてて楽しいの?何かやりたいことないの?」と言われて考えた
・みなこさん
・放置するのとは違うので基本的には味方でいて欲しい
・だが「この子はうまく行かないんじゃないか」と考えすぎて親が苦しむのは子どもとしてはいたたまれない 生き生きした大人として親が好きなことをしているのは救いになる
<自分との対話>

・たけしさん
・仕事も始めて、楽になっているはずなのに楽になり切れない その痛みが楔(くさび)のようだと感じ、それがいつ刺さったのか必死で研究していった時期があった
・最終的に自分で自分を否定していたという事に気が付いた
・丸刈り校則反対運動の際に髪を伸ばしたという自分の誇りある決断を「校則を破ったから悪い」という世の中の価値観に合わせて否定した そのまま自分を否定し続けていたので何をしても辛いままだったと気づいた
・気づいた時、「生きていていい」と自然に思えた それまでは「生きていては駄目だ」と思っていた
<収録に参加して>
・トカゲさん
もうちょっと自分自身に時間を作って、その中で娘と一緒に何か話したり対等にやれることが見つかっていけると、もっと娘も楽になるのかなと思った。
・ビーツさん
自分の中で答え合わせが出来た。子どものこととすり合わせてみて、この経過はあの子にとって必要な経過だったし無駄なことはないとわかって、良かったなと思った。
END
投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | 固定リンク
親が知らない子どもの本音と「その後」スペシャル<番組内容>
今回の「ウワサの保護者会」はスペシャル企画!
番組が始まった5年前に出演してくれた親子の、「その後」を取材しました。
そこには、子育てのヒントがたくさん詰まっていました。

【1】ホゴシャーズ ヌーさんの娘、あおいちゃんから飛び出した本音!
~「長女ならではの つらい思い」と「その後」~

●2015年4月16日放送回で・・・
小学5年生だったあおいちゃんが、友達2人と一緒に「母に言いたいことは?」という取材に応じてくれた。
3人の共通点は、「長女」であること。
あおいちゃん「月に1回ぐらい、お母さんと一緒にお出かけしたい。2人きりになりたい。」
3人から飛び出したのは、我慢していた「切ない本音」だった。
・できるだけ寝るときに私のほうを向いてほしい。いつも弟とか妹のほうを向いている。
・そんな気持ちは、お姉ちゃんになっちゃっているから、恥ずかしいからお母さんには言えない
・申し訳なくて言えない
・遠慮して言えない

●それから5年。「その後」を取材させてもらった。
高校1年生になった3人は・・・
・今は普通に1人で部屋で寝ているし、だいぶ独占欲すごかったなって感じ
・布団の中でこっち向いてないって言っていたけど、逆に今は、こっち向いてたら嫌だ
そして、お母さんへのこんな感謝の思いも飛び出した。
・最近もうお母さんにあんまり不満がなくて、受験の時とか一緒にすごい頑張ってくれたから、ありがとうっていうのはあります
・妹がいるので、本当は公立高校じゃなきゃいけなかったんですけど何度か結構お願いしたら、結局私が行きたい私立に行かせてくれた。
・受験勉強の時に、夜まで遅くになっちゃうけど、それに合わせて布団を敷いてくれたり、夜食も出してくれたりした。

ヌーさんは、「お母さんと2人きりの時間が欲しい」という気持ちを聞いた後、見直さなければいけない、と気づいて、意識的に1対1の時間を作るようにしたという。
ヌーさん「じゃあ今日カフェでも行こう。ちょっとお母さんおごっちゃうよ。って、
なんとかペチーノみたいな、ああいうのを飲んで。
そうすると『実はさ、今日さ』とかって話してくれた。2人きりって大事なんですね。」

実はヌーさんは、5年前この番組に参加するまで子育てをつらいと感じていたそう。
・自分が警察官をしていたっていうこともあるせいか、お母さんっていうのは道徳的・模範となるべき存在で、朝早く起きないと…夜早く寝させないと…と、
子育てについても“ちゃんとしなければいけない”と思っていた。
・でも、子どもって全然思い通りにいかなくて、“お前の子育てが悪いんだ”と言われているような気がしちゃう。勝手に自分でストーリーを作って。
・「子育て向いてないな、私」といつも思っていました。

ところが、この番組で、他のホゴシャーズが取材VTRで素をさらけ出しているのを見たり、悩みを共有したりすることで、「私バカみたい」「かっこつけなくていいんだ」「子育てにプライドはいらない」と思えたという。
子どもに対しても、「将来この子がきちんと巣立ってもらえればいい」「健康でいてくれればいい」と、思うようになり、考えが変わっていったという。
ヌーさん「だから子育て、今になって本当に楽しい。楽しんでいます。」

●この取材VTRを見た尾木ママは・・・
★ヌーさんは、すごいなと思う。
子育て真っ最中に、子どもとの向き合い方を変えていって、子育てを楽しんでいる。
「子育てに対するプレッシャー」は、みんな誰もが持っている。
気負わないで、“子どもと一緒に生きていこう”と思えばいい。
★長男や長女は、親から「お兄ちゃん、お姉ちゃんなんだから、できるよね?」などと言われて、その「プレッシャー」はおとなが思っているより大きい。
★1日5分でいいから、子どもと1対1の時間を。
カフェに行かなくても、一緒にお散歩しながら、「ここのお花、きれいに咲いてきたね」とか、「ここの家、改築してるんだ」とか、たわいもない話でいい。
1対1で「聞き役」に徹することが大事。
「数学はどうなんだ、成績は上がってきたか」などの質問は、一切言わないこと。

【2】トウガラシさんの娘、みおちゃんから飛び出した本音!
~「予想外のビックリ発言」と「その後」~

●2015年12月17日放送回で・・・
当時、シングルマザーとしてひとり娘のみおちゃんを育てていたトウガラシさん。
ふたりはいつも、ラブラブだった!
トウガラシさんは、娘が興味を持った星のことを勉強し、星空検定にも一緒に挑戦するなど、本当に仲よし親子だった!

そんなみおちゃんから、予想外の発言が飛び出したのは、将来の夢を聞いたときだった!
みおちゃん「新しい、ひとり暮らしみたいな!なんか大変なことをやってみたい!」
スタッフ:お母さんがさみしがったら?
みおちゃん「いや、行くぜ!」

これを聞いたトウガラシさんは、スタジオで大号泣した。

●それから5年。「その後」を取材させてもらった。
トウガラシさん「収録終わって帰るときも、横断歩道とかでうわーって泣いて。少なくとも小学生のときはお母さんべったりというか。私のことしか見ていないと思っていたのが、私の存在なくていいんですか、ってなっちゃって。私はみおの存在が唯一だったのに・・・」
ショックを受けたトウガラシさんだったが、これを機に考えを変えたという。
トウガラシさん「それがきっかけで、本当は自立してみたいんだなとか、どんどん外の世界に出ようとしているんだなっていうのがわかって。子離れじゃないですけど。みおが何か自分でやりたいって言っていることを止めちゃいけないと思った。」

娘の自立を応援しようと決めたトウガラシさんに、ある日みおちゃんが学校からパンフレットをもらってきた。
それは、4泊5日、子どもたちだけで行く、北海道への体験旅行だった。
トウガラシさんは、寂しさを感じながらも、送り出した。
誰も知り合いがいないところに飛び込んだみおちゃんだが、初めての体験がたくさんあり、忘れられない思い出になっているという。

みおちゃん「船で1日かけて北海道に着いて、降りたあとがすごく大変で、陸が動いているみたいな感じで。森もすごい、“森”って感じ。もともとは本当に人見知りで、すごく不安はあったんですけれど、周りの人たちがすごい話しかけてくれたり、安心させてくれたりして。友人とかも増えたなって思います。」

今では、星空観察や野球観戦など趣味がたくさんあるみおちゃん。
イラストの道に進みたいと、専門の学校で学んでいる。
どんな大人になりたいか、聞いてみると・・・。

みおちゃん「お母さんみたいな人。料理もできて洗濯もできて、ちゃんと公平な判断ができる大人になりたいと思っています。」
●この取材VTRを見た尾木ママは・・・
★家が居心地がいい、というのはすごく大事なんですけど、外の世界で新しい体験をするのは、子どもにとっては、宝物!
★将来どんな大人に自分がなりたいのかという自分のキャリアのイメージというか、将来像がしっかりできてくる。
【3】すずらんさんの娘、せりなちゃんから飛び出した本音!
~「スマホの中身を見せたくない!」と「その後」~

●2015年10月8日放送回で・・・
5年前、すずらんさんは、「スマホの中身を見せたくない!」という娘にどこまで介入するか悩んでいた。
当時中学1年生だったせりなちゃんは、買ってもらったばかりのスマホを手放さず、1日3時間以上使用。トイレにも持って入る生活だった。
すずらんさんは、知らない人とつながったり、トラブルに巻き込まれたりするのではないかと心配で、スマホのやりとりについて質問していた。
娘のことをできるだけ把握したいと思いつつも、厳しいルールを作ることはしなかった。

すずらんさん「裏でスマホの内容を黙って見ればいいのかもしれないですけど、難しい年ごろでもあるし、親子関係を崩したくない」
●それから5年。「その後」を取材させてもらった。
・その後も、すずらんさんは娘を強制することなく、伝えたいことは伝えながらも、見守っていたという。
・すると、せりなちゃんは、受験のシーズンに入ったら、自分から勉強のときはリビングにスマホを置いていくなど、自分から規制を始めた。
なぜ、自分でスマホを規制するようになったのか、せりなちゃんに聞いた。
せりなちゃん「さすがにずっとスマホを使っていたら、目も痛くなるし、気づいたら充血しているとか、頭痛くなっているとか。それでもう、やめようって。自分でルール作りができるようになった。」

悩みながらも娘を信じて見守り続けた、すずらんさん。
しかし最近、せりなちゃんが「美容系の専門学校に進学したい」と言い出したとき、大きな悩みにぶつかったという。

すずらんさん「親として“大学に行く安心感”みたいなのが、むくむくと湧いてきた。
なので、ちょっと大学にと誘導した時期もあったんですけれど、一緒に専門学校を見に行ったり、話を聞いたりしているうちに、結構しっかりした考えを娘が持っているんだな、キラキラした世界だけを見て流されているんじゃないな、と思って
だったら自分の好きなことに時間を費やしたほうがいいんじゃないかなと考えが変わってきて。」

今は、娘がやりたいことを応援すると決め、前向きに相談にのっている。
すずらんさん「参考になるんだったら、自分の失敗談も何もかも全部話しちゃいますね。
子どもと一緒に成長していっているっていう思いがあるので。
逆に教わることのほうが、もう多いですし。
“そういうふうにしたら人生うまくいけてたのかも”なんてせりなを見て思うこともあるし。
やっぱり1番身近に相談しやすい、ちょっと人生経験ある人っていう感じで思ってくれれば、それでいいかなと思っていますね。」

●この取材VTRを見た尾木ママは・・・
★この5年間ですばらしい親子関係ができあがった
★思春期に入って「ルール作り」が一筋縄にはいかなくても、親は指針を示しているということが大事。
★思春期の子どもは、“自分を相対化して見る力がついてくる”ので、そのときに親がちゃんと見守っているということが大事
★すずらんさんが「子どもと一緒に親も成長していく」と言っていたが、親も子どもも、本当に一人の「人間対人間」として、尊重し合った関係を作るのが理想。

ぜひ、みなさんも、「お悩み」だけでなく、「悩んだその後」もホームページでお知らせください。
END
投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | 固定リンク
シリーズ 虐待を防ぐには(4)「児童相談所~子どもの一時保護~」<番組内容>

前回に引き続き、児童相談所について考える。
児童相談所は、親の意思にかかわらず子どもを一時保護する権限を持つ。
思わぬタイミングで子どもと離れることは、保護者としてはつらいことでもあるが、子どもにとってはどうなのか。
そこで、一時保護された経験がある子どもの話に耳を傾けた。
<VTR1>

スタジオにきてくれたオクラさんの娘、さきさん(仮名・中学1年生)が一時保護されたときのことを取材させてもらった。

さきさんは、父親から毎晩 どなられていたという。
「読んだ本を片づけろ!」「スマホを出しっぱなしにするな!」「制服を脱ぎっぱなしにするな!」
父親は、怒りのスイッチが入ると、何十分もどなり続け、母親がいくらやめるように言っても、エスカレートするばかり。
さきさん「全部“心にくる”みたいな。体じゃなくて、気持ちが傷ついていった感じ。
毎日、お父さんが帰ってくるのが怖いとか、お父さんが帰ってきたらどうしようとか、気が重くなる。お父さんが帰ってくるから、夜が一番怖い。何回も死にたいと思って。
自分も死にそうで怖かったけど、いつ私がお父さんを殺すかもわからないし、一番怖かったのは自分が死ぬよりもお父さんを殺してしまうこと。」

そこまで思いつめていることは、母親にも言えず、2年近く、ひとりで我慢した。
さきさん「これ以上もう我慢すると危ないかなと思うときがあって。もう助けてほしいみたいな。」

そしてある夜、学校の連絡帳に「お父さんのいる家にもう帰りたくありません」と書いた。
翌日先生に提出すると、学校が児童相談所に連絡。
その日のうちに訪れた児童相談所の職員にさきさんは3時間かけて、父親とのことを話した。
職員は優しく話を聞いてくれたという。

さきさん「今日は家に帰れますか?帰りたいですか?と聞かれて、
『お父さんの顔を見るだけで怖い』って言ったら、『ちょっと保護しますね』って、
児童相談所に行きましょう、と言われた」

一時保護の施設では、個室にひとり。
初めての場所で、さらにその日の夜、大きな雷が鳴っていて怖かったというが、お父さんがいるよりは安心だったのか、眠ることができたという。

さきさんが一時保護施設にいたのは2か月。
母親のオクラさんは児童相談所から、「さきさんを家に帰すには安全な環境が必要」と言われ、自治体の窓口や地域の人を訪ね、相談して回った。
そして、夫と別居することを決断。
一時保護は解除され、さきさんは、家に戻った。
さきさん「今が一番幸せ。先生に相談してなかったら、自殺を考えていたかもしれないし、お母さんがいなかったら、こういう生活ができていない。
命の恩人だと思っているし、全部お母さんに感謝している。」

<スタジオの保護者は・・・>
◆虻川美穂子さん(北陽)
携帯そこに置くなとか、服そこに脱ぐなとか言いがちなこと。
その延長で自分の娘が自殺まで考えているなんて。
◆ホゴシャーズの感想
中一の娘も似ていて、毎日夫の悪口を言うし、夫が帰って来る頃になると「気が重い」とかオクラさんの話を聞いて、もしかしたら悪い方向に発展したら
わが家も同じようなことになるかもしれないと思った。
さきさんの母親・オクラさんは・・・
◆見極めが難しい。“いきすぎたしつけ”のように、将来を心配して「勉強しなさい」と父親が言うことを、娘が「うるさいよ」と言い返してエスカレートしていく。
夫と娘がやりあっているときは、娘も中学生なので一方的にやられっぱなしじゃない。
だから娘の内面的な心の方まで目がいってなくて、そこまで思いつめていたのか・・・と思った。
◆子どもが勇気をもって学校に言って、児童相談所が介入したことによって、私自身、虐待っていうことと向き合って、すべてがプラスだったと思う。
<児童相談所の所長を務めた川並利治さんは・・・>
◆心理的虐待は傷などが目に見えることがないので、心の傷がどのぐらい深いのか、わかりづらい。さらに、もうひとつは中学生で思春期なので、なおさら見極めづらいことも。
◆子どもは、SOSを出しにくい・出せないもの。
例えば、「叩かれるのは自分が悪い」というように自分を卑下することによって、現実に耐えようとする。
◆保護者はそこで、「あなたは悪くないよ、守ってあげるよ、大切だよ」と言い続けることが大事。すると、子どもは本音を言ってくれる。

<尾木ママの意見>
◆さきさんは、先生にSOSを出したのがすごい。
◆もし「自分の担任が若くて頼りないなと」思っても、学校全体で対応するし、児童相談所や専門機関と連携しているので、基本的にSOSを発信してほしい。

<VTR2>
一時保護施設で2か月を過ごしたさきさんは、父親からは守られたが、施設での生活に疑問を感じることもあった。
さきさん「“ちょっと保護しますね、児童相談所に行きましょう”と言われて、1日~2日とか短いだろうと思ったら、2か月だった。」

学校から制服のまま一時保護施設へ。
持ち物も制服も、学校の教科書も、すべて預かられ、2ヶ月の間、返してもらえなかったという。
さらに、外出もできない、学校にも通えない。
さきさん「学校とか部活に行きたかった。“いつ出られるんですか?”と聞いたけど、別居とかいうそういう提案がない限り、安全だと思えない限り、出させられないって言われて。あっち(父親)が悪いのに、私だけこんな不便な思いして、私だけすごい過ごしにくい環境で、なんで私だけこんな思いしないといけないんだろうって、ずっと思っていた。」

<スタジオの保護者は・・・>
◆虻川美穂子さん(北陽)
守られているっていう事実もあるとは思うけど、もうちょっと柔らかくしてもらえたら、って思う。
<児童相談所の所長を務めた川並利治さんは・・・>
◆実は一時保護所の方は課題がいっぱいあって、最大の問題は、保護中の期間学校に行けないということ。
◆学年それぞれに応じたものではないプリントをやってもらったり。
全く学習やってないということはないが・・・。
さきさんの母親・オクラさんは・・・
「学習タイム」というのがあったが、その学年に応じた勉強ができなくて、新学期始まったときに新しい教科書を届けたが、それも全部没収されて、見ることもできなかった。
学校に復帰したとき、すぐにテストで、娘が大変な思いをしていた。
<尾木ママの意見>
◆被害者が隔離されて加害者が普通に仕事しているのが“不公平だ”という子どもの気持ち、すごくよくわかる。
◆いじめられている人が「転校したら」なんて勧められて、加害者はのうのうと学校行って楽しく遊んでいる。「なんで僕が転校するんだろう」というのと一緒。
◆一時保護の問題には、今聞いただけでも、難しい問題がたくさんあるので、一時保護に至る前の段階でどういうふうに私たちがつながっていけるのか、手を差し伸べることができるのかというのがポイントだと思う。
<VTR2>
番組では、一時保護になる前に手を差し伸べる取り組みを取材した。
スタジオに来てもらったのは、子ども虐待防止のため親子支援を行うNPO法人の理事長、畠山由美さん。

畠山さん「本来なら、助けてくれる夫や祖父母、兄弟や友達がいるのが望ましいが、『困った、助けて』って言える人がいないことが一番問題。
1週間に1回でも、ご飯を作らなくていいとか、ちょっと大変な時に支えるだけで、また育児ができるようになるが、そういう助け手がいないのが、大きな問題。」
畠山さんのNPOが運営するのは、栃木県日光市にある育児支援施設。
食事や洗濯、お風呂などの家事・育児支援を行っている。
日光市は、家事や育児を手助けすることが一時保護を未然に防ぐと考え、NPOと連携して養育困難な家庭を支えている。


この施設では、子どもをみてもらうだけでなく親自身も頼ることができる。
例えば、預けた子どもを迎えに来た際、一緒に夕食をとって帰る親もいれば、ちょっと休みたいときには、子どもと一緒にお昼寝をしてから仕事にいく親もいる。
支えてもらっている保護者は
「“一人だと大変だろうから今日お風呂入っていったら”と言ってもらって、子どもだけでなく私も一緒にお風呂に入って、あとは帰って寝るだけ、というのが楽ですね。1回だけでも、気持ちが楽になります。すごい甘えさせてくれます。」
この施設で働く金子さんは・・・
「実家って『もうやだ~』って言えるじゃないですか。皆さんここにくると『もうやだ~』『育てられない~』とか言ってますけど。
そういう場所が心地いいんでしょうね。
母親がちょっと休みたいと言って赤ちゃんと一緒に寝てたりすると、『頑張ったね』って毛布を掛けます。みんな頑張ってます。」

<VTRを見た虻川美穂子さんの感想>
◆思わず、泣いちゃった。施設の方が優しくて、泣いてしまったんですけど。お風呂とか、全然入れないんですよね。2歳ぐらいまでは自分の体も洗えない、なおかつ休んだら“母親としてダメ”と勝手に思っていたので。
こんな優しいこと言われたらちょっと泣けちゃう。

<虐待防止に取り組むNPO法人代表 畠山さんの意見>
◆お風呂って本当に大変で。しかも兄弟が年子でいたりしたら、戦争みたいなもの。
お風呂やご飯を食べさせることを、毎日一人で全部やらなきゃって無理ですよね。
まずお母さん自身が優しくされないと、こんな大変なことできないと思う。
◆地域の中で具体的な子育て支援があれば一時保護しなくてもいいということで栃木県内で同じような支援施設が9か所に増えた。
県が予算をとって、県と市が予算を組んで、ひとつずつ増えていった。
◆“家から切り取る”とか“親から離す”というイメージではなくて“お母さんも一緒になってこの子を育てていこうね”という気持ちでやっています。
<尾木ママの意見>
◆困った状況でない時、ふだんから、「自分の地域にどんなショートステイがあるのかな」と調べたり登録しておくといいと思う。
◆一番大事なのは、頼り合ったり力を貸したりする、実家みたいな感覚の地域のつながり。
◆親の体罰禁止という法律が成立したが、法律ができたから虐待とかがなくなるわけではない。
日常の中で親が楽に頼れたり、相談できたり、愚痴を聞いてくれる所がある、そういう地域づくりが一番大事。

NHKでは、さまざまな番組で虐待について考えていきます。

END
*番組へのご意見ご感想をお待ちしております。
投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:25 | 固定リンク
シリーズ 虐待を防ぐには(3)「もしものときの児童相談所」<番組内容>

みなさんは、児童相談所についてどれくらい知っていますか?
今回のテーマは、シリーズ虐待を防ぐには第3弾「もしものときの児童相談所」。
ニュースでよく聞く児童相談所ですが、
多くの保護者は、「怖そう」「関わりたくない」と、あまりいいイメージを持っていないよう。

<児童相談所に長年つとめた鈴木浩之さんインタビュー>
◆児童相談所に関わったから、「おしまいだ」とか「絶望だ」とか「ここまで来てしまった」とは思わないでほしい
◆児童相談所は、親を罰するのではなくて保護者と一緒に子どもの未来とか安全とか幸せをつくっていく、
そういうお手伝いをしたいというのが児童相談所の役割
◆保護者にとってショックな出来事である「一時保護」を行うのも児童相談所だが保護者と対立をするということをしようとしているわけではなくて
そこからが子育てのリスタートだと思う

<尾木ママは・・・>
◆児童相談所で「助けてもらえた」とか、「ヒントをもらった」といういい話が伝わらないで、鬼気迫る時だけ児相が登場するから全然、児童相談所が理解されてないなと思う
<スタジオの保護者は・・・>
◆虻川美穂子さん(北陽)の意見
「児相」っていう響きがドドドーンと、重たい!
◆ももさんの意見
相談しにいった時点で「自分が頼りない親」「ダメな親」というイメージを持たれてしまうのではないかと思うと、相談しづらい
<児童相談所の所長を務めた川並利治さんは・・・>
◆児童相談所という名前が毛嫌いされるというようなこともあるので一部の自治体では「子どもセンター」「子ども総合相談センター」と名前を変えて、相談しやすくする工夫をしている

<VTR1>
みなさんは、2015年から設置された全国共通ダイヤル189を知っていますか?

◆全国共通ダイヤル189は、最寄りの児童相談所につながる電話番号。
「児童心理司」や「児童福祉司」などの職員が24時間休みなく、虐待や子育ての相談を受けている。
「あの子、虐待をうけているかも」という「周囲からの通告」、そして、親自身が「子育てがつらくて子どもにあたってしまう」という場合もこの番号にかけることができる

◆番組では今回、自分で児童相談所に通告したという母親の話を聞かせてもらった。
2人の子どもを育てるアキクサさんは、長女の子育てに悩んでいた。
長女はこだわりが強く、泣き出すと何時間も暴れて、おさまらない。
夫は連日、深夜まで仕事。実家の親にも、何度か相談したが、ひとりで頑張りなさいと“叱咤激励”を受け、自分がしっかりしなきゃと追い詰められたそう。
ひとりで悩む日々が2年以上続き、あるとき、自分の感情を抑えられなくなってしまった。
当時の日記には・・・
「ただ静かに話したい。でもできない。
だまってほしいのに だまってくれずに 口をふさいで首をしめてしまった」

消えているテレビの画面に映った自分の姿を見て、
「助けてほしい」と児童相談所に電話をした。
誰かに、ちょっと子どもを見てもらいたいと思ったそう。
児童相談所に電話をすると、職員がすぐに来た。 やっとそのとき、我にかえった。
日記「こんなに小さくてかわいいのに、なんで私はひどいことをしたり、傷つけてしまうのか、つらくなって泣いた」

<VTRを見たスタジオ保護者の感想>
◆うしさんの意見
そういう気持ちは、すごく分かる。
手を出したことはないし、絶対にやっちゃいけないけど、私もうまくいかなかったときに相談できず、とりあえず一人で頑張るしかなかった。
感情をなんとか抑えて、今日が終わったらまた明日とやり過ごしていた。
◆虻川美穂子さん(北陽)の意見
子育てをしていると、もしかしたらちょっと紙一重だなと思う。
<児童相談所の所長を務めた川並利治さんの意見>
◆今、社会が「産んだ子は頑張って育てなさい、自分の子なんだから」という養育を強いる風潮がある。
反対に「そんなに頑張らなくてもいいよ」と強力に言えるのが児童相談所。
<VTR2>
孤立した育児で追い詰められ、
児童相談所の職員に来てもらったアキクサさんだが、
ほっとしたのもつかの間、思わぬことを言われた。
児童相談所の人は「じゃお母さん、仕切り直しってことで!」と言いながらパーッと子どもを連れていってしまったそう。

アキクサさん
「私が望んだのは一時保護で連れてかれることじゃなくて、ちょっとの間だけ距離を取らせてもらえることだった。」
アキクサさんは、2~3日、子どもを預かってもらえると思っていたが、その日から2ヶ月、一時保護となった。
◆児童相談所は、親の意思にかかわらず、子どもを一時保護する権限があるため、とまどう親が多い。
親はどう受け止めればいいのか、児童相談所で長年、親のカウンセリングをしている五月女(そうとめ)友美子さんに聞いた。
五月女友美子さん
◆一時保護は非日常的なことなので、すぐ気持ちを落ちつけるということはとても難しい。
◆子どもが保護されてしまったのに、自分ばかりが自宅でゆったり過ごしてはいけないんじゃないか、おいしいものを食べちゃいけないんじゃないかという方も多く「お母さん、それは違いますよ」という話をしたことがある。
◆やっぱり保護者が元気になる必要があって、ちょっと外に出て、買い物や楽しいことに、気持ちも体も動かしてほしい。
◆煮つまった環境をちょっと解放するのが一時保護の役割。

アキクサさんも、時間がたつにつれ、少しずつ自分の育児を振り返ることができたという。
「子どもが産まれてから、ずっと一人で向き合って寝られてなかった。
保護されている間は、寝られたし、ちゃんと食事もまともにとれた。
子どもの特性について勉強したりとか、私はどういう声かけをしてあげればよかったのかなとか、考えました。」
<VTRを見た虻川美穂子さんの感想>
◆いきなり子どもと引き離されたら、どうなっちゃうんだろう!
体を半分持ってかれたような気持ちになっちゃうと思う。
だからアキクサさんは、そこを乗り越えて、子どもの愛おしさをもう一回見る時間ができたというのは、児相の力なんだなと思う。
<児童相談所の所長を務めた川並利治さんの意見>
◆一時保護されると親もショックでなので本当に保護するかどうかというのは、児童相談所側も非常に迷って迷って、安全のために親子を分けたほうがいいという場合に一時保護する。
◆だからやはり、お互いに元気を取り戻す時間と空間を提供するというようなことが一時保護の役割
◆オクラさんも、子どもを一時保護された経験があるが、その際、不安になったことがあったという。
中1の娘が一時保護されたきっかけは、夫の言動。
「部屋を片づけろ!」「服を脱ぎっぱなしにするな!」と毎晩、娘をどなりつけ、怒りがエスカレートすると、何十分もとまらない。
「片づけないなら、この家から出て行け!」と、もみあいになることも。
オクラさんは、そのたびに、「やめて!」と夫に言ったが、その行為はおよそ2年、続いた。

ある日娘は、連絡帳に「お父さんのいる家に、もう帰りたくありません」と書いた。

すると翌日、学校が児童相談所に通告。そのまま一時保護された。

オクラさんは、学校から電話を受けそのことを知った。
「がく然とした。何の権限があって!みたいな。
調べると、親の同意に関係なく保護できるすごい強力な権力を持つ組織だということを知って。」
さらに、娘が一時保護されていた2か月、非常に不安な気持ちで過ごしたという。
その理由は子どもの様子を教えてもらえなかったから。
オクラさん
「こちらからしてみれば、子どもが急にその日から帰って来なくなって子どもを拉致されたっていう気持ちだった。
『子どもはどうですか?』って聞いても、なんにも教えてくれないし。
どういうふうにこれから過ごしていくのか、一日の流れとかも全く教えてくれない。
下着とか着替えとか『持っていきます』っていったら、『それはもう全部、こちらのものを使用するから、いらないです』って言われた。」

娘を一時保護されたオクラさんは、児童相談所から、「家が安全でないと、娘さんを返せません。
家を安全にするためのプランを出してください」と言われたそう。
考えるうちに気付いたのは、「娘が頼れる場所がない」ということ。
そこで、近所の人や学校の先生、地域の児童委員などに家の事情を全て話し、何かあったら娘を助けてほしいとお願いした。
オクラさん
◆隠してきたからこうなってるんだと思うから、全部さらけ出したほうが、お父さん自身にも私はいいと思う。
◆とにかく娘の中学校時代の1日1日っていうのは、大人の1日よりも全然大事、貴重な時間なので、それを早く取り戻してあげるために自分にできることはなんなのかと考えた。
そしてもうひとつ。
一時保護されていた2か月の間に、夫との別居も決断した。

オクラさん
◆とにかく目線を変えて、「娘を守る」!
私だけの手ではもうどうにもならないので地域の交流の場にも行って、下の子を連れていって、私たち家族を知ってください、と言った。
娘の姿がないと「あれどうしたの?」って気にかけてもらえるような地域とのつながりをとにかく持とうと思った。
◆いったんお父さんと離れることは、頭を冷やすとか、振り返る時間もあるでしょうし、いいことなんじゃないのかなって。
◆児童相談所が介入したことによって、私自身も虐待っていうことと向き合って、それがなかったらここまでの行動をしてなかった、ここまでの情報も知りえることがなかった。
子どもが勇気をもって学校に言ったこともそうですし、一時保護されたことは、すべてがプラスだったと思っています。
<児童相談所の所長を務めた川並利治さんの意見>
◆オクラさんは、大きな決断を2つされたと思う
「別居」は、娘に対して、あなたのことを守るよという強いメッセージ。
もう1つは、自分の家のもめごとを地域に話すのはなかなかできないが地域に気づいてもらうということが、虐待をストップできる大きな一歩。
<虐待防止活動をしているNPO法人代表 畠山由美さんの意見>
◆「通告」は、児童相談所と支援を必要としている方が出会うきっかけ。
児童相談所は、保護者を責めるところでも裁くところでもなくて、やっとつながれてよかったと思う。
目指すところは子どもの幸せ、家庭の幸せ、保護者の幸せ。

<尾木ママの意見>
◆虐待の問題というのは、どうしても「自分とは関係ない」とか「ひどい親の問題」とか切り離しがちだけども、みんなつながっている、全員関係のある問題。
だから、まず児相ってなんだろうと。どんな仕事をしていて、どういうふうに僕たちが助けてもらえるのかというのを、まず知るということが大事だと思いますよね。

NHKでは、さまざまな番組で虐待について考えていきます。

END
*番組へのご意見ご感想をお待ちしております。
投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:25 | 固定リンク
いじめ 相談してほしいけど・・・<番組内容>
ウワサの保護者会!今回は「いじめをノックアウト」とのコラボ回。
スペシャルゲストは、MCの高橋みなみさん!

2019年滋賀県大津市のデータによると「いじめを受けたとき親に相談した中学生」は3人に1人。
もし自分の子どもがいじめられたら、親はどうしたらいい?たかみなさんと一緒に考えていく!

◇子どもがいじめられたホゴシャーズ3人◇
・実際に、子どもがいじめられたときに、相談してくれず悩んだというホゴシャーズ。

<ホゴシャーズの体験>
ネクタリンさん:よくしゃべる子どもだったのに、突然しゃべらなくなる。「嫌なことあるなら言って?」と言っても答えない。あるとき急に「自分が嫌われていると思う出来事」を箇条書きにして、読み上げて、大号泣。
ごぼうさん:あるとき急に「俺の顔って変?」と言うように。心配になって様子を見ていたら「先生に言わない?」というので「言わないよ」と言ったら、ようやく「お前の顔変だな」と学校で言われていることを話した。
みやびさん:小6の時に、突然、朝起きれなくなり、めまい、吐き気。小児科に行くと起立性調節障害と言われて、体の異変があってから初めて「いじめにあっている」と言われた。
子どもたちはなぜ親にいじめの悩みを話すことができないのか?実際に一人で抱え込んでいた子を取材した。
◇親に言えない 認めたくない◇
・中2女子りおさん。小学校からいじめを受ける、不登校に。自殺を考えるまで追い込まれたが、親には言えなかった。
・3兄弟の末っ子。忙しく働く母親の姿を見て、これ以上負担をかけたくないという気持ちがあった。
・さらに、自分がいじめを受けていることが恥ずかしいという気持ちもあったという。

<ホゴシャーズの意見>
ネクタリンさん:子どもなりに親を守りたいという気持ちがあるのかも。
カラスウリさん:自分もいじめ体験があるのでよく分かる。親に話すことで、いじめられていることを認めることになるので、抵抗があった。
ごぼうさん:子どもにも自尊心があるので、親に話すことで、また自尊心が傷つけられちゃうのかも。
<尾木ママの見解>
・親に言うと、学校の先生にも伝わってしまうのでは、という不安が子どもにはある。
子どもたちは、先生たちが解決してくれない様子を見ているので、信じきれない部分がある。
<専門家 須永さんの見解>
・いじめられてストレスがたまっている時は、コップの中に水が8割くらい入っている状態。しかし、子どもとしては「まだ大丈夫」という認識を自分でしてしまう。本当に辛い状況で、体調を崩す、というのは、コップの水があふれてしまっている状態。その状態になるまで、周りの人には相談できない。

須永祐慈さん(NPO法人ストップいじめ!ナビ副代表理事)
自身もいじめられて、不登校になった経験を持つ。
一方、コミュニケーションがとれていても、親の言葉が響かない例も。
◇親のアドバイスが響かない◇
・高1女子なこさん。中学校時代にいじめられるが、学校に通い続けた。希望する高校に進学するには、内申や出席が必要だったからだ。しかし、体調は限界を迎えていた。
・その様子を見ていた母親は「休み休み学校へ行くこと」を提案するが、本人は「その助けはいらない」。
・母親からすると「娘のことを思っているのに伝わらない。」

<専門家 須永さんの見解>
・実体験からすると、アドバイスが欲しいわけではなく、つらい思いを抱えている自分を受け止めて欲しい、という思いがある。親が子どものことを、分かっているつもりでいるほど、反発がある。
<尾木ママの見解>
・だからこそ、親以外との接点というのが非常に大事になってくる。
今、NHKで第三者との接点を作るために取り組みが始まっている。
◇ネット相談が救いになる◇
・NHKが運営するウェブサイト「マダ友プロジェクト」。いじめや人間関係の悩みを書き込むと「マダ友=まだ見ぬ友達」から返事がもらえるという仕組み。
・これまで6000件以上の書き込みがあり、多くの子どもたちが救われている。

・マダ友プロジェクト https://www.nhk.or.jp/ijimezero/madatomo/
<専門家 須永さんの見解>
・つながることは大事。言葉やアドバイスだけじゃなくて、誰かといる安心感が必要。
・ネット相談には危険もある。しかし「マダ友プロジェクト」のように、NHK職員がひぼう中傷の書き込みを無くした上でコミュニケーションができるサイトなど、安心して相談できる窓口にアクセスすべし。他には自治体の無料電話相談、LINE相談、民間がやっているチャイルドラインなど。
・親としては、そうした窓口にアクセスしやすい環境を作ってあげることが大事。
◇一体親には何ができる?◇
<たかみなさんの意見>
・自分がAKB48時代、精神的につらかったとき「しんどい」と母親に言ったら「それだったらもうやめたらいい!」と言われて、びっくりしたことがあった。求めているのは、そういう言葉ではなく、“ただフラットに横にいて欲しかった“ということ。
<ホゴシャーズの感想>
ももさん:これまでは、子どもと一心同体のつもりで、親がなんとかしないといけないと思っていた。でも、大切なことは、話しを静かに聞き、おいしいご飯を出したり、風邪をひいているときにのど飴を渡してあげたりすることなのかなと思った。

<専門家 須永さんの意見>
・ご飯が食べられる環境、布団があって寝ることができる環境があること。当たり前のようなことだが、そうした環境があるというだけで子どもは安心できる。悩んでいる子どもに親にしかできないことはある。
END
*番組へのご意見ご感想をお待ちしております。
投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:25 | 固定リンク