2020年10月10日 (土)

発達障害 子どもを怒ってしまうとき<番組内容>

今回のテーマは「発達障害 子どもを怒ってしまうとき」

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【スタジオで/ホゴシャーズの悩み】

●野うさぎさん
中3息子(自閉スペクトラム症/注意欠如・多動症/学習障害)
・発達障害の診断を受けたのは、小学校3年生のとき。
その頃、子ども自身が、学校でストレスや劣等感みたいなものを感じ始めていて、「今日宿題は?」「片づけなさい」などの声かけをしてしまうと「もううるさいな!」となって、どんどんエスカレートして、通報されるんじゃないかというくらい大声でどなり合いになってしまったこともある。

●カブトムシさん
小4息子(注意欠如・多動症)
・いつもかんしゃくを起こして、宿題をビリビリ破いちゃうときなどに優しく分かってあげようと思うけど、どうしても「こら~」とというどなり声を出してしまう。

●菜の花さん
小3息子(自閉スペクトラム症/注意欠如・多動症/学習障害)
小1息子(自閉症スペクトラム/情緒障害)
・長男が学校生活で授業に集中できない、じっとしていることができない、忘れ物が多い、朝から支度がはかどらない…。
また、家でも大声を出したり、ソファーで飛び跳ねたりすることも。
多動に関しては、きっと子どもも動きたくて動いてるわけじゃない思ってるが、余裕がなかったら「うるさいって言ってるやろう」「何回言わすの」と頭ごなしにどなってしまう。
・子どもに一番言われてつらいのは、「ママいつも怒ってる、いつも怖い」
・寝る前にいつも子どもの写真を見て、「明日は怒らないぞ」と思うが、朝起きて、怒って、怒る自分を責めて落ち込んでしまう。

●さくらさん
・息子がソファでだらっとしてたりジャンプしてたら「もう早く着替えなさい」「もうそれやめてってママ100回言ったよね」と、朝から怒ってしまう。
・明るくて社交的で普通に見えるので「いやいや、全然みんなと変わらないよ、大丈夫だよ、男の子なんてそんなもんだよ。」と言われて、なかなか周りに理解してもらえないのが悩み。 


●菜の花さん
・「全然何もないじゃん、大丈夫、うちも一緒だよ」という言葉が、私にはきつく感じる。

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ゲストは、子どもの発達障害や神経疾患を多く診察してきた、医師 星野恭子さん。

●医師 星野恭子さん
・保護者のみなさんも“子どもたちが嫌いで”怒っているわけではなく“きちんとしてほしいから”。
怒ってしまうということだけで、ご自分たちを責める必要はない。
・発達障害のある子どもたちというのは、脳の神経の働きが弱いと考えられていて、親が怒っている内容を100%理解していないということがある。
・「怒られた」「ママ怖い」と感じて年齢が上がると「どうせ僕はダメなんだ」という気持ちになってしまう。
怖いということだけが脳に記憶されてしまうのが問題。
・どうしたらいいのか…それは、“褒める”ことが大事。


【VTR取材/星野さんのクリニック】
小児神経が専門の医師、星野恭子さんは、発達障害のある子どもを診察するとき、“褒める”ことを大事にしている。
子どもを褒めることは、脳の「前頭葉」にいい影響を与えるという。

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●医師 星野恭子さん
・前頭葉にはドーパミンという神経伝達物質があり、集中力・注意力をあげたり、衝動性を抑える、子どもたちの問題となっている行為を抑制する、そういう効果があると言われている。
・褒めることによって、ドーパミンの分泌量が上がると言われている。
・発達障害の子どもたちは、脳の発達がゆっくりというか、遅いというか、発達の坂道ののぼり方に一人一人個性がある。
“前頭葉のドーパミン”という言葉を思い出していただいて、褒めるというモードに切り替えてほしい。


では、例えば、子どもがソファーで飛んでいるとき、どう褒めるモードに切り替えればいいのか。


●医師 星野恭子さん
・子どもに近寄って「ちょっとやめてね」と言って、やめた瞬間に「できたね!」「よくできた!よく我慢できたね!」という、褒める声かけが必要。
・発達障害のある子どもたちには、短い言葉で、キャッチーに褒める、子どもが喜ぶ言葉を一緒につけてあげることで、より内容を理解しやすくなるし、理解して「あっ、そうなんだ」と思うと、神経の伝達物質の分泌も上がると思います。


星野さんの診察を、12年うけているたくみくん親子
・褒めるときのキャッチーなキーワードは“花まる”だ。

直子さん「“花まる”というのは、彼が頑張ったときやすべきことをしたときが“花まる”です。」

・直子さん、以前は、“友達をたたく・物を投げる”などの問題行動ばかりが目について、怒ることが多かった。

直子さん「どうして分からないの!って言っていたときは、それで何も得られなかった。
そうなってくると、“彼は一体何を考えて、何を見てて、どんなふうに苦手なことを思ってるだろう”と思えたんですよ。私には分からない彼の世界があって、見方が違う、聞こえ方が違う、聞こえ過ぎたら苦しいとか、そういうことが分かってくると“1人で着替えて1人で洗濯かごに洗濯物を入れた彼は、頑張ったと思う”というふうに、見方を変えてあげることができた。
そうすると、褒めるのは割と簡単だなと思えた。」

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【スタジオで/声かけを考える】
●例えば朝、子どもの身支度がはかどらないとき、どう声をかければいいのか。

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菜の花さん
「この朝の番組が終わるまでに着替えなかったら、今日はゲームなし」と言っている。
さくらさん「お着替えしなかったら朝ごはん抜き」と言っている。


●医師 星野恭子さんは・・・
・「しなかったらだめ・あげない」という“罰”のほうが言いやすいし、子どもにどうしようと思わせることができるが、そうではなくて、できたら「よかったね!」というふうに変えられるといい。
・例えば、「用意ドン!」と言って、身支度を楽しくタイムレースにするなどゲーム性を持たせて、戻ってきたら「やった!帰ってきた!タッチー!」と言って、褒めてあげよう。

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【VTR取材/カブトムシさんの工夫】
日常の中で、工夫をいろいろと重ねているというのが、シングルマザーとして1人息子を育てるカブトムシさん
(小4息子(注意欠如・多動症))

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・保育園に通うのも、無理やり引っ張って連れていって、1年生の頃も、スーパーで地べたに寝そべってギャーと叫ぶようなことがあった。
・その頃カブトムシさんは、毎日大声で怒っていたという。

カブトムシさん「本当に人格が変わるぐらいどなってて、診断を受けて、発達障害だと分かっているにもかかわらず、みんなと同じような行動をとらせたいという親のエゴがあって、「早くしなさい」「ちゃんと並びなさい」「待ちなさい」とばかり言っていた。」

れんくんは、気持ちをコントロールすることが難しく、かんしゃくを起こすと、会話をすることもままならない。
カブトムシさんは、きちんと会話のキャッチボールができないというのがストレスで、イライラしたり、他の子どもと絶対比べてはいけないだろうけど、“あんなふうに仲よく話せる親子になりたいな”とか、“普通の会話を普通に楽しみたいな”と思っていた。

・そんな状態が変わったのは、れんくんが2年生になり、特別支援学級にも通いだしたとき。
そのクラスの先生は、れんくんを怒ることなく、褒めて接してくれた。
連絡帳でも、プリントがきちんと出せたことや、校外学習で質問ができたことなどを毎日必ず1つ、褒めてくれた。

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カブトムシさ「その先生によって、子ども自体も少し変わったんですよ。
すごい伸び伸びしていて、それがきっかけで私も手助けしてあげると、もしかしたらいいふうに変わるかも、と、いきなりパンと光が差したような感じだった。」

カブトムシさんも、その先生の接し方を参考に怒るのをやめて、褒めてみることにした。
・食べこぼしがあるときも、「ちょっと!」と毎回言いたいけど、少しずつ、こぼさなかったら褒める、という工夫を繰り返していった。
・さらに、子どもに伝えたいことがあるときは、イラストを描くなど、工夫も始めた。

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カブトムシさん「(おかずの)サケを、ぽーんと投げちゃうときとかもあって。
長く怒らずに、一回暴れたらちょっと暴れさせて、戻ってきたときに、サケがどこから来てて、誰が作ってくれたかな…と
絵を描いて説明して、「お母さん悲しいよ」って伝えて、そこからもうあえて何も言わない。
そしたら、「作ってくれたのにごめん」と言うことも増えた。
なるべく、短く、さっぱり終わらせるようにしています。」

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・最近では、「クソババア」「死ね」などの暴言が増えたので、「反抗してもいいよ」という気持ちを書いて伝えたりかんしゃくをおこしたときにクールダウンできるテントを家の中に作ったり。
工夫を重ねるうちに親子の会話に変化が出てきたという。


ある日の親子の会話
「友だちと仲直りしたん?ケンカしてたみたいだけど」
息子「仲直りしたよ。なんか自然と仲良くなってきた。それが子ども。」
「いいね、自然と仲直りできるのいいんじゃない?こどものときしっかりケンカを経験していいんじゃない?」


カブトムシさん「ただ頭ごなしにどなっていたときよりも愛情をちゃんと感じてくれてるのかなと思う。
かんしゃくを起こした後、今までだったら「お母さんが絶対悪い」とか「友達が悪い」と言っていたが、
「お母さんがこれしてくれたけん落ちつけたわ」という言葉が最近少しずつ増えてきて、
「お母さんだっていつも絵に描いてくれて、ちゃんと工夫をしてくれようとしてるじゃん」と
言われたので、ちゃんとわかってくれようとしている、その安心感があればいい。」

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【スタジオで/睡眠の悩み】
そんなカブトムシさんは、子どもの睡眠について悩んでいる。
朝は6時ぐらいから起こし始めるが、家を7時15分に出なければらないのに7時まで寝ている。起こしても起こしても「うるせえ」「うぜえ」と言って寝ている。

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カブトムシさんの子どもだけでなく、発達障害のある子どもは、睡眠のコントロールが難しいと言われている。

●医師 星野恭子さんに、睡眠についてアドバイスをもらった。

[1] 睡眠表をつくる。
子ども自身が睡眠・覚醒リズムを意識する。
自分で寝る時間・起きる時間を表に塗ることによって「あぁそうか、僕は11時に寝てたから、朝起きられなかったのか」などと、自分で自分のリズムを認識することができる。 

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[2] 朝の光をしっかり浴びることと、
寝る前1時間は スマホやゲームの光を見ない
朝の光によって、脳の中の「時計遺伝子」というものが駆動して、朝起きるようになって、夜になると夜眠るホルモン、メラトニンが出て眠りを誘う。
メラトニンは、光・スマホ・ゲームによって、出が悪くなると言われている。
特に発達障害がある子どもたちは、メラトニンの分泌のリズムが少しずれているか、分泌があまりよくないということが言われている。

今年の6月に、メラトニンがお薬として使えるようになったので主治医の先生とお話しされてもいいと思う。

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カブトムシさんの感想「表をつくるのは、子どももゲーム感覚で塗れると思うので、やってみようと思います。」



【スタジオ/最後に・・・】
尾木ママ「僕ら社会からしてみれば、保護者だけに負担をかけているっていうのは、いけないと思う。」

カブトムシさん「子どもを支える支援は、療育だったり病院だったりいろいろあるけど、子どもを支える親の支援というものがほとんどないと感じる。身近な支援場所があればいいなと思います。」

尾木ママ「発達障害っていったい何だろうっていうことを、もっと社会全体が認識していくことが大事かなと思いました。」

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 END



投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30


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