番組内容
いつから始める?性教育<番組内容>
今、子どもの性教育が注目されている。
その背景には、子どもの性被害防止への関心の高まりや、学校の性教育に不安を抱く保護者のニーズがあるという。一方で、アンケートをとってみると「子どもに性について話すことに抵抗がある」「親が伝える必要があるのだろうか」という声も多かった。
保護者はどう向き合っていけばよいのだろうか?

今回のゲストは、性教育の専門家・村瀬幸浩さん。
もともと保健体育科の高校教諭だった村瀬さんは、およそ半世紀にわたって性教育に携わり、現在も講演や執筆活動を行っている。

子どもに性について伝える試み
~タツノオトシゴさん家の場合~
小2の娘と5歳の息子がいるタツノオトシゴさん。子ども用の本棚に性教育の絵本や漫画を置くなど、家庭で性について当たり前に話せるような環境をつくっている。

実は以前、タツノオトシゴさんは生理中で体調が悪かった妻のじゅりさんに対して気遣えず、傷つけてしまったことがある。このとき初めて、性の知識が足りないことを自覚し、子どもたちにも正しい知識を持ってほしいと思うようになった。実際、子どもがお風呂で生理中の母の体調を気遣うなど、性の知識が伝わっていると実感することもあるという。

<村瀬さんのアドバイス>
・子どもに性について質問された場合、否定したりごまかしたりするのはNG!とっさに答えが浮かばないときは、「いい質問だね、調べておくよ」と言って、後で調べてきちんと答えてあげるとよい。
・子どもが知りたいことと、大人が答えなくてはいけないと考えていることが、大きく異なる場合もある。「どうしてそういうことを聞こうと思ったの?」と、子どもの疑問に寄り添うことが基本。
・思春期を迎えると、性について親に聞かなくなる。子どもが質問をしてくるうちにしっかりと向き合うことで、「性について話してもいいんだ」と子どもが思える信頼関係を築くことができ、トラブル回避につながる。

日本の性教育の現状は?
~海外と比べて~
日本と海外の性教育に詳しい埼玉大学の田代美江子さん。
性教育の国際的なスタンダードとなっている、ユネスコの『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』の訳者の一人である。

日本の教科書は海外の教科書と比べて、性について学ぶのに必要な情報が足りていないという。
例えば、ドイツでは、8~10歳向けの生活科の教科書で、性交についてイラストや文章でしっかりと説明がなされているが、日本の学習指導要領には、「受精に至る過程は取り扱わない」との「歯止め規定」がある。
<田代さんの見解>
・体や性は自分自身を形づくるもの。子どもが発達段階に応じて性について正しい知識を身につけることで、自分自身を大切な存在だと思えるようになる。すると、他者の権利も尊重できるようになり、よい対人関係にもつながる。
・小さいうちから性をポジティブに捉える基盤を作ることで、深刻なトラブルを避けることができるようになる。
小学校における性教育の新しい試み
大阪市立生野南小学校の1年生の授業。
子どもたちは、水着で隠れる場所について確認した後、体の様々な部位を触られるとどんな気持ちになるかを考えていく。体を触られて嫌な気持ちになったとき、たとえ相手が身近な大人であっても「嫌だ」と意思表示をし、信頼できる大人に相談してよいということを学ぶ。

<村瀬さんのアドバイス>
・性犯罪の加害者にも被害者にもならないために、子どもにまず伝えたいのが「プライベートパーツ」、つまり「水着で隠れる場所(胸、性器、お尻)+口」のこと。
・そもそも体はすべてその人のものだが、プライベートパーツはその中でも特に他人が触ったり、触らせたり、見ようとしたり、見せたりしてはいけない部分。
・たとえ親であっても、お世話や看護で必要な場合以外に、子どもの性器やお尻をふざけて触ることは避けるべき。プライベートパーツを触ることが「好き」の表現だと教えてしまうことになりかねない。すると、体を触られても拒否できず被害者になったり、逆に相手が嫌がっているのに触ってしまい加害者になったりするリスクがある。
生野南小学校では、1年生から6年生まで「性・生教育」の授業が続いていく。
2年生では妊婦体験などを通して赤ちゃんについて学ぶほか、5年生では恋愛やDVについて、6年生では結婚や子育てについて考えていく。

<性教育とは>
・性教育は自分と社会との関係について考えたり、人間関係をどう作るのかを学んだりするための重要な学び。(尾木ママ)
・性教育は性器や性交についてだけではなく、家族とは何かというような大きなテーマを含む。そういうふうに考えて、勉強してみようかなと思っていただけると嬉しい。(村瀬さん)

最後に・・・
<すでに思春期のお子さんがおられる保護者の方にも、村瀬さんからのメッセージ>
性教育を始めるのに、遅すぎるということはありません。親は子どもに対し「性についての疑問があったらいつでも聞いてね」と、子どもが安心して性の会話ができるという雰囲気や姿勢を示すことが大切です。そのうえで、性教育に関する本や、信頼できる性教育の動画やサイトを提示するのもよいでしょう。
END
投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | 固定リンク
これって過干渉?<番組内容>
今回のテーマは“過干渉”。
ホゴシャーズからは「自分は過干渉かもしれない」という悩みの声がたくさん寄せられた。
「長男(小1)が忘れ物をしないよう、学校の準備を毎日手伝っていました。子どもの自立を邪魔したのでしょうか?」
「長女(中1)は、華やかなグループに無理して入っているように見えます。『合わないのでは?』と伝えたのですが、これも過干渉ですか?」

親は子どもにどう関わればよいのか?尾木ママ、専門家と共に考えていく!
〈これって過干渉? ホゴシャーズの悩み〉
・カラスウリさん
長女(高2)の中学受験のとき、親としてよいと思う学校を強くすすめたら、キレてしまった。その反省から、長男(中3)の受験には関与しすぎないようにしていたら、妻から「もっと関わってよお父さん!」。その微妙なバランスが難しい。

・ディクディクさん
長男(中2)に対し、小学校低学年のころから、TODOリストを作っていた。宿題や習い事の課題など、子どもが学校から帰ってきてやることをまとめ、やらせている。その話をママ友にしたら「やりすぎじゃない!?」。でも、助け船を出すつもりでやっているから、いいんじゃないかなあと、もやもや・・・。

・ハナミズキさん
長男(中2)。友達関係について、小学校のころは聞いたら素直に答えてくれていた。でも中学生くらいになってから、急に面倒くさそうになって、うざがられている感じのことが増えてきた。
他には、服装について寒いときに厚着するように言ったり、上下の組み合わせについても言ってしまう。すべてが心配で、ついつい口を出してしまう。

他には・・・
〈これって過干渉? GPSで居場所を・・・〉
・ハナミズキさん
長男が出かけているときに、スマホのGPSで居場所をチェックしている。
・ディクディクさん
長男が小学生のときは、私もやっていた。
・カラスウリさん
やっていないけど、見たい気持ちはある。塾で夜遅くなるとき、治安の悪い地域にいたりしたら、不安になる。
これについて尾木ママは・・・
子どもに内緒でGPSで見ていたら、子どもは「親に監視されている」と感じてしまう。ただ、繁華街など危険だと思う場所にいる場合などは、親との合意の上で使ってもよい。

教育学・育児学などが専門で、子どもの発達心理に詳しい汐見稔幸さん。

子どものことが心配でしかたないのは非常によく分かる。子どもを愛していることはよく伝わってくる。自分も、子どもは40代と30代だが、いまだに心配。でも、親が知らないことは増えていくし、子どもは「親に知られてたまるか」と思っているかもしれない。子どもの世界に入り込みすぎないようにするということが愛し方。
子どもは、親の関わり方をどう思っているのか?
ハナミズキさんの長男、みずきくんに話を聞いてみると、今まで口に出せなかったお母さんへの思いがあふれてきた。
〈親の心配に子どもの本音は・・・〉
・みずきくん(中2)
『最近は、いろいろと言われることが多いので、少しストレス。服装のこととか自分が寒ければ厚着していくし、友達関係についても「誰と行くの?」と聞かれるけど、メンバーなんて自分の勝手じゃん!と思う。』

それでもお母さんに本音を言わないのは、傷つけたくないという思いから。
『お母さんとちゃんと話したい、よい関係になりたいという気持ちと、嫌だなという気持ちが、時と場合によって揺れ動いて、変わっているという感じ。』
〈過干渉 子どもが心配だから・・・〉
・ハナミズキさん
よかれと思ってやっていたことが息子にとってストレスになっていたと思うとつらくなった。
・尾木ママ
みずきくんはすごい子。お母さんが心配しているのを分かっていて、それを跳ね返したら、お母さんが落ち込むことまで分かっている。自分を客観視していている。
・汐見先生
子どもは、親が考える以上に親のことを心配している。社会のいろいろなことを考え、これから自分はどう生きていくのか、どういう風な友達とやっていくのか、一生懸命考えている。親が考えている以上にもう大人になっている。
ハナミズキさんは、今のやり方について、自分を否定する必要は全然ない。アドバイスすることはあってよい。でも、少しやり方を変えたほうがいいのかもっていうようなことを、子どもが言ってくれたような感じ。
〈過干渉にならないために 親子で対話〉
みずきくんは、お母さんにどう関わってほしいと思っているのか?ハナミズキさんが聞いてみた。

みずきくん
「お母さんは干渉しすぎ。大事なことだったら答えるけど、どうだったよい質問が多すぎる。もう中学校2年生なのだから、信頼してほしい!悩みも友達に相談している。」
〈過干渉にならない関わり方とは?〉
・ハナミズキさん
「僕のことを信頼してくれ」という言葉が心に残っている。口を出しそうになったとき「ダメだ!息子のことを信頼しよう」とワンアクション置けるようになった。
・尾木ママ
子どもは日常の小さなことは友達に相談している。それをいちいち親に言われたくないと思っている。子どもは友達関係、学校の授業など、社会の中で成長している。
この対話を通じてみずきくんは・・・
「前は、お母さんは僕のことを心配して手放せない感じだった。今はいちいち聞かれることもなくなり、信用してもらえていることを感じる。本当に困ったときに、相談しようと思えるようになった。」

子どもに対して過干渉にならないよい関係を作っていくコツはある?
・汐見先生
中学生にとって親は「同じ時代を生きているちょっとした先輩」として、対等に意見を言い合える年齢になっている。だからテレビのニュースや、コロナ問題などについて、対等に議論していくといい。そういう話し合いの中から、子どもがやりたいことを見つけていく。そして、子どもの意見を絶対に否定せず「面白いね」「どうしてそう思うの?」と受け入れる。
もう一つ、子どものことしか人生がないのではなく、親自身が「やりたいこと」を見つける。そうすると子どもは、親が何かに一生懸命になっている姿を見て、尊敬するようになる。
・尾木ママ
過干渉を避けるためには、子どもが大人になったときのことをイメージしながら子育てしていくことが大事。そうすると、服装とか細かいことは気にならなくなる。
子ども自身が物事を決めることが大事。自分で決めた子どもは、失敗しても「自分で決めたからしかたない」と乗り越えようとして、たくましくなる。だから、小さな失敗は初期にしておいて、乗り越える力や、自己分析、客観視する力がついてくることが生きる力になる!
END
投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | 固定リンク
わが子がひきこもったら<番組内容>
ひきこもりを考えるプロジェクト「#こもりびと」の関連番組。
プロジェクトに参加する各番組の情報はこちらまで。

小中学校で不登校になっている子どもたちは年々増え続け、およそ18万人。わが子が学校に行かなくなったり、部屋にこもったりしたとき、親はどうすればよいのか、不登校経験者とともに考えた。
<ひきこもりがちな子どもの気持ち>
映像・デザイン制作会社役員のたけしさんは、中学1年生の時から不登校の経験がある。
中学1年生の時、丸刈りを強制する校則に疑問を持ち、校則を変える運動を始め、髪も伸ばし始めたたけしさん。応援してくれる友達も多かったが、一部の同級生からは髪を伸ばしたことで「ずるい!」と言われ、先生からは「切ってこい」と言われて板挟みになった。やがて学校に行くのがつらくなって休みがちになり、中学3年生の春には完全に行かなくなった。
たけしさん
・学校に行きたくないと思っているし、学校に行くと自分じゃなくなってしまう
・学校のある昼間の時間がつらくてゲームに夢中になって紛らわそうとしていた
・校則を変えられず、さらに不登校になってしまった。そんな自分は弱いんだと思っていた
その後、通信制高校を経て大学に進学。「強くなりたい」と敢えてきついアルバイトにも挑戦したがいずれも続かず、大学3年生の時にはひきこもりがちに。
たけしさん
・自分が弱いから頑張る、うまくいかない、やはりだめだ、という事を繰り返していくうちに、自分が弱い、ダメな人間ということが確定していく

<子どもの苦しさ どう受けとめる?>
・ビーツさん(娘が中学3年間ほぼ不登校 今は高校に通っているが調子に波がある)
・自分が弱いからと敢えて険しい道を選ぶのがうちの子と共通していると思った
・トカゲさん(娘が小5から不登校 中学生になり短時間だけ通うが疲れ切っている)
・娘も弱い自分を許せないと言っていた。何をしても無駄と思う自分もいれば頑張らなきゃいけないと思う自分もいて葛藤している。
・10分くらい学校に行って帰ると疲れ切って寝てしまい、ゆすっても起きない。「学校に行かなくても大丈夫だよ」と言ってあげても、本人は「それじゃあ自分がダメになる」と言う。

みなこさん(映像・デザイン制作会社役員 不登校経験者)
・「しばらく休んでみれば?」と母から言ってくれたのは救いだった。
・学校を休んでいた時に「洋服でも買う?」と連れ出してくれたのが印象に残っていて、そのときの服は今も大事にしまってある
・「私の味方なんだ」というメッセージとして受けとめた
<一歩踏み出すとき>
・大学3年生のとき再びひきこもりがちになったたけしさん。つらい思いを部屋の壁に書いたり、もがいていた。あるとき不登校経験者が作った大学のイベントに参加し、その場で入学した。
・いつも周囲に合わせようとしてきたたけしさんだったが、その大学では少し違った。

たけしさん
・“たけしくんはどうしたいの?”と聞かれることに感動した
・少しずつ「自分はこうしたい」と言い、受け入れられることが積み重なると安心できるようになった
・安心できるようになると自分も何かしてみたくなり、ソーラーカーレースに挑戦した
・毎朝10時から夜12時まで作業して、寝ると回復して翌朝も10時から作業する
・エネルギーがどんどん湧いてきて動けるようになっていった
<一歩踏み出すためには・・・>
・ビーツさん
・娘も好きなことに没頭できるようになれば楽しいだろうが、我慢しなきゃいけない今がつらそうで…
・たけしさん
・嫌なことを乗り越えないと好きなことができないと自分もとらわれていた
・その大学はやりたいことをやる場所だった 安心できる場所でないとやりたいことができない
・みなこさん
・へとへとになってしまうと一番エネルギーを注ぎたいことに注ぐことができないのでもったいない
・好きなことからどんどんやっても良いのではないか?

・トカゲさん
・娘は自分で調べて定時制の高校に行きたがっているが、中学の先生からは全日制に行くようにとプレッシャーがある
・尾木ママ
・それは学校がおかしい 多様な学びがあって定時制でも通信制でもいい
・本人が一番伸びやすい安心できる場所が一番いい進路先なんです
<専門家に聞く 不登校 “親にできること”>
・児童精神科医 高岡健(たかおか・けん)さん(岐阜県立希望が丘こども医療福祉センター)
によると
不登校の意義
[1] いじめなど危険でストレスフルな環境から身を守るという意義
[2] 自分との対話「自分の生き方がこれでいいのだろうか」「もっと違った生き方をした方が良いのではないか?」と考える
大人になっていくうえで自分を確立するプロセス
親ができることは?
・ひきこもっては駄目だとか自分を守るのは駄目だといった間違った対応をするとエネルギーが溜まらない
・本人を非難、否定する情報をシャットアウトすると、自分との対話が促進される
・親が子どもに向けて語り掛けたり行動を起こすことにはあまり意味がなくマイナスになりがち
・親は自分自身の事をするのが良い

<親は自分自身のことをする>
・トカゲさん
・娘に「お母さんなぜ仕事を辞めたの?もう一回したら?」と言われた
・ビーツさん
・同じように「お母さん、生きてて楽しいの?何かやりたいことないの?」と言われて考えた
・みなこさん
・放置するのとは違うので基本的には味方でいて欲しい
・だが「この子はうまく行かないんじゃないか」と考えすぎて親が苦しむのは子どもとしてはいたたまれない 生き生きした大人として親が好きなことをしているのは救いになる
<自分との対話>

・たけしさん
・仕事も始めて、楽になっているはずなのに楽になり切れない その痛みが楔(くさび)のようだと感じ、それがいつ刺さったのか必死で研究していった時期があった
・最終的に自分で自分を否定していたという事に気が付いた
・丸刈り校則反対運動の際に髪を伸ばしたという自分の誇りある決断を「校則を破ったから悪い」という世の中の価値観に合わせて否定した そのまま自分を否定し続けていたので何をしても辛いままだったと気づいた
・気づいた時、「生きていていい」と自然に思えた それまでは「生きていては駄目だ」と思っていた
<収録に参加して>
・トカゲさん
もうちょっと自分自身に時間を作って、その中で娘と一緒に何か話したり対等にやれることが見つかっていけると、もっと娘も楽になるのかなと思った。
・ビーツさん
自分の中で答え合わせが出来た。子どものこととすり合わせてみて、この経過はあの子にとって必要な経過だったし無駄なことはないとわかって、良かったなと思った。
END
投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | 固定リンク
算数・数学が変わる!<番組内容>
今回のテーマは「算数・数学が変わる!」
この春(2020年4月)、小中学校の学習指導要領が10年ぶりに改訂。
算数・数学において、これまでは「計算力」に代表されるような、与えられた問題に対する解答の正確さや計算のスピードが重要視されてきたが、これからは、主に、「思考力・判断力・表現力」や「学びに向かう力・日常生活に応用する態度」なるものが求められるようになった。

変化の背景には、時代の変化がある。与えられた計算処理だけに限っていえば、AIの方がはるかに正確でスピードも早い。それよりもどういう仕事をAIにさせるか、そこを考える力が必要になる。
番組では、これからの時代を生きていく子どもたちにどんな力が求められているのか、算数・数学の変化を通して考える。

専門家は統計教育を専門に研究し、算数教育に詳しい愛知教育大学准教授の青山和裕先生。
ゲストは、中学2年生のお子さんがいる、トータルテンボスの大村朋宏さん。
●求められる「思考力・判断力・表現力」とは?
東京都目黒区八雲小学校。今回の小学校5年生の授業は、くじ引き大会からはじまった。
くじは、バニラとイチゴが「当たり」。
そして、ダブルが「大当たり」。それ以外は、「はずれ」となっている。

子どもたちは、どの数を引けば、当たりや大当たりが出るのか、その規則性を推理する。
先生は、子どもたちが答えても、それが正解かはすぐには教えない。まずはその根拠を人前で説明させる。
そして、子どもたちは、授業中に設けられる対話の時間を通して、「自分自身の考えを筋道立てて相手に説明する力」を身に着けていく。
それこそが、今回の改訂で求められるようになった「思考力・判断力・表現力」なのだ。

●小1から中3まで新たに加わった単元「データの活用」
東京都荒川区第一日暮里小学校では、6年生が、算数の時間を使って輪投げを行っていた。

これは、後日開かれる1年生との交流会の準備。
輪投げゲームで、1年生が10回中何回成功すれば、景品をあげるか、を考えているのだ。
2メートルの距離から輪投げをして、どのぐらいの確率で成功するかデータを集めている。

結果、10回中、4~5回成功する人が最も多いことが分かった。
30パーセントの人が景品をもらえることになるようにと、「7回成功すれば景品をあげることにする」という意見が多く出た一方で、「6年生だけのデータだけで結論を出していいのか」という意見が出た。
翌日、1年生に投げてもらい、データを取ってみると…。

10回投げて1回も入らなかった人が、全体の3割を超えたのだ。
「女の子は届かなくて、みんなあきらめちゃう…」話し合った結果、1年生が楽しめなければ意味がないと、距離を1.5メートルに短くして、もう一度データを取りなおした上で決めることになった。
●テストの変化は?小学5年レベルの新しい問題にチャレンジ
求められる力が変われば、テストの問題も変わる。そこで、青山さんに、例題を作ってもらった。

正解は、こちら。

採点ポイントは3つある。
[1] 間違えた理由を、知識・技能、思考力を使いながら、読み解けるか
[2] 理由を他人にわかる文章にして的確に表現できるか
[3](筆算はなぜ二段目の計算は左にずらすかなど、)解き方の意味を理解できているか
青山先生いわく「高校入試など公立の入試だと、当然受験生も多くなるので、ある程度書く内容が定まった出題になる。教室で行われる試験など比較的小規模なテストから、問題の内容は少しずつ変わっていく」。
●【日常の疑問を研究】日常生活に算数を応用する
今回の改訂で、算数・数学に求められるようになった「学びに向かう力・日常生活に応用する態度」。
ホゴシャーズのシマウマさんの長女のみおさんは、昨年、「算数の自由研究コンクール」で優秀賞を受賞した。
研究のタイトルは、「家にあるえんぴつは10年分?!」
どうしても欲しいえんぴつがあったみおさんがお母さんに頼んだところ、「10年分あるから買わない!」と断られたことがきっかけだった。

その時、「”10年分”はない」と思ったみおさん。
我が子のふとした疑問を、シマウマさんは聞き流さず、一緒に調べた。

みおさんは、新品の鉛筆を1本使い切るのに、何日かかるのか、百マス計算をやって調べた。
そして、家中の鉛筆の長さを測り、みおさんは家にある鉛筆が「4年分」しかないことを証明した。

大村さん:算数・数学の要素は、どこにでも繋がっているんですね。
青山先生:今新型コロナでみんな社会どうしようかって言う時も、算数数学はきっと活用できます。社会につながる教育を学校で実現していくっていうのがこれからの挑戦になってくると思います。
時代とともに、アップデートされる算数・数学。
お子さんと一緒に身の回りの算数を探してみよう!
END
投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | 固定リンク
学びたいのに学べない!<番組内容>
いま新型コロナの影響で多くの家庭が経済や意欲の面でダメージを受け、本来受けられたはずの教育の機会を失うケースが急増している。また、コロナ以前から苦しい立場にあったひとり親家庭や外国ルーツの家庭は一層追い込まれており、食糧支援などの直接的支援が欠かせない状況だ。
まずは各種支援の相談窓口をご紹介。詳しい番組内容は↓にスクロールしてください!

各種支援の相談窓口
★NHK特設サイト 新型コロナウイルス
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/management/
「こんなときは?」「どんな支援が?」…各種支援制度を網羅。まずはここで受けられる支援があるかチェック。
困窮家庭への支援
★子どもの貧困対策センター公益財団法人 あすのば
https://www.usnova.org/
受験や進学に困難を抱える高校生への給付金など
★NPO法人 キッズドア
https://kidsdoor.net/
困窮家庭の子どもたちへの学習支援など(首都圏と宮城県で70以上の無料学習会を開催)
★認定NPO法人 カタリバ
https://katariba.online/kikkake
奨学パソコン(レンタルPC・Wi-Fiなど)付きオンライン教育支援など
ひとり親家庭支援
★特定NPO法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ
https://www.single-mama.com/
生活にお困りのシングルマザーへの相談支援など
外国ルーツ家庭支援
★NPO法人 YSC Global School
https://www.kodomo-nihongo.com/
外国ルーツの子どもたちへの日本語学習支援(対面、オンライン)など
ほか支援団体
★こども食堂ネットワーク
http://kodomoshokudou-network.com/index.html
全国の子ども食堂の検索(場所によってフードパントリーや学習支援等を行っている)
他にも、フードバンクなど困窮家庭への食糧支援を行っている団体が全国各地にあります。
また、各行政独自の支援もあるので、ぜひ一度お住まいの地域の役所HPをご確認ください。
みなさまの声を募集中!
いま、学びを守ろう。 #学びたいのに
★特設投稿フォーム https://forms.nhk.or.jp/q/SPEN86ZI
NHKは引き続き、新型コロナの学びへの影響を見つめていきます。
ぜひお悩みの声などお寄せください。
<番組内容>
今回のテーマは、いま新型コロナの影響でひろがっている教育の不平等について。
この半年、家庭によっては収入がほぼ0になるなど深刻な経済的ダメージを受けた。
その影響で留学を諦めたり塾に行けなくなったりするなど、教育の機会を失うケースが増えている。
いったいなにが起きているのか?親子の声に耳を傾ける。

<ホゴシャーズ家庭 うめさんのケース>
2人のお子さんがいるうめさんは、勤めているバス会社がコロナの影響で業績悪化。
給料が減り、家計を切り詰めた結果、長男(小4)の通信教育をやめることに…。

かたや長女(中1)は小4から塾に通わせたため、兄弟で教育の差がつくことも心配している。
うめ「できる限りのことはさせたいけど、教育の機会を喪失させてしまっているのが悔しい」
<ホゴシャーズ家庭 ビオラさんのケース>
ビオラさんは今年3月に職を失い、パートの収入がゼロに。
子どもが3人いるため、夫ひとりの収入ではこの先の教育費が不安…。
ビオラ「すでに蓄えを切りくずしているのに、長女(中3)と次女(小6)の進学が重なっていて、先が見えない」
しかも長女のかのんさんは、目標にしていた吹奏楽の全国コンクールが中止になったことで、受験勉強の意欲まで失っている。

テストの成績が落ち、志望校のレベルも下げたという。
◇各家庭はどんなダメージを受けているの?◇
ゲストの田村裕さんも新型コロナの影響で収入が減っていて、長女の習い事の数を絞っている・・・。

<専門家・山本宏樹さん(東京電機大学准教授)の意見>
1つ目の問題は経済的ダメージ。生活を優先しなくてはいけないので、教育への投資が削られる。
もう1つ重要なのが、意欲のダメージ。
お金がなくて進学できないなど、将来の道が閉ざされる失望感や不安で“勉強する気持ち”そのものが湧かなくなってしまう。
<尾木ママの意見>
思春期の子どもは好きな事があると、苦手な事や嫌な事に対しても頑張る意欲が湧くもの。
しかし新型コロナの影響で好きな事ができなくなり、学習意欲もなくしている。
これは自己責任の問題ではなく“歴史的な非常事態”。
心のケアが足りていないので、今後は心の支援に入って欲しい。
◇ひとり親家庭への影響◇
新型コロナによる非常事態が長引く中、さらに苦しい状況に追い込まれているのがひとり親家庭。
シングルマザーのイネさんは、大学進学を目指すコウシくん(高3)と2人暮らし。
介護とホテル清掃のパートを掛け持ちし、月およそ13万円を稼いで家計を支えてきた。
しかし3月以降、ホテル清掃の仕事がなくなり、収入が半減。節約生活を強いられている。

一方、難関大学を目指すコウシくんの受験費用は、滑り止めを受けることも考えるとおよそ20万円。
あとは積み立ててきた学資保険や奨学金で進学できると考えていた。
しかし、毎月3~4万ずつ貯めていた受験費用まで生活費に回さざるを得なくなり、半年で貯金はほぼ空に。
生活するだけで精一杯で、受験費用の目途は未だたっていない。
<尾木ママの意見>
非正規採用(パート)は不安定すぎる。最初に首を切られて仕事がなくなる。
これは自助努力では何ともならない。社会的な体制を整えないとダメ。

シングルマザー家庭によっては食費の確保すら難しくなり、「食糧支援」を受ける家庭が急増中…。
<田村さんの体験談>
貧しい食生活は子どもの学びにも大きく影響する。
一番貧しくて栄養が偏っていた高校2年生当時、記憶があまりない。記憶力が絶対低下する。
<専門家の意見>
教育よりも今生きられるかどうかというところで、生活費や食費を切り詰めている状況。一番困難な層をコロナが直撃している。日本国憲法の第25条で「健康で文化的な最低限度の生活」を保証するのが国の存在意義として書かれているが、その最低防衛ラインが完全に抜かれている。国が責任をもって支えるべき。
◇外国ルーツの家庭も苦境に立たされている◇
大阪の“ミナミ”と呼ばれる繁華街では、いま全世帯の1割以上が外国ルーツ家庭。
20年前に来日したフィリピン人のマリアンさんは、1年半前にローンを組んで飲食店を開業した。
しかし、新型コロナの感染拡大で客足が激減し、家賃やローンの支払いが滞りがちになっている。
長男のパトリックくん(高3)はギターが得意で、専門学校などで本格的に学びたいと考えている。
しかし、生活が苦しいことから、就職を選ばざるを得ない状況に・・・。

<尾木ママの意見>
いま大学生も高校生も求人が少なくて就職戦線が大変。その中で、外国籍がルーツだからと進学も就職も非常に厳しい状況に追い込まれるとしたら、これは究極の格差。
<専門家の意見>
実際に日本は世界第4位の移民大国なのにも関わらず、外国籍の子どもの3人に1人は全日制高校に進学しておらず、大幅な格差がある。しっかりと日本で育てていける制度が必要。

<尾木ママのまとめ>
子どもたちの可能性や未来が閉ざされることの意味を考えなければいけない。苦労して進学をあきらめるのはその子個人の問題でもあるけども、そのエネルギー・能力・意欲がしぼんで花開かないと、日本の国力が減退してしまう。だからこそ公的な援助で支え、日本の将来の活力につなげていく必要がある。教育は未来への投資!!
「本当に困っている…」という方は、支援を受けることを恥ずかしいと思わず、是非検討してみてください。
ブログ冒頭で各種支援の相談窓口を紹介しています。
END
投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | 固定リンク