どう育む?自己肯定感<番組内容>
今回のテーマは、「どう育む?自己肯定感」
番組には、「どうせ私なんて…」と言ってばかりのわが子が心配、いつもクヨクヨして将来が不安…などのお悩みが保護者から寄せられた。
そこで!子どもが前向きに生きられるコツを専門家と一緒に考える。
●尾木ママの解説「自己肯定感とは…」
自己肯定感が高いと、「ありのままでいい」と自分のことを愛せるようになる。
子どもたちの人生を左右するほど重要なもの。
●親子・家族問題に詳しい 大日向雅美さん(恵泉女学園大学 学長)の解説
国際比較調査で、諸外国と比べて日本の子ども・若者は自己肯定感が低いという結果が出た。
国民性の違いもあるので、そこまで気にする必要はないが、
・「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組める」
・「自分の将来に希望が持てる」
といった内容の項目が低かったことは心配。(※2013年「子ども・若者白書」の調査より)
ホゴシャーズたちのお悩みは・・・
【1人目の相談者 しゃちほこさん】
しゃちほこさんは、中学1年生の娘が、ささいなことですぐ思い悩んでしまうことを心配している。
しゃちほこさんは何かと声を掛けるが、娘はほとんど反応してくれず、部屋にこもりがち。
イラっとして、つい口調がキツくなってしまうこともあるという。
●大日向さんのアドバイス
しゃちほこさんの娘さんは、正しく思春期を送っている。
「(学校で)うまくやりたい」という自分のイメージがある一方で、「自分はできない」という客観的な認識も育っている。
そのギャップに苦しんでいるお子さんに対して「ダメ」と言うのではなく、「もう一歩を踏み出すための孤独な戦いをしている」と思えば、優しい言葉をかけられるようになるのでは?
子どもは、親の関わり方をどう思っているのか?
しゃちほこさんの娘、ゆづきさんの本音は・・・
●ゆづきさん(中1)
しゃちほこさんがしきりに干渉してくることに対して・・・
・「最近、部活どう?」「今日はどうだった?」などの質問は、答えにくいからやめてほしい。
・悩みごとに対していつもアドバイスをしてくれるけど、それが自分にはできないことだとかえって自信をなくすこともあるので、話を聞いてくれるだけでいい。
子どもの自己肯定感を育むために、親はどうあれば?
●尾木ママのアドバイス
話しを聞いて相づちを打ってくれる、つまり「共感してもらえる」だけで、子どもは元気や勇気が出るもの。
「共感力」は親の秘密兵器。
●大日向さんのアドバイス
最初は完璧にできなくていい。子どもに対して上手な接し方ができたり、できなかったりを繰り返しているうちに、らせん階段をのぼるように、いつのまにか良い親子関係になっていくと思う。
【2人目の相談者 うしさん】
うしさんは、小学5年生の娘を褒めて育ててきた。おかげで自己肯定感は高めになったようだが、あまり努力をしなくなってしまった。
たとえば学力テストで、もうひと頑張りすればもっといい点数がとれたのではと思っても、「頑張ったからこれでいい!」とすぐに満足してしまう。
うしさんは、娘が悔しがったり、再チャレンジしたりする気持ちをもたずに成長するのではないかと、不安に思っている。
●尾木ママのアドバイス
子どもが頑張ったことを認めてあげて、結果的に自己肯定感が高まる、というのは間違っていない。
ただテストなどで、何が足りなかったかを親子でチェックしてみることは大事。
●大日向さんのアドバイス
「自己肯定感が高まるから」「やる気をもってくれるから」など、目的をもって褒めていたとしたら、それは変えた方がよい。
褒めるときは素直な感動を伝えて、その先を求めないことが大切。
親の思惑を見透かされると、子どもの信頼を損ねてしまう場合があるので要注意。
でも親としては、子どもが悪い所を指摘されて落ち込んだり、挫折や失敗をしたりすることで、自己肯定感が下がってしまうのではと心配になるが・・・
●大日向さんのアドバイス
生きていく上で、失敗や挫折を経験するのは大切なこと。そのとき、親や家庭が、子どもの「安全基地」であるとよい。「安全基地」とは、「ダメな私でも、失敗した私でも、すべて受け入れてくれる場所」。
子どもは、その中で自分なりに自己肯定感を高めていける。
親が変わることで子どもが変わった
【シバヤギ家のエピソード】
子どものあるがままを受け入れる「安全基地」によって、うまくいった親子がいる。
シバヤギさんと小学5年生の三女、コヤギさん。
元々活発で明るかったコヤギさんは、小学2年生のとき、学校で仲間外れにされたことをきっかけに、自分を否定するような発言をするようになった。
しかし、母のシバヤギさんは当時、仕事と家事に追われ、時間的にも精神的にも余裕がもてず、娘の悩みを真剣に受け止めることができなかった。
すると、コヤギさんは、しだいに泣いて暴れるように。
その姿を見て、「私が変わらないといけない」と思ったシバヤギさん。
まずはコヤギさんを抱きしめ、これまでのことを謝った。
そして、毎日夕食の前に時間を作り、コヤギさんの話をただただ聞いた。
その後、自分が明るく変わるよう努め、コヤギさんに接するようにしたものの、当初は信頼関係が崩れていたため、手をはねのけられる日もあったという。
そうしたトライアンドエラーを繰り返しながら、少しずつ関係を作り直していった。
さらに、一緒に楽しむ・一緒に笑うことを心がけ、絵が好きなコヤギさんと紙芝居サークルに参加したりもした。
すると、しばらくしてコヤギさんに変化が訪れた。
ある日、部屋のホワイトボードにコヤギさんが書いたのは・・・
その意味は「笑顔になりたい」。
これまでずっと押し込めていた感情を、素直に表現できた瞬間だった。
コヤギさんは、今では自信がつき、周りに何か言われても気にしないようになったり、友達とコミュニケーションが取れないときも距離をとってうまく付き合えるようになったりしてきたという。
●尾木ママのアドバイス
コヤギさんにとっての「紙芝居サークル」がそうだったように、地域との繋がりなど、家庭や学校以外の居場所が、「安全基地」となることもある。
そこで感謝されたり、やりがいを感じたりすることで、子どもの自己肯定感が育ってくる。
●大日向さんのアドバイス
保護者自身が、自分のつらい気持ちや弱さを正直に認め、あるがままを受け入れて自己肯定感を育むことも大切。
子どもは、親がそのように揺れている姿を見ながら、自分の自己肯定感を育んでいく。
親子で一緒に自己肯定感を育んでいきましょう。
END