竹原市 宿根地区の大桜を守りたい 男性の思い
- 2024年05月21日
竹原市には樹齢200年以上とも言われている大きな桜があります。この桜の4本ある幹のうち、1本が去年の夏に根腐れし折れてしまいました。ことしも元気に花を咲かせてほしい。桜を見守る男性の思いを取材しました。
(NHK広島放送局カメラマン 廣木優弥)
竹原市の山あいにある宿根地区です。
人口50人ほどの小さな集落に、多くの人が訪れる場所があります。
高さ15m、枝張り19m、樹齢200年以上とも言われているエドヒガン。地区の名前をとって「宿根の大桜」と呼ばれています。市の天然記念物に指定されています。この時期、およそ1000人が訪れます。
観光客
「ちょうどいい、今日最高の、満開で、良かったなと思います」
「すごいですね。もう圧倒されますね」
「桜の花びらが小さくて、とってもなんか、品のある桜だなって思います」
桜の手入れをしている山元貞夫さんです。
山元貞夫さん
「花が咲くときが一番魅力的なので、やっぱりかわいく思います」
もともと大桜は、竹やぶの中にありました。高齢化が進むまちを元気にしたいと考えていた山元さん。15年前、地域の人たちとともに竹やぶを切り開きました。その後、保存会も立ち上げまちのシンボルになるように周辺を整備しました。
12年前に住民総出でさくらまつりを開くと多くの人が訪れてくれるようになり県内有数の桜の名所となりました。
山元さん
「お客さんから『うわーきれいだわ』と言われることが一番励みになりますね。地元の方も『よく頑張っておられるね』と言ってくれれば、もっとうれしくなっちゃって。宿根の大桜といったら、大体分かっていただけるというのが、やっぱり地元としては、誇りになるんじゃないかなと思います」
まちのシンボルになった大桜に異変が起きたのは去年の夏です。
山元さん
「倒れてこういう状況になっております」
根元の腐食が原因で、4本ある幹のうち1本が、折れてしまったのです。
山元さんは、毎年、多くの人を楽しませてきた大桜が例年と同じように花を咲かせるのか心配していました。
山元さん
「このままで維持できるかというのが、やっぱり一番気になりますね。樹齢を経ているもんだから、もろい部分ができるんじゃないかなと」
山元さんたちは、桜が満開になることを信じてこれまでどおり草刈りや肥料をまくなどしてきました。根を守るために張っていたロープは、一部を新調し目立つようにしました。
山元さん
「どこまでどうできるかはわかりませんが、最大限の努力をやっぱりしていって、後世に伝えていけたら」
そして迎えた4月。残った3本の幹から伸びる枝に、多くの花をつけました。
観光客
「これでも、立派に咲いてますよね」
「また10年後とか、生きているかわからないけれど、来たいですね」
「きれいにしてね、いつまでも管理してもらっていることはありがたいです。ずっとね、残してほしいですね」
長年、世話を続けてきた山元さん。咲き誇る姿に胸をなで下ろしていました。
山元さん
「1週間ほど例年よりは遅れましたけれど、なんとか満開を迎えることができました。あれだけダメージ受けたのに、なんとか元気になってもらって、皆さんにもっともっと楽しんでいただきたいなという風に思っています」
まちを元気にしてくれた「宿根の大桜」。これからも山元さんたちの思いをのせて咲き続けます。山元さんたちはこれからも元気に花を咲かせられるように保護活動を続けていくということです。来年も美しい花が見られるといいですね。