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“3人に1人は何も…” 災害にどう備える?

  • 2023年06月30日

    西日本豪雨の発生からまもなく5年。災害はいつ起きてもおかしくはないと頭では分かっているものの、広島県の調べでは、3人に1人は何も備えていないというんです。災害への備えを今こそ。

    (広島放送局記者 重田八輝 小野慎吾 有馬護)

    マイ・タイムラインをつくろう

    災害への備えとして広島県が呼びかけているのが「マイ・タイムライン」の作成です。時間ごとにどんな避難行動を取るか、事前に決めておく「自分の防災行動計画」です。作り方はいくつかあります。

    方法のひとつはスマートフォンで使える「Yahoo!防災速報」という無料アプリの活用です。「App Store」や「Google Play」からダウンロードできます。下記のURLから広島県の特設サイトに入ると、ダウンロードの画面に移ることができます。

    アプリを開いて「防災タイムライン」というページに住所を入力すると、土砂災害や浸水被害のリスクを見ることができ、周辺にある避難場所も確認できます。そして自治体から実際に避難情報が出ると、スマホに通知が届きます。

    NHK広島放送局でも「命を守ろう!ポケット防災手帳」というツールを紹介していて、下記のURLから入ることができます。

    手書きで「マイ・タイムライン」を作れるので、家族で話し合ってどんどん埋めてみてください。小さく折りたたんで、災害時に持ち運ぶこともできます。

    タイミングを話し合って

    「マイ・タイムライン」を作るうえで重要なのは、どのタイミングで避難するかを決めておくこと。そのタイミングは大きく2つあります。高齢者など避難に時間がかかる人が危険な場所から避難する必要がある警戒レベル3の「高齢者等避難」という情報と、全員が危険な場所から避難することが求められる警戒レベル4の「避難指示」です。

    自治体から警戒レベル3の「高齢者等避難」の情報が出た場合、高齢者や体の不自由な人などがいる家庭では避難場所に誰が連れていくのか、どれくらいの時間がかかるのかを考えておく必要があります。

    避難場所が自宅から遠く時間がかかる場合、レベル4「避難指示」より前のレベル3「高齢者等避難」の段階で、家族みんなが避難したほうがいいかを事前に話し合って検討しておくのがよいと思います。

    ハザードマップは少し広く

    避難の計画を立てるにあたって注意したいのが「避難ルート」です。自宅の周辺に複数の避難場所がある場合、「最も近いところに」と考えるかもしれませんが、下の写真にある右側の赤い部分のように避難ルートに土砂災害や浸水のリスクがある場合、危険だったり、すでに通れなかったりするおそれがあります。

    こうしたルートは避けて、あえて少し離れた避難場所や安全な親戚や知人の家に行くことを考えておくことも大事です。ハザードマップは各自治体のホームページなどでも公開されています。自宅の周辺だけでなく、少し広い範囲でハザードマップを確かめながら「マイ・タイムライン」を作ることが自分や家族の命を守ることにつながります。

    土砂災害を自分事として

    「マイ・タイムライン」の作成にあたって、身近なリスクを知る参考になるスマホの機能があります。広島県が開発した「キキミルAR」です。AR=拡張現実技術を活用し、スマホのカメラで風景を映している画面上に、土砂災害警戒区域などを表示することができます。写真の黄色の部分が警戒区域、赤色は特に警戒が必要な区域です。

    さらに画面に現れた「i」のマークを押すと、撮影している場所で過去にどのような災害が起きたかが表示されます。広島市安佐南区で試してみると、この場所では平成26年に土砂災害が起きたことが分かりました。自分がいる場所の危険性が一目で分かります。

    広島県は土砂災害警戒区域が全国で最も多く、その数は4万7000か所を超えるといいます。県の担当者は「土砂災害のリスクのあるエリアは生活の中に広がっている。土砂災害を自分事として考えてもらいたい」と話しています。

    川のリスクをリアルタイムで

    大雨などでは川の増水や氾濫への備えも必要です。自宅の近くを流れる川の状況をリアルタイムで確認できる仕組みがあります。気象庁の「洪水キキクル」です。

    気象庁ホームページのトップページ、画面の真ん中付近にある「キキクル」をクリック。表示したいエリアを選んで「洪水キキクル」をクリックすれば準備完了です。

    まさに今、川がどんな状況にあるか、危険度が4つの色で表示されます。赤色は警戒レベル3の「高齢者等避難」情報が出される目安、紫色は警戒レベル4の「避難指示」の目安、そしてすでに洪水が起きている可能性もあるレベル5の黒の4色です。リアルタイムで状況が分かるので、どの色になったらどんな行動を取るのか「洪水キキクル」をもとにした「マイ・タイムライン」も作成してみてください。

    「キキクル」には洪水のほか、土砂災害の危険度を示す「土砂キキクル」や、浸水の危険度を確認できる「浸水キキクル」もあります。これらの「キキクル」に共通しているのは「色」と避難行動の対応です。「赤で高齢者などが避難を始める」「紫で全員が避難」と覚えてください。

    ただ、洪水や高潮に限っていえば、自宅にとどまったほうが安全なケースもあります。ハザードマップを確認して、下記の3つの条件を満たす場合は、あえて自宅にとどまることも検討してください。

    ①自宅が、倒れたり崩れたりするおそれのある区域外にある。
    ②浸水の深さよりも高い所に部屋がある。
    ③水が引くまで我慢でき、十分な食料などの備えがある。

    心構え 助け合いを

    「マイ・タイムライン」では災害時の避難行動のほかに、避難する時に誰が親族に連絡をするか、誰が貴重品を持ち出すかを決めておくことも大事です。食料などの備蓄が十分にあるかを確認する機会につながり、家族で話し合うことで災害に対する心構えができると思います。

    5年前の西日本豪雨など過去の災害では、親族や近所の人の声かけが避難につながったケースもありました。そこで広島県は通信アプリのLINEを使って「マイ・タイムライン」で決めたタイミングの避難情報を本人だけでなく、遠隔地にいる親族や知人のスマホにも通知するという全国で珍しい取り組みをことしの秋から始めることになりました。親族や知人といった身近な人からの呼びかけで早期の避難につなげるのが狙いです。災害時には皆で声をかけ合い、助け合って避難することもぜひ意識してください。

      • 重田八輝

        広島放送局 記者

        重田八輝

        2007年入局。福井局・大阪局・報道局科学文化部を経て2021年秋から広島局。現在は遊軍キャップ。

      • 小野慎吾

        広島放送局 記者

        小野慎吾

        スポーツ紙記者を経て2016年入局。岐阜局・報道局スポーツニュース部、2022年2月から広島局。現在は災害キャップ・経済担当。

      • 有馬護

        広島放送局 記者

        有馬護

        2016年入局。宇都宮局を経て2021年秋から広島局に所属。現在は県警・司法担当キャップ。

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