ページの本文へ

ひろしまWEB特集

  1. NHK広島
  2. ひろしまWEB特集
  3. 竹原市で自然の恵み“ハチミツづくり”

竹原市で自然の恵み“ハチミツづくり”

  • 2023年06月14日

    竹原市の豊かな自然を利用したハチミツづくりが行われています。西日本豪雨の被害を乗り越え、自然の恵みを大切にしながら蜂に向き合う男性を取材しました。

    (NHK広島放送局呉支局記者 諸田絢香)

    里山が残る竹原市

    広島県竹原市の養蜂場では、6月に入ってハチミツづくりが最盛期を迎えています。

    養蜂家・福島大樹さん(39歳)

    福島大樹さんは、9年ほど前から蜂を育てています。巣箱はおよそ100箱あり、1000万匹の蜂を飼っています。採取するハチミツは年間1トン以上に上ります。福島さんが竹原市を選んだのは、植林ではなく、自然の里山が多く残るからです。

    (福島大樹さん)
    「里山は花の量が多いのが特徴です。僕らが目で見えない部分に咲いている花もけっこうあるので、それをミツバチが探してくるのが大きいですね」

    西日本豪雨で1からのスタート

    しかし、ここまでの道のりは決して平たんではありませんでした。5年前の西日本豪雨では土砂が畑の一角にあった巣箱を襲いました。20箱ほどの巣箱で飼っていた蜂は全滅し、1からのスタートとなりました。

    西日本豪雨の被害

    (福山大樹さん)
    「思い出したくもないんですけど、畑までたどりつく道も土砂で潰れていて、1週間くらいしてやっと行けました。本当に砂漠のようになっていました。自然は本当に強いなと思いました」

    福島さんは当時34歳。年齢的にももう一度やり直せると、自分を奮い立たせました。地道に蜂の数を増すと、3年後には生産量が災害前を超えました。

    自然の恵に感謝するハチミツ作り

    ハチミツ作りのこだわりは、蜜を取り過ぎないこと。通常は春から8月ごろまで採蜜作業が行われます。それを福島さんは6月いっぱいで終わりにします。生産量は減りますが、蜂が自然に近い形で暮らせるようにあえて蜜を残します。蜂から自然の恵みを受けていることを忘れないという思いからです。

    さらに、時期によって咲く花が移り変わることから、花によって異なる蜜の味や香りを最大限、生かした商品も作っています。

    ▽アカシアとレンゲをブレンドした「パン専用」の比較的あっさりしたハチミツ。
    ▽栗の花から採れた濃厚な「コーヒー専用」のハチミツ。
    ▽「チーズ専用」は爽やかなかんきつの花のハチミツです。

    地元の中学生が訪問

    福島さんの思いのこもったハチミツは、地元の人にも親しまれています。この日はレストランで職業体験を行っている地元の中学生が見学に訪れました。生産者のもとで地域の食材について学んでもらいたいというシェフの計らいです。福島さんはハチミツづくりのこだわりを丁寧に説明しました。

    (福島大樹さん)
    「もともと花の蜜はちょっと薄くて、糖度が30度くらいしかない。それを夜通し、蜂の羽で蒸発・濃縮させて、80度になったら採蜜の目安です」

    中学生は、職業体験の最終日にハチミツを使ったスイーツ作りに挑戦することになっています。採れたてのハチミツをパンにかけてほおばり、味の想像を膨らませました。

    (中学生)
    「何の食材にも合いそうでとてもおいしかったです。ほかの人にも食べてもらいたいです」

    レストランのシェフ

    (レストランのシェフ)
    「季節によって花の種類も変わるし、ハチミツの香りも変わります。自然のものなんだということをとても感じます。この蜂蜜はめちゃくちゃよくて、ずっとほかのハチミツは使わずに、ここのハチミツを使わせてもらっています」

    福島さんはこれからも、地域の恵みを受けながらハチミツづくりを続けていきます。

    (福島大樹さん)
    「ハチミツは何にでも使えるんですよ。食べてもらって、おいしいということを分かってもらいたいです。ハチミツのある生活をしてほしいですね」


     

      ページトップに戻る