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NHK広島 前川キャスター 尾道市でSDGsなお酢に出会う

炭酸、お酒、ヨーグルトと相性抜群!
  • 2022年09月07日

    さわやかな香りにすっきりとした甘み、ほどよい苦みも。これまで大量に捨てられていた「あるもの」から、飲むお酢がつくられました。まさにSDGsなその開発の秘密とは?
     (広島放送局 キャスター 前川夏生)

    捨てられていた〇〇でつくる、飲むお酢

    尾道市で440年続く、老舗の酢造会社。ここで、ちょっと変わった原料のお酢を開発し、今年8月から販売を始めました。

    さっそく試飲!

    さっそく飲ませてもらうと、お酢の酸味やかんきつ類の爽やかさ、そして…ほどよい苦みを感じました。一体何からつくられているのでしょうか?

    正解は、だいだいの「皮」

    こちらの会社では、これまで地元産の「だいだい」で、ポン酢などをつくってきました。しかし、これまで使用されてきたのは、果肉や果汁などわずか15%。皮など、ほとんどが廃棄されその量、年間およそ30トンにのぼっていました。

    尾道造酢  田中丸善要 取締役

    尾道造酢  田中丸善要 取締役
    だいだいの搾汁率は15%くらいしかなくて、残りの85%を廃棄してしまっていたので、非常にもったいないなと心苦しい思いはありました。何かいい方法はないかなと常々考えていました。

    研究機関が開発!「酵素」の力で皮を活用

    食品工業技術センター

    大量に廃棄される皮を活用できないか。田中丸さんが注目したのが、広島県の研究機関が開発したある技術でした。主任研究員の坂井智加子さんは、えぐみのあるかんきつの皮も酵素の力で分解すれば商品化できるのではないかと考え、研究を進めていました。なかでも苦労したのは酵素選び。皮のえぐみを取り除くことができる酵素を探すのに、1年かかったといいます。

    食品工業技術センター 坂井智加子 主任研究員

    食品工業技術センター 坂井智加子 主任研究員
    酵素選びを実施していく中で、香りがちょっとイマイチなものもありました。その中で一番いいものを見つけたときは、やっと出来たなという気持ちが大きかった。実際に実用化にもっていけるくらいの酵素を選べたというところは非常によかったなと思いました。

    SDGsで世界にもアピール

    捨てられるはずだっただいだいの皮が、新たな技術によって生まれ変わりました。田中丸さんは、SDGsの考え方が広がるなかで世界にもアピールできるのではないかと考えています。

    尾道造酢  田中丸善要 取締役
    いまSDGsということばがよく聞かれますが、少しでも何かできたらいいなと感じていたので、捨てていたものから新しい商品ができたことはすごくうれしいです。来年、G7広島サミットもありますので、いろんな国の方に皮からつくられたお酢を飲んでいただいて、外国の方にも今まで廃棄していたものの中から、何か新しいものが作られるきっかけになればうれしく思っています。

    今回の取材を通じて、企業や研究機関だけでなく私たちも、まだ食べられるのに廃棄される「食品ロス」を減らすことはできないかなど、考え続けていくことが必要だと改めて感じました。(前川夏生)

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