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広島市在住のウクライナ出身女性“コンサートで祖国に支援を”

  • 2022年04月01日

ロシアによるウクライナへの侵攻が続いています。そうしたなかで、広島市で支援金を募るチャリティーコンサートが開かれました。開催のために奔走したのはウクライナ出身の1人の母親でした。

(広島放送局ディレクター 鈴木俊太郎)

変わり果てたふるさと

広島市に住む平石エレナさんは、ウクライナの東部・ドニプロで育ちました。20年前、広島に移住し、日本人の男性と結婚。3人の子どもを育てています。

毎年楽しみにしていたのは、ウクライナに帰省し、豊かな自然の中で家族と穏やかな時間を過ごすことでした。

しかし、ロシアによる軍事侵攻で、平石さんの母国、ウクライナは変わり果てた姿になってしまいました。現地に住む友人からは連日、動画が送られてきています。
特に、平石さんが衝撃を受けたのがロシア軍の激しい空爆が続くマリウポリの知人が撮影した動画。そこには、多くの市民が犠牲になる様子が映っていました。子どもが犠牲になることは、母親としても人間としても耐えられないことだと言います。

平石エレナさん
「ものすごくつらい。人間が人間を殺すとか、そういうひどいことするのはこの世の中大丈夫かなってこれからどうやって生きる?母親としたら、もしそれが自分の子どもだったら、どう?って。生きる意味があるとかね」

平石さんの故郷・ドニプロに住む親戚からも、日々、厳しさを増す現地の様子が伝えられてきます。

平石エレナさん
「いま、ドニプロの町は難民キャンプと化しています。ケガなく動ける者はみな、一晩ここで過ごし、ウクライナ西部に逃げています。病院はいま、野戦病院のようで人であふれています。医療資源が不足していますどれだけ支援があっても解決できないほどです」

ふるさとを支援したい

危機が続く故郷に少しでも医療物資を届けたい。平石さんは、イベントを企画しました。プロのバイオリニストを目指す息子の英心さんによるチャリティーコンサートを開くことにしたのです。

広島市で開いたコンサート

コンサートではロシアも含め、さまざまな国の作曲家による曲を披露しました。200人が、平和への思いを込めた演奏に耳を傾けました。

平石エレナさん
「ロシアの文化、文学、音楽、大好きだし、コンサートでもラフマニノフとかチャイコフスキーとかロシアの作曲家の曲も使っています。文化とか音楽は関係ないと思う」

コンサートの観客の中にはロシア人の姿もありました。

ロシア出身者
「感動しました。日本とウクライナとロシア音楽でみんなつないでいるとても良いこと。戦争はいけないですね」

平石エレナさん
「目と目を合わせて、やっぱり私たちのこと心配とか何とか早く平和になってほしいと、よくわかりました。感謝しています。ウクライナと、自分とつながることが出来て、ミッションとしては感じているので、だんだん進みたいと思います」

2日間開かれたコンサートのチケットは完売。その収益はエレナさんの親戚を通じて、現地の病院に寄付され、医療資材の購入などに使われる予定です。

平石さんは、企業の経営者などが集まる会合にも足を運び、ウクライナへの寄付を呼びかけています。戦争反対と言うだけでなく、自分に何ができるかを考えた平石さん。音楽やアートを通して平和への思いを伝え、募金を集めること。さまざまな会合に行って協力を呼びかけること。こうした活動を通して、祖国を支援したいと思っています。

平石エレナさん
「支援金を送ってできるだけ多くの人に消毒とか手術のための機械とかたくさん提供したい。戦争は、自分は3人の子どもの母親としては許さない気持ちが強いから、本当に皆さんに協力してもらいたいです。目の前の問題に対して、自分にできることをやっていきます」

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