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【チエノバ】佐藤しのぶさん「1人で頑張らないでほしい」

2017年11月13日(月)

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 2017年11月2日放送
 WEB連動企画“チエノバ” “依存症”—家族はどうすればいい?


『ハートネットTV』2017年11月特集では、“依存症”について3夜連続でお伝えしました。
最終夜の「WEB連動企画”チエノバ“」では、家族の声を募集。悩みを抱える方々の声に耳を傾け、社会はどう向き合えばいいのか考えました。
放送後、番組にご出演いただいた佐藤しのぶさんに、“依存症”の家族が抱える悩みや葛藤について、詳しくお話を伺いました。

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《佐藤しのぶさんプロフィール》元夫がギャンブル依存症。神奈川県立精神医療センター依存症対策協議会委員。

―― 番組では、家族の方から寄せられたたくさんのカキコミをご紹介しました。特に印象に残ったものはありましたか?

お父様が自死されたという体験を綴られていたカキコミです。「依存症についてもっと早く知っていたら、対応してあげられたのに・・・」と、自分自身を責める気持ちは、すごくよく分かりました。私も、元夫がギャンブル依存症だということが分かったとき、「もっと早くに分かっていたら」とか「もっと早くに気づいていたら、借金がこんなに膨らまなかった」とか・・・思い出して自分を責め始めたらキリがない。けれど、実際には、その時に知らなかったことは仕方がないことなんです。カキコミをくださった方は、大変な渦中のお父様と、知らないなりにすごくちゃんと関わられたと思うので、「精一杯その時、自分はやったんだ」と思ってほしい。今回の放送が、自分責めを少しでもやめるきっかけになってくれればいいなと思います。

そして、今から自分のお父様にしてあげられなかったことを(他の人に)して、身近な所で依存症で困っている人を助けることはきっとできると思うんです。今回カキコミをして、ご自身の気持ちに気づいただけでもすごいことだなって思います。そういうふうに自分が「こうやって知っていたら助けられたのに」って思うことのできる人は、これから、他の人を助けることができるんですよ。

私も長い間自分を責めていて、ずっと苦しかったんです。でも、誰かに助けていただけると、自分を責めたり家族を責めたりしなくなれる。だから、1人で頑張らないで、たくさんの方に助けてもらって、一緒に取り組んでいけばいいと思います。 


―― 寄せられたカキコミを見ていると、多くのご家族が苦しんでいることが伺えました。ご自身の経験も踏まえて、なぜ家族がここまで追い詰められるのだと思いますか?

困っている時に「誰かに助けてもらっても良い」と思える人がすごく少ないと思うんです。家族のこととなると、「自分が助けなきゃ」とか、「誰かに助けてもらっちゃいけない」と思ってしまっていることが多いんですよね。なぜなら、日本の社会は、「子どものことは親が尻拭いして当たり前、それができない親は親としてダメ」という考え方や、「夫の不祥事や問題は妻の責任」という考えが染み付いてしまっていますから。

私自身も、その考え方を変えるのってものすごく大変な事だったんです。ギャンブル依存症という病気だと分かってからも、「私が病気をなんとかしてあげられるんじゃないか」というふうに頑張ってしまったし、できるだけ他人に迷惑をかけちゃいけないと思っているので、病院にかかっていても、先生にすら「迷惑をかけている」と思っちゃうんですよ。何とか、自分の力で何かしたいって。


―― そうした中で「助けてもらっても良い」と思えるようになるためには、何が必要なのでしょうか?

「家族がなんとかすることはできないんですよ」「しなくていいんですよ」っていうのが、最初の頃に、支援者や同じ経験をしている家族の方たちからよく言っていただいた言葉です。例えば、ギャンブル依存症の人の借金を家族が代わりに返すとか、アルコール依存症の人の酔った後の片付けを家族がするとか、そういうことはしなくていいんです。そうすると本人が依存症だという自覚を持つことを先送りしてしまうからです。でも、それまでの私はしてしまっていた。良かれと思ってしていたんです。いけないことだなんて知らなかったんです。

そして、知ってからも、実際に行動を変えることはなかなかできませんでした。私がなんとかすることはできない、してはいけないって頭では分かっているのに、また頑張ってしまう。そんな時、他の人から「頑張らなくて良い」と言ってもらって、「そうだ頑張らなくて良かったんだ」って自分に言い聞かせたり、「誰かに聞いてもらって助けてもらうんだ」の繰り返しを何度もやっていた覚えがあります。そんな中、自助グループなどを通じて、家族が頑張らなくても本人が回復していくケースを見せてもらったことで、ようやく「私がやらなくていいんだ」って思えてきたんです。

正しい知識を得るためには、いろんな人と話さないとわからない。そうしないと、次に何か困ったことが起きた時に対処できないですよね。だから、とにかく1人で頑張らないことが大事だと思います。私は、何年経ってもやっぱり、ずっといろんな人に助けてもらえているから、今の状態でいられるんですね。ギャンブル依存症だった元夫も、現在は回復し続けることができているんですが、それは彼も本当にいろんな人に助けてもらえているからだ思うんです。また1人で頑張るクセに戻ったら、何か違う悪いことが起きるかもなって思うので、頑張らないで、周りのみなさんに助けてもらっています。



コメント

ギャンブル依存症 借金を多数 債務整理等、本人自身の収入でなんとか道が出来たあたりで 本人を助けないで❗何か言って来たら知らせてくださいとお願いしても、まわりのひとが、いつのまにかお金を工面します。近くのわたしは鬼? かわいそう? 面倒? どんな気持ちで工面するかがわからないのですが。

投稿:匿名 2017年12月07日(木曜日) 20時47分