本文へジャンプ

【チエノバ】荻上チキ「やっと置き去りになってきたケアラーに焦点が当てられた」

2017年08月23日(水)

20160915_chienoba.png

 2017年8月3日放送
 WEB連動企画“チエノバ” ダブルケア


8月のチエノバでは、育児と介護を同時に行うなど「ダブルケア」について考えました。時間的・身体的・精神的に追い込まれる当事者が多くいる一方で、対策がおくれている現状をお伝えしました。なぜこんなに遅れてしまっているのか、その社会的背景や今後の対策など、チエノバコメンテーターの荻上チキさんにお話を聞いてきました。


20170803_chiki_nhklogo.jpg

 

―― 番組では「ダブルケア」への対策が遅れていることをお伝えしましたが、1999年に男女共同参画が施行された時点で、介護や育児が重なってしまう現状を予想できたと思うんです。それなのに、ここまで支援がおくれてしまったのはなぜなのでしょうか。

男女共同参画以前から高齢者の介護の問題は、論点化をされていたんです。ただそれはあくまで高齢者への支援、障害がある高齢者への支援が必要だという話であって、そのサポートをしている、介護をしている方への目線ではなかったんです。ケアの対象者についての議論はあったけれど、ケアラーの議論はもともと欠けていたんですね。これは育児においても同じ事でした。そして、ようやく今まで置き去りになってきたケアラーに焦点が当てられたわけです。
現在は、そのケアラーが抱える様々な問題の発見と対策をパッチワークを当てているような感じで対応をしている状況です。もともとの制度が、ケアラーや子どもの親等をしっかり支援していく体制になりきれていない。ダブルケアに関わらず、障害者支援や介護離職の話、DVや児童虐待の問題を「家庭の問題」で片付けていたら、社会が機能しなくなってしまうことをそのような問題で気づかされはじめたんですね。それを今、外部化して、社会で共有しようとしているのがここ10年ぐらいの流れです。限界がきたら社会が助けるという構図ではなく、「家庭の問題」とされてきたことを社会全体で支援をするようにパラダイムを変えていく必要があります。それが、ようやく理論化され、データ化されて世の中を動かそうと政策化されようとしているタイミングですね。


―― 育児や介護だけではなく、様々な問題を個別に対処するのではなく、「社会」で支援できるようにするためには、どういった対策が必要になってくると思いますか。

「包括的発達支援」というような概念を作ってみる。例えば、出産前から、出産に必要なもの、こと、母乳のマッサージや産後の体調変化、産後うつ等、包括的にサポートする体制があればいいと思います。母親が孤立することによって増してしまうこともあると思うので、サポーターが頻繁に家庭訪問をして対処をしていく、それができれば、孤立する母親は減りますよね。そこから先もコンシェルジュのように、こども園や保育園など、段階に応じて必要なケアが受けられることを伝える。本人のところにプッシュ型で情報が届いていく体制が必要ですよね。その他の問題がでてきたらその時にプラスαのオプションで対応していくような流れができれば孤立するケアラーが減ると思います。

不安な母親たちを孤立させるのではなく、しっかりとケアに繋がって早期発見で、税金がかからないタイミングで双方介入していくためには、やっぱり先行投資を含め、子どもの人権を含め、包括的な発達サポートが必要だと思うんです。
各家庭にもっともっと社会の目を、社会の方にもっともっと家庭にいる人たちを出していく必要があると思います。


▼関連番組 『ハートネットTV』
 2017年8月3日 WEB連動企画“チエノバ” ダブルケア
 
▼出演者インタビュー
 相馬直子×小薮基司「ケアの責任を巡る、社会的な議論が必要」

コメント

ぜひチキさんに聞いてほしい。途中障害者1級要介護5の息子を自宅で看ています。成年後見人制度についてです。 本人の財産を不正なき様に管理する ということで今国を挙げて推奨している制度。私も息子の後見人になっています。最初は管理することばかりを唱えていましたが2年目の報告から わたしを後見人から外し国で運用するから専門職後見人を15万も支払ってつける。信託せよという・・信託の後は15万も払ってすぐ解任という。力仕事は今まで通り、さらに親子なら一銭の費用も掛けず後見人としてやっているのにさまざまな費用、手数料、報酬のもとなんでかんで信託を仕向けるのにはいささか疑問です。最初にこんな説明は一切なくあたかもすでに罪を犯した人間を見るような目つきで後見制度のDVDを見ているように・・と命令された時の裁判所事務官の目つきを忘れません。こんな制度があるから 横領を働く弁護士が発生するのじゃないかなと思ってしまう。チキさん、ケアマネも後見人制度は知っていても信託せよを知っている人はいませんでした。どうも国が権力にものを言わせるようなやり方に納得がいきません。ご意見をまた、何かの機会に取り上げて欲しいテーマです。

投稿:熊谷のどろんじょ 2017年10月06日(金曜日) 20時38分