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【チエノバ】小西聖子「自責の念を持たないで」

2017年07月27日(木)

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 2017年7月6日放送
 WEB連動企画“チエノバ” 性暴力被害

ご出演の小西聖子さんに放送終了後、お話をうかがいました。

20170706_konishi.jpg《小西 聖子さんプロフィール》精神科医、武蔵野大学教授。トラウマ治療が専門。性暴力被害者の支援に取り組む。

 

―― 今回の番組では、被害を受けた当事者の方を中心に、たくさんの体験談・メッセージが寄せられました。印象に残ったカキコミはありましたか。

カキコミ板を見ていたら、性暴力を受けたことを家族が認めようとしないとか、家族に「そんなこと言わないで」と言われたなどの体験が書かれていました。それって、当事者としては、そのような反応をされること自体がショックですし、聞きたくない言葉ですよね。
親の中には、子どものケアを考える前に、自分が子どもに怒ったり自分が具合が悪くなってしまい助けにならない人もいます。一方で、そういうことを言ってしまったあと、「どうしていいか分からなくて言ってしまった」と、深く後悔する人もいるんです。親や家族との関係や、恋人との関係というのは人によってすごく違うので、周囲の反応も本当に様々です。だから、本人はものすごくショックを受ける、周りの人もなかなか受け止めきれないという実情があるんです。そういうことをお互いがちょっとでも知ると、少しは楽になる場合もあると思います。


―― 被害の経験を誰にも話すことができず、苦しい思いを抱えているという切実な声もありました。精神科医として治療を行ってらっしゃる小西さんのもとを訪れることのできた被害者と、1人で辛い思いをしている被害者との違いはどういったところにあると思われますか。

臨床で性暴力被害に遭われた方を診ていますが、それは被害を受けた人たちのごく一部なんだと思います。多くの人は来ていない。そういうところに行くことができないまま人生が変わってしまって、そのままでいる人が一番多いと思うんです。
被害の話をして、支援の体制ができあがるまでに、本人の努力がものすごくいるんですよね。そういう状況はやっぱり変えないといけないと思います。今はすごい努力をした人だけがそういう所に辿り着く状況になっています。そうじゃなくて、最初にどうしていいか分からないときに、周囲からも複数の手が差し伸べられる状況じゃないと。

簡単にはいかないんだけれども、少なくとも自責の念を持たなくていい。それで苦しめられている人が多いです。自己評価が低くなって、自分が汚いものだと思ったら、自分を守れないですよね。守る行為というのは「価値のあるもの」を守るのだから。そうすると、また性被害に遭いやすくなります。最初は、性的虐待の被害を受け、大きくなってからは性暴力、そのあとにDVの被害を受ける方もたくさんいるんですね。そういうふうに連鎖していかないように、早い時期にちゃんと回復できるようにすることが必要だと思います。


―― 被害を受けてしまった当事者が回復するためには、どうすれば良いのでしょうか。

周りの誰でもいいから、あなたが信用できる誰かに話すこと。一人で乗り切るのはすごく大変です。そして、そこから支援してくれるところにも繋がる。本人の力だけでこんな大変なことから回復するのはとても無理だし、他の誰かと2人だけでやるのもなかなか難しいです。
例えば、「性暴力被害ワンストップ支援センター(※)」という相談窓口が、最近整備されつつあります。そういうところに相談してみて、そこの支援者の力も借りる。具合が悪ければ精神科で治療も受ける。裁判をするんだったら、支援者や弁護士、そういう人の力も借りる。というふうに、たくさんの人の力を借りていくことが最短の道だと思うんです。
わりと早い時期に支援が受けられると、回復も早くなると思います。ただ、いつまでに支援を受けなきゃ悪くなるというものじゃないので、被害から何年後であっても変わっていくことができます。

※性暴力被害ワンストップ支援センター・・・性暴力の被害相談に対して、医療、心のケア、法的支援などを一つの窓口で総合的に支援する相談窓口。国は、2020年までに各都道府県で最低1カ所以上設置するよう呼びかけている。2017年6月現在、全国で38カ所。


▼関連番組 『ハートネットTV』
 2017年7月6日 WEB連動企画“チエノバ” 性暴力被害
 
出演者インタビュー
 山本潤「『私の責任じゃない』と思えることがすごく大事」
 荻上チキ「性暴力という概念を見直していく必要がある」

 

「性暴力被害」に関する情報・相談窓口
 お役立ち情報 性暴力被害
 ※相談窓口・支援機関の情報、過去の放送一覧、放送時に寄せられたみなさんからのメッセージなどをまとめています。

コメント

私の時代は、親から、「女は汚い」だの「金ばかりかかって役に立たない」「女の一番頭のいいのは、男の一番下より下」とか、言われていました。自分に価値があると思えず、自分の考えを主張すると、お前は、気が強い。いつも、親の顔色を気にして、自分の人生を意味を考えることができませんでした。20代では、自分は生きているだけで、人にめいわくをかけていると、何度も自殺未遂をしました。

投稿:さざんか 2017年09月03日(日曜日) 08時11分

しらずしらず

自己否定
強く
なっている

投稿:おこらんど 2017年08月01日(火曜日) 17時07分