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【チエノバ】柘植 雅義「自治体によって差が広がっている」

2017年06月09日(金)

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 2017年6月1日放送
 WEB連動企画“チエノバ” 障害のある子どもと学校・反響編
 
ご出演の柘植雅義さんに放送終了後、お話をうかがいました。


写真・柘植 雅義《柘植 雅義さんプロフィール》筑波大学教授。特別支援教育が専門。日本LD学会理事長。


――柘植雅義さんには5月特集の「障害のある子どもと学校」の第2回にもご出演いただきました。今回は、そのシリーズの反響編。障害のある子どもたちが抱える「学校」をめぐる課題について番組に寄せられた声を中心にお伝えいたしましたが、いかがでしたか。

5月3日放送『ハートネットTV』「障害のある子どもと学校 第2回発達障害」のときも感じたんですが、法律ができ、特別支援教育が始まり、発達障害の支援も始まっているにも関わらず、残念な事例がまだまだたくさんあることを改めて認識しました。ただ、非常にがんばっている先生や、良い授業をしている先生、障害のある児童がクラス(普通学級)に1、2人いても、彼らのことを大事にしながら、みんなのことも大事にして授業ができる先生も非常に増えているんです。だから、教員や学校、自治体によって差が広がっていることがとても残念です。いろんな法律や仕組みが整いつつあるのに、それがうまい具合に使われていない自治体もある。これから、どうしていけばいいのか、考えさせられました。


――
今後、障害のある子どもたちが望む教育を受けられるようにするために、どうしていく必要があると思いますか。


通常の学級の中でできることはたくさんあると思います。
それとは別に、小中学校には、「通級による指導」という仕組み、それから「特別支援学級」という仕組みがあるんですね。多様な仕組みをバランスよく使っていくことが理想だと思います。特別支援学級については、ほぼ全ての学校にあるぐらい増えてきたんです。ただこれも、自治体によって差があって。5、6校に1校ぐらいしか特別支援学級がありませんという自治体もまだあるんですよ。だからそのあたりの仕組みを早く整えて、多様なニーズのお子さんに多様な仕組みで応える。その体制を作り上げるということが必要なんでしょうね。


――障害のある子どもが「学校」に通って授業を受けるには、当事者の親だけではなく、通常の学級に在籍している子どもたちやその親の理解も大切になってくると思いますが、どういったことから関心を持ってもらえると思いますか。

国の調査で、公立小中学校の通常学級に通う子どもの6.5%に発達障害の可能性があるという調査があります。そうすると100人中6、7人という割合で発達障害の可能性がある子どもたちがいるんですよね。しかも、6.5%に当てはまらなかった児童は、発達障害の可能性がないのかと言ったらそうではない。人間関係の作り方や関わり方など、多かれ少なかれそういう可能性を持っていると思います。発達障害は、稀な障害ではなく、誰にでも起こりえるものなんだという認識を持てば、おのずと障害について関心が出てくるんではないでしょうか。

 

▼関連番組 『ハートネットTV』
 2017年5月2日 シリーズ障害のある子どもと学校 第1回 医療的ケア児
 2017年5月3日 シリーズ障害のある子どもと学校 第2回 発達障害
 2017年6月1日 WEB連動企画“チエノバ” 障害のある子どもと学校・反響編

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