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【チエノバ「ネット依存」】大石雅之×石徹白未亜×田中紀子「少しでも進めたら、それをよしとする」

2017年03月13日(月)

3月2日放送(3月9日再放送)
WEB連動企画“チエノバ”「ネット依存」

3月のチエノバは、現代社会に潜むネット依存について考えました。ゲストには、依存症患者の声に25年間以上向き合ってこられた大石雅之さん、依存症当事者だった田中紀子さん、石徹白未亜さんをお招きし番組を放送。生放送後、ゲストの方々に「ネット依存」について改めてお話をうかがいました!

写真・チエノバゲストスリーショット

(左)田中紀子さん  当事者やその家族の支援を行う団体の代表。自らもギャンブル依存・買い物依存を経験
(中央)大石雅之さん  依存症専門の精神科クリニック院長。様々な依存症当事者と25年以上向き合う
(右)石徹白 未亜(いとしろ・みあ)さん  5年前ネット依存を経験。当事者の取材や自身の経験を元にした記事の執筆に取り組む


――今回の“チエノバ”では、「ネット依存」について考えました。「ネット依存」は「趣味」なのか「依存」なのかの判断がつきにくいように感じましたが、そこから抜け出すためにはどうすればいいですか。


写真・依存症専門の精神科クリニック院長の大石雅之さん 大石 : もし自分が重い依存だと思ったら、短期間でもいいからネットから離れられると、冷静に考えられるようになります。やりながらだと難しい人もいる。2~3週間離れることができたら、それは非常に難しいかもしれませんが、それをきっかけに頑張れることもあります。

――具体的な治療法は、何かあるのですか。

 大石 : 1番いい治療は、集団精神療法や認知行動療法が良いといわれています。ただ、あまりやっているところが多くないので、そういう病院をさがすのに苦労されると思います。そもそも治療自体が依存症の中では1番新しいほうに入ってくるので、全国どこにでもあると言いにくいのですが、例えば「久里浜医療センター」のホームページに全国の治療機関が掲載されていますので参考にされてはいかがでしょうか。

――石徹白さんと田中さんは、「ネット依存」だった当時、どんな生活を送られていたんですか。

写真・5年前ネット依存を経験した石徹白未亜さん 石徹白 : ネットだけって感じですね。ネット以外は、ほとんどないみたいな…。とにかくネットをしていると時間だけがあっという間に過ぎていくので、それがただひたすら恐怖でしたね。一日中ネットをしていて、昼夜も逆転し、目や腰、肩など体調も悪くなっていたはずなんです。でも、毎日ネットをしていると健康的な状態がなくなってきて、それが段々普通になっていっちゃうんですね。

 田中 : 私の場合は仕事をしていたんですけど、四六時中ネットの事を考えているような状態でした。なので、仕事でのケアレスミスが多かったり、仕事中もついついネットを見てしまったりというような事をやっていたので、評価がものすごく下がっていったんですよね。

――その状態から、どうやって抜け出すことができたんでしょうか。何かきっかけがあったのでしょうか。

 石徹白 : このままじゃ生活が立ちゆかなくなると思って。私の場合は、ネット依存外来に治療には行かず、自助グループなどにも通わないで1人で、自力で依存から抜け出したんですが、そういう意味では軽度だったと思うんです。だからこそ言えると思うんですが、「依存なんだから、いい加減なんとかしろ!」と自分にハッパをかけたのが良かったんです。でも、これは万人に効く方法だとは思わないです。スマホを親に隠されたら暴力をふるってしまうくらい重度の依存の場合、自力でなんとかするのは難しいでしょう。
 ただ、「依存」の段階によって、たくさんの種類のセイフティネットがあっていいとは思いますし、「軽度」のうちにいかに手当できるかが大切だと思います。

写真・当事者やその家族の支援を行う団体の代表の田中紀子さん 田中 : 私の場合は、当事者の会に繋がっていたので、「もうダメだ」「やめよう」と思ったことがきっかけで、みんなと支え合ってやめることができました。誰かと繋がっていたことがすごく大きかったですね。今、相談を受ける身になって思うことは、ご家族がまず対処法や対応の仕方、声のかけ方を学ぶことがすごく有効だということです。ご家族が、しかりつけてしまったり、当事者をうとましく思ったり、ケンカ沙汰になったり、本当に悪循環になっちゃうんですね。また、家族もそうなんですが、当事者も少しでも前向きに一歩進めたら、それをよしとしていく。例えば10時間やっていたゲームやネットを9時間に減らせただけでも、スモールステップをクリアしたっていうふうに考えていく。それが大事じゃないかなぁと。あとは、オンラインでやっているものをオフラインにしてみる、Twitterにはまっていたら、見るだけにして書き込みはやめる。そういう少しでも超えられそうな一歩をクリアできたら、みんなで誉め合うことが大切ですね。

――最後に、この「ネット依存」、これからどうなっていくと思われますか。

 大石 私は、予防できた人と重症化した人とだんだん分かれてくるんじゃないかなと思います。だから、できるだけ予防していくことが大切。重度の「依存」は減らしたほうがいい。やっぱり予防することが大切で、他の病気と同じで、軽いうちに防御することが重要ですね。病院で治療したりするのは、最悪の状態で、できるだけ予防を中心にすべきだと思います。アルコールも昔は重い患者を病院が診たけど、今は事前に予防して重症化させない。世界中そういう流れになっています。どの病気でも予防。ネットも予防、ギャンブルも予防が大切ですね。

▼関連番組 2017年3月7日  『ハートネットTV』WEB連動企画“チエノバ” ネット依存
▼関連サイト 
【特設サイト】これって“依存症”? ―“やめたいのにやめられない”あなたへ―

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お役立ち情報】依存症・アディクション

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