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難病カフェ 第1回 疾病の種類を超えてつながる 

2017年02月27日(月)

 
Webライターの木下です。

今回から難病カフェの話題をご紹介いたします。第1回は、東京のNPO「希少難病ネットつながる」が主催するRD-Caféについてです。

 難病法の施行から2年を経て


「難病患者に対する医療等に関する法律」、いわゆる難病法が施行されたのは、2015年1月1日。それから2年が過ぎました。難病対策は、同法の施行以前は、法律に基づかない予算事業でしたが、それが法律に基づく措置となり、「医療費助成制度の確立」「調査および研究の推進」「療養生活環境整備事業の実施等」が講じられることになりました。医療費助成の対象となる指定難病は、2015年に56疾病から306疾病まで増やされ、さらに2017年4月には24疾病が追加され、330疾病になります。

そのように難病対策に関する制度改革が進み、社会的な関心も高まる中で、昨年から全国で「難病カフェ」という患者の会合が開かれ、注目を集めています。当事者の仲間づくりの会ですが、それまでの患者会とは異なり、疾病の種類を超えたつながりを求める新しい動きです。共通するテーマは「生活課題」や「社会参加」。医療の視点から語られることの多かった難病問題に関して、生活の視点から意見を出し合い、難病があってもふつうに暮らしていける社会の実現をめざしています。


 医療では解決できない生活課題


「お医者さんが、一言でいいですから、“お仕事はどうですか”とか、“ふだんの暮らし大変なことないですか”と聞いてくれたら、すごく安心できるのですが、長年病気と付き合っていますけど、そういうお医者さんに出会ったことは一度もありません」と語るのは、NPO「希少難病ネットつながる」の理事長をされている香取久之さんです。


写真・NPO「希少難病ネットつながる」理事長・香取久之さんNPO「希少難病ネットつながる」理事長・香取久之さん

難病を理解してくれる一番の専門家は医師ですが、医師には病気以外の生活上の悩みの相談やアドバイスは望めません。難病法も医療や治療に関する支援態勢を強化するものであって、難病患者のふつうの暮らしを支援をするためのものではありません。そこで、同じようなライフ・ステージ上の生活課題に直面する患者同士が、話し合っていくことの大切さがあるのだと言います。


 生きづらさを抱えた人はすべて仲間


一言に難病患者と言っても、「医療費の助成が受けられる指定難病患者」「指定難病に認定されていない難病患者」「病名が確定されないままで治療を続ける難病患者」など、置かれている状況はさまざまです。医療や制度によって難病患者が分断されている状況に疑問をもった香取さんは、患者会に価値を認めながらも、病名を超えたつながりを生み出したいと思いました。さらには、長期にわたる治療を必要とする難病以外の患者、障害者、生活困窮者にまで枠を広げて、共通する生活課題をもつ人が支え合う新しい連携のあり方を模索しています。

香取さん自身は、アイザック症候群という希少難病の疑いに加えて、他にも筋痛脳脊髄炎(慢性疲労症候群)など4つの難病の疑いがあり、体中の痛みに耐えながらの生活を長年続けてきました。医者から病名を告げられたのは、発症から17年経った34歳のとき。それまでは医者にさえ症状を理解されない孤独感、病名が決まらないための不便さや苦しさを味わってきました。2年前に現在のNPOを設立し、難病・障害当事者専用SNSサイトを立ち上げ、啓発活動を続けるとともに、毎月新宿のフリースペースを借りて、RD―Caféという交流会を開いています。

NPO「希少難病ネットつながる」のキーワードは「つながり 寄り添い 支え合い 共生する」です。香取さんは「生きづらさを抱えた人はすべて仲間と思っています」と話します。

 

木下真

▼関連ブログ

 難病カフェ 全4回
 第1回 疾病の種類を超えてつながる
 第2回 生活課題でつながる
 第3回 難病をオープンにして暮らせる社会を
 
第4回 難病患者のイメージを明るくしたい


 2016年 3月17日 世界希少・難治性疾患の日:難病であっても幸せな自分がいる
 2015年11月16日 難病の診断が適切にできるネットワークを構築したい(前・後編)
 2015年11月 2日 海外
の患者と手をつなぎ、希少難病に立ち向かう(前・後編)
 2014年 2月21日 
日本の「難病対策」どうなっている?~前編・医療費助成~


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 お役立ち情報】難病

コメント

初めまして!僕は重度の多発性硬化症の視神経脊髄炎と言う病気ですが半年近く入院をしていました。車いす生活を余技されそうでしたが、持ち前の根性で自立して歩くことが出来るまでに回復しました!毎日毎日のリハビリ約5時間やってました!その間にはやはり痛みがいたく思うように行かないときはもう辞めようと思ったときは凄くありましたが、なにくそと思いながら毎日毎日リハビリを続けてようやく歩けるようになりました。
でも私を待っていたのは就職活動です。ハローワークやら生活困窮者の所に頼み込んだ物の職場を提供して下さいと頼んでも調べもせずに一般の企業から面接受けて下さいとのことでした!
どんだけ不利なのかわかってない職員が多すぎです。気力がありません。

投稿:ベジータ 2017年05月24日(水曜日) 00時45分

障がい雇用があるなら
難病雇用もしてほしいです笑

ご活躍応援してます

投稿:カナ 2017年03月02日(木曜日) 21時04分

初めまして、よよと申します。
今は福祉の仕事を、しながら福祉の勉強をし難病ともに暮らして居ます。
難病カフェが、有るなんて知りませんでした。
とても、心強く感じました。

今やっと病気のことを職場が理解して
働き方の改善をしてくれてると言ってくれました。

一番辛い時は、本当に薬の副作用に悩まされながら、同じ仕事を続けないと生活が出来ないという事でした。

これからのご活躍、期待します。

投稿:よよ 2017年03月01日(水曜日) 15時41分