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【福祉の『ヤバい』テクノロジー!】未来を変えてくれる予感がするパーソナルモビリティ

2015年02月06日(金)

こんにちは、ウェブ編集やライターをしている大野です。

昨年NHKの方と打ち合わせていた時に出てきた「超福祉」というイベントの話題。僕は行けなかったのですが、そこで展示されていた製品の話を聞いていると、今までの福祉のイメージを崩してくれるような目を引くデザインと機能性を併せ持つプロダクトが目に付きました。

「このプロダクトたちを取材するのありなんじゃないっすか?」と、言ったかどうか僕自身覚えていませんが、気づけば連載企画になっていたのでその第1回目をお送りしたいと思います。

第1回目はDesign your own roadをコピーに掲げる車椅子のベンチャー企業「WHILL」さんです。こちらは車椅子というものを一歩進めた新たな福祉機器を販売する会社。開発した製品は、車椅子ではなく「パーソナルモビリティ」と呼んでおり、今までの福祉とは違う視点から製品を展開しています。

こちらの製品は一見すると車椅子とは思えないクールな印象を持ったのですが、それもそのはず。ブルートゥース(Bluetooth)でスマートフォンと接続して操作ができたり、走破性・デザイン性が高く、今までの「車椅子」とは全くの別モノです。

このパーソナルモビリティを取材してきましたので、写真とともにどうぞご覧ください。


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こちらの会社は横浜市の産学共同研究センターに居を構えています。産学協同研究センターは、研究者の多様な開発ニーズに応えるため、大規模な実験空間を持つ実験棟と、小中規模の研究空間をはじめ、会議室や交流サロンを持つ研究棟とで構成されている施設です。

写真に写っているのは、そんなパーソナルモビリティを清掃中の営業・マーケティング本部長の樋口康記さん。今回お話を聞かせてもらった方です。


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ドアを開けると試作機が大量にあるフロアがあります。製造メーカーという感じです。


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笑顔がナイスガイの樋口さん。


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まずこの会社の生い立ちからお話を聞いてみました。


樋口さん:創業メンバーが週末活動といった形で物作りをしていた中で、車椅子の方から「100m先のコンビニへ行くのを諦める」という「ユーザーの声」を聞いて、それを解決するものを作り始めたのが原型です。

外出を諦める時の課題としては大きく二つあり、一つは車椅子だと人の目が気になってしまうという精神面の課題。もう一つは車椅子の持つ性能から、健常者の方はほとんど気にしないであろう歩道の段差を乗り越えづらいという物理的な課題です。。この二つを解決するためにはどうしたらいいだろうかという一つの解として「パーソナルモビリティ」が生まれました。

「パーソナルモビリティ」開発のチャレンジの一つとして、外出したくなるデザインを制作するということが一つあげられます。そして、段差を乗り越えられるような走破性を高めるということです。車椅子にはキャスター式のタイヤが搭載されていることが多く、この形状は小回りがきくんですが、走破性に欠けるという面があるんです。ですので、タイヤの形状を変えて、小回りがきき回転性能が高く走破性も疎かにしないというのが我々のチャレンジです。

商品の特徴としては3つあります。まず既存の車椅子とはちょっと違う乗ってみたくなるデザイン。オムニホイールと4WDを採用した走破性。そしてソフトウェアです。

ソフトウェアではブルートゥースと連携させることで速度設定や遠隔操作ができます。初期状態では速度は2,4,6kmという設定がされているんですが、人によっては最適なスピードが1,2,3kmという人もいるかもしれないということで、スマートフォンから速度設定ができます。


筆者:こちらの製品は何カ国で展開しているんでしょう?

樋口さん:日米で展開しています。アメリカは日本の15倍ほど大きい車椅子の市場があるので、我々は世界での販売を念頭に置いて活動していることもあり、シリコンバレーにオフィスを持っています。製造は台湾で、開発は日本で行っています。

筆者:買われるユーザーさんはどれくらいの年齢層の方が多いんでしょうか?

樋口さん:日本ではご高齢の方がいらっしゃいます。ご自身で購入しようと考えられる方もいらっしゃれば、ご家族の方がプレゼントしようという方もいらっしゃいます。

筆者:価格が100万円近いんですが、車椅子では高価格に分類されますよね。それでも買われる方は走破性に期待されてる方が多いということなんでしょうか?

樋口さん:そうですね。やはりご自身の環境(段差や道の障壁の問題)に合わせて買われる方が多いです。車椅子はそれぞれユーザーの方が求められる機能が違うので、各社さん多様な選択肢がある中で、我々のものを選んでいただくという形です。

 


ここから実機を見てみましょう。

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こちらが「パーソナルモビリティ」WHILL Model Aです。

一目見た時から感じていたことですが、外見上のデザインは他に類を見ない独特な形状をしており、どこか未来漫画から登場してきたのではないかと言えるそのルックスは、自然と印象に残るものとなっています。


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スマートフォンで遠隔操作をしてもらいました。ブルートゥースで接続も早く、動作良好。


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こちらが特徴の一つオムニホイール。一つのタイヤにつき24個のオムニホイールで構成されているタイヤは、これらのホイールが一つ一つ横に回転することで、小回りが効くよう回転性能を高めています。このオムニホイールにより、直感的で自由自在に操作することができるようになっているんです。


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気になる走破性ですが、パーソナルモビリティの持つ4WD駆動システムで、雪道や砂利道などを走れてしまうほどパワフル。その様子は動画公開サイトなどにもアップされていますので、ぜひ探してみてください!



両親の年齢や、自分自身の将来を考えると、こうしたパーソナルモビリティに助けられる未来は近いんだろうなと思わされる取材でした。また、こういった企業が日本発で誕生したことに勇気づけられるとともに、応援したくなります。これからも頑張って欲しいです。
 

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