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【全英連 第8回 全国高等学校英語スピーチコンテスト】一ノ瀬メイ選手動画

2015年03月26日(木)

WEB連動企画“チエノバ、の中で紹介した、一ノ瀬メイ選手のスピーチ動画はこちらです。
2020年・東京パラリンピックへの想いも詰まった内容、是非ご覧いただければと思います。

全英連 第8回 全国高等学校英語スピーチコンテスト


◆和訳
「障害って何?」
紫野高校 一ノ瀬 メイ


 私の腕は短いです。あなたは,私をどう呼びますか?ほとんどの人は「障害者」,つまり「障害を持っている人」と言うでしょう。生まれたときから私はそう呼ばれてきました。しかし,なぜそのように呼ばれなければならないのでしょうか?多くの人は,心身の機能が損なわれている(機能障害)人は「障害を持っている」と思っています。でもそれは違うと思います。たとえば,私の腕は短いけれど,これは私にとって「障害」ではありません。勉強もできるし,自転車にも乗れます。泳ぐことも,髪を完璧に結ぶこともできます。私はなんでも自分でできます。ではなぜ私が,「障害を持っている人」と言われなければならないのでしょうか。なんでもできるのに!

 イギリスでは,心身の機能が損なわれている人を”disabled person”(できなくさせられた人)といいます。私はイギリスで,2つの障害のモデルがあることを知りました。「個人モデル」と「社会モデル」です。「個人モデル」はその人の「障害」の問題を個人的な能力の問題だとする考え方です。「個人モデル」の考え方は広く知られていると思います。しかし「社会モデル」はどうでしょうか?多くの人は,聞いたことがないのではないでしょうか。しかし,私は「社会モデル」を知ることはとても大切だと思います。それは,「障害」に対する理解をより深めることになると思うからです。

 「社会モデル」はイギリスではよく知られるようになってきている考え方で,障害を生むのは個人の機能的な問題ではなく,社会がその障害を作り出しているのだ,という考えです。では,社会が障害を作り出すとはどういうことでしょう。例えば外国に行ったとき,言葉が通じずに不自由を感じたことはありませんか?そんなときにあなたは,その社会で能力的に「障害を持つ」こととなるのです。眼鏡やコンタクトレンズをつけている人が,そういった発明品のない社会で暮らせば,障害を持つことになります。また,そこに段差や階段がなければ,車いすを使う人は能力に「障害をもつ」ことにはならないのです。私は「社会モデル」の考え方に同意します。「社会」とは何か?それは人です。私たちが障害を作り出している張本人なのかもしれないのです。


 初めに述べましたが,私はなんでも自分でできます。しかし,私には「障害を持たされている」と感じるときがあります。私のことを他の人がじろじろと見るときや,私のことをよく知らないで「障害者」だと決めつけられたとき,私は自分のことを「障害者」なのだと感じます。9歳のとき,競泳クラスに入るためスイミングクラブに行きました。しかしそのクラスに入ることはできませんでした。障害者のために設けられた特別なクラスにしか入ることはできない,と言われたのです。私の短い腕を見ただけで,実際には泳げるのに,ほかの人たちと同じようには泳げないだろうと決めつけられてしまったのです。私はそのとき,生まれて初めて障害者であることを認識させられました。そのスイミングクラブが私を障害者にしたのです。現在,私は競泳の選手をしています。韓国のインチョンで開催されたパラリンピックアジア大会にも出場して,先日帰国しました。その大会では,銀メダルを2つと銅メダル2つを獲得することができました。だからもし,あなたが泳げなければ,私がその方法を教えて差し上げます。そうすれば,あなたは海の中での「障害者」ではなくなります。

 私は2020年東京パラリンピックに選手として参加することを目指しています。その大会が,大きな成功をおさめることを願っています。ご存知のとおり,パラリンピックロンドン大会は素晴らしい大会でしたが,私はそれは障害者でない人達の理解によってもたらされた成功だったと思っています。どれだけの障害者でない人が,「障害者」を真に理解するでしょうか?このことが,東京パラリンピックが2012年のロンドン大会と同じように大きな成功を収めることができるかどうかの,とても大切な要素だと思います。


 みなさんが「社会モデル」について理解し,「障害者」の定義を新しい視点で見ていただければと思います。2020年まであと5年しかありませんが,このとらえ方が広まることを願います。大切なことは,よく知らないで人を判断しないこと,人はみんなそれぞれ違っていて,特別であることを理解することです。社会が障害者を作るなら,その社会が障害者をなくすこともできるはずです。

<disability 活動能力が制限されている「能力障害」>
<impairment 心身の機能が損なわれている「機能障害」>



◆原文(English)

The Disabled

I have a short arm. How would you describe me? I think most of you would call me a “障害者”. Which means “a person with a disability”.  I have always been called this since I was born. But why do I have to be called that? I think many people think a person with an impairment is a person with a disability. But I think this is wrong. For example, my impairment is my short arm but this is not my disability. I can study, I can ride a bike, I can swim, and I can tie my hair perfectly, I can do anything by myself. Then, why do I have to be called “a person with disability”? I am completely able!!

In England, a person with an impairment is called a “disabled person”. There I came to know that there are mainly two disability models: the "individual model" and the "social model". The "individual model" locates the 'problem' of a disability within the individual. I think most of you are familiar with the idea of the "individual model", but how about the "social model"? I think many of you haven't heard of it before, but I believe it's very important to know about it as it will help you better understand what a "disability" is. The "social model" is an idea that is starting to become popular in England and is based on the idea that it is society that makes people disabled and not their impairments.  You might wonder how a society makes someone disabled. But please think about it.  Have you ever been to a foreign country and couldn’t make yourself understood? Then you were “disabled” in that society. Those who are wearing glasses or contact lenses, you would have been disabled without those inventions. And if there weren’t any stairs or steps, a person on a wheelchair would not be “disabled”. I agree with the idea of the "social model". So, what exactly is "society"? It's people. That means we may be the one to create disabilities.


As I said at the beginning, I can do anything by myself. But there are some things which make me feel disabled. I feel disabled when people stare at me, when people label me as disabled without knowing me. When I was nine years old, I went to a swimming club to join a swimming class for racing but they didn't allow me to join the class. They said I could only join the class specially set for the disabled. They just saw my short arm and thought I couldn't swim like everyone else when I actually could. That was when I felt disabled for the first time in my life. The swimming club made me disabled.

    Now I'm a swimmer and I recently came back from the Asian Para Games held in Incheon. I won two silver and two bronze medals. So if you are not able to swim, I can teach you how, then you will no longer be "disabled" in the sea.

   I am aiming to take part in the Tokyo 2020 Paralympic Games and I hope this game will be a great success. As you know, the London 2012 was an amazing success. I think this was brought by the non-disabled people's understanding of Paralympic athletes. How many non-disabled will be a real advocate for "SHOUGAISHA"? I think this will be a very important factor for Tokyo 2020 to have the kind of success London 2012 had.

  I hope you came to understand the idea of the "social model" and start to look at disability from a new perspective. So with only 5 years left until Tokyo 2020, I hope this idea spreads.  I think the important thing is not to judge people without knowing them and try to know and to accept that everyone is deferent and special in their own way. If society is the one that's making people disabled, society can also be the one to stop making them disabled.
 

コメント

深いいで見ました!!
頑張ってる姿に元気をもらいました。

これからも頑張ってください(^-^)

投稿:おとは 2016年12月01日(木曜日) 21時01分

深いイイ話でいってたみたいに検索してみました。笑笑


ほんとに尊敬してます。
頑張ってください‼

投稿:かなかな 2016年11月28日(月曜日) 22時28分

Ms. Ichinose,

Thank you for your speech. I was born very similar to you. I have a shorter left arm. My biggest troubles in my 50 years have not been my short arm but people. People and their stereotypes and misunderstandings often disenabled me. I've lived in Japan for 15 years and I'm working hard to change people's views. I love swimming too. I can swim faster with one arm than some people with two. I can play basketball with one arm than some people with two arms. Thank you Ms. Ichinose. I'm on your side. Sincerely, -Gavin

投稿:Gavin 2016年09月15日(木曜日) 22時12分

いよいよ、リオのパラリンピックも迫って来ました。頑張ってください。多少は緊張もするでしょうが、応援しています。頑張れ、一ノ瀬メイ!!

投稿:masa 2016年09月04日(日曜日) 04時31分

ニュースを拝見しました。私も右手に先天性の障害を持って産まれました。
最近まで自分のこの右手は障害では無いと、私も思っていました。
ただ、社会に出てみると、私は障害者何だと思い知らされる事ばかりで
一ノ瀬選手のこのスピーチは本当に胸を打たれました。


何処か普通の人より足りなく産まれてきたとしても、努力次第で自転車や自動車を運転したり、料理を作ったり、縄跳びをしたり、髪を結んだりと、出来る事を増やす事が可能なんです。
社会では、右手を見て様々な反応があります。物珍しく見てくる人や、助けてくれる人。また、遠巻きにこそこそと話をしていたりと、本当に色々です。それらに傷つく事もありますが、今日、このスピーチと、素晴らしい考えを世に訴えて下さった、一ノ瀬選手を知る事が出来て良かったです。


勇気と感動を有難うございました。上手くお伝えする事は出来ていないかと思いますが、コメントさせて頂きました。

投稿:一ノ瀬選手のスピーチに胸を打たれた 2016年08月13日(土曜日) 23時25分

とても心に残りました

投稿:YDK 2016年06月11日(土曜日) 19時21分

リオオリンピック、応援しています!

投稿:干支ひつじ 2016年05月15日(日曜日) 00時40分

今日NHK の番組見て感動しました、リオデジャネイロパラリンピックでは是非活躍してほしいです、今後私達も一緒に応援していきたいと思います、

投稿:えいちん 2016年04月05日(火曜日) 19時01分

本日、ニュース番組everyで観ました。
私は、見た目は普通ですが、持病を沢山抱えています。
例えば、平行感覚が鈍っていて部屋の中でもよく倒れたりするので、
駅の階段を下りるのが怖いのですが、エレベーターに乗るのは、大きな荷物がある以外は乗らないようにしています。お年寄りばかりで、冷ややかな視線を感じるからです。でも、高裸眼だと目の前の物さえボヤけてあまり見えません。抵抗力や免疫力も低い為、今まで、自分にはこれはできないと諦めてきた事が沢山あります。高校生などお若い人が堂々とエレベーターや優先席を使用していたりすると
マタニティーマークが作られたように私みたいな持病の人のストラップができたらいいなと思っていました。
でも、もっとできることはあったはずだと改めて思いました。
結局、現実から逃げてばかりで夢や目標をもって努力したことがなかったのです。
メイさんは、毎日の厳しい練習さえも成長している自分に手応えを感じている様子で、感動しました。
メイさんのお人柄もとても素敵な笑顔の中に沢山溢れています。
パラリンピックが今から楽しみになりました。
ずっと応援しています!

投稿:みっちょん  2015年07月15日(水曜日) 18時04分

とても 素晴らしい内容の文章だと思います。
是非 日本語で日本の方々に発表され 理解を求めるべきではないでしょうか?

投稿:匿名 2015年04月16日(木曜日) 08時39分

一ノ瀬さんの英語スピーチ、素晴らしいの一言です。
リオや東京でのパラリンピック大会、頑張ってくださいね。

投稿:みっちゃん 2015年03月27日(金曜日) 10時54分

数年前からパラリンピックを応援支持している者です。

一ノ瀬さんのスピーチを聞き「社会モデル」、つまり障害者を作り出してしまう社会の構造やあり方など、改めて考えさせられました。

一ノ瀬さんのように声を上げる人がいるからこそ、自分たちも考える機会を得ることができるわけで、すごくありがたいことだと思っています。

リオパラリンピックを目指して、まずは世界選手権がんばってください。応援してます。

投稿:勇介 2015年03月26日(木曜日) 23時13分