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【出演者インタビュー】村尾政樹さん「子どもを取り巻く環境が貧困状態にある」

2017年01月18日(水)

1月23日放送(1月30日再放送)
ブレイクスルー File.68 自分たちの声で社会を変える―子どもの貧困対策NPO村尾政樹―

出演者の村尾政樹さんからのメッセージ

写真・村尾政樹さん――スタジオ収録に参加した感想をお聞かせ下さい。

スタジオ収録は、とても貴重な機会となり、皆様に心から感謝しています。多くのスタッフが番組に関わっていることを改めて感じることができました。AIさんや風間さんともお話させていただくことで、もっと色んな人に社会課題を伝えていきたいなと思いました。お二人とは、また是非ゆっくりお話をしてみたいです。

――この記事や番組で「子どもの貧困」を知って考える時に「大切なこと」はありますか。

現代の「子どもの貧困」は見えづらいからこそ、先ずは子どもに寄り添う姿勢を大切にしてほしいです。子ども自身も『なんか、しんどい』と、あいまいな困りごとを抱えている場合も少なくありません。子どもの困りごとやしんどさの「苦労具合」を簡単に大人(自分)の目線で比較や選別せずに、寄り添って考えることが必要です。

――子どもの貧困の当事者と、村尾さんが経験された人生で共通点があるとしたらどんな所ですか。

小学校6年生のときに母親を自殺で亡くしてから、私は痛みや悲しみの感情を抑えて歯を食いしばりながら生きてきました。周りに「弱いところを見せてはいけない」という気持ちは、子どもが困ったときに「(誰かを頼りたいけど)頼ってはいけない」という気持ちと共通しているような気がします。誰にも甘えられず、頼ることができずに育つ経験は、自立ではなく孤立を生み出します。そっと寄り添ってくれる人の存在は、全ての子どもに必要だと自分の経験からも振り返って思います。

――この番組をとおして一番伝えたいことは何ですか。

「子どもの貧困」は、子どもが貧困なのではなく、子どもを取り巻く環境や支える人が貧困状態にある問題だということです。子どもは未来ある「豊かな存在」で、子どもに必要なのは「あきらめない力」よりも「あきらめずに済む環境」です。子どもや若者が伝えようとする想いを「課題を抱える彼らの問題」ではなく「私たち社会の問題」として受け止め、問題解決へ向けた理解が広がることを切に願っています。

――これから、子どもの貧困対策として力を入れたい事を教えてください。

子どもの貧困対策は「子どもの貧困」の解決だけでなく、次の社会をつくる作業だと考えています。今までの児童扶養手当拡充や給付型奨学金創設など一つ一つの制度を更に充実させるとともに、総合的に次の社会を考えてより良くしていく必要があります。子どもをはじめとした一人ひとりに寄り添い、その人の「生きる」が大切にされる社会を目指して、これからも子どもや若者たちとともに想いを社会に伝えていきたいです。

――最後に、VTRで料理をされていましたが、おいしいカレーを作るコツは?(笑)

最後に少しだけインスタントコーヒーを入れ混ぜると、味に深みがでます(笑)
隠し味を加えることで食材の風味を引き出すことは、子どもの成長とつながることもあるのかも。例えば、私が母親を亡くしてから運動会の前に友達のお母さんが「つくるのはひとつもふたつも一緒だから」とお弁当を用意してくれました。夕食を買いに弁当屋に行ったときも働いていた近所のおばちゃんがこっそり唐揚げを追加で入れてくれました。大きな出来事ではなくても、目立たなくても、小さな支えの「隠し味」が子どもの成長にとって良い味を引き出すのかもしれません。

コメント

しなくてもいいような努力を次の世代のこどもたちにさせない、この気持はすごく理解できます。ですのでできることを可能な限りすることはとても大事だと思います。それが何らかの不条理なことを改善していけるなら。でも、それだけではないと思います。どんな道でも切り開いていけます。経済的な支援よりも精神面の支援のほうが必要だと考えます。どんな道も容易ではないから、たとえ希望を叶えることができてもその意志を維持できる人が多くないのも事実ではないでしょうか。大学を出ていなくても、進める道はあります。時代も国もそれこそ貧困の現実も全く違う現実を受け入れて幸福な人生(それはお金持ちになることかもしれないし、精神的な幸せを手に入れることかもしれません)を手にできます。これも理解した上で、奨学金制度も浸透するよう教育、改善して、奨学金を受けた方は必ず返還してほしいです。この村尾さんの試みが何らかの甘えにはなってほしくない、この活動を誠実に受け止めるだけの精神的な教育がむしろ大事です。

投稿:Tee 2017年11月20日(月曜日) 20時38分

家庭の事情で高校や大学への進学が厳しい状況にある若い方々が多く存在するということを改めて認識することができました。その中で村尾様始め多くの方々が努力されて、1人でも若者の進学を支えるべく尽力されている姿に打たれました。こうしたすばらしい活動を取材し、知らせてくれるNHKの企画に心から感謝申し上げます。私もささやかですが、支援者の1人となるつもりです。

投稿:秀雄 2017年01月23日(月曜日) 21時23分

子ども達を、大人の基準で勝手に決めつけず、寄り添う事で取り巻く環境を理解する事の大切さを、今さらながら感じました。

投稿:和人 2017年01月23日(月曜日) 20時52分