本文へジャンプ

【大会9日目】アルペン元オリンピック日本代表・川端絵美さんに聞く。

2014年03月18日(火)

大会2日目の放送を終え、
解説いただいた川端絵美さんにお話を伺いました。


競技が全て終わって、いかがでしょうか?
長野パラリンピックが終わってオールラウンダーを育てようっていうアルペンチームの作戦としては、すごくいい状態で強化が出来ましたね。トリノ、ソルトレイク、バンクーバーの3大会できっちりと本当に上位に来れる力のある選手を育ててきたなっていうのが印象です。実際に今回活躍している選手っていうのは長野大会を見ていたときに多分人生の“どん底”にいたと思うんですよね。そこからこういう楽しみがあるんだっていうのを見いだした選手達がいることの嬉しさと、本当に表彰台独占できたであろう状況だった事は、日本チームとしては嬉しい話だったのかなって。
ただ途中で天候が崩れて、種目の順番が変わったり雪質がまた大幅に変わった事によって、メダルが大量生産出来たはずの種目で取れなかったっていうのは、残念といえば残念ですが。でも全体としては非常にいい結果だったのかなって思いますね。

0316_kawabata001.jpg


すごく難しいですね。
そうですね。でもあの「切って滑る」ようなチェアスキーの技術っていうのは、森井大輝選手が始めた滑りですよね。それまではどちらかというとチェアは「ずらしていく」イメージが強かったと思うんですけれど。それを見た後輩たちが自分の得意な種目でメダルを取ったのもそうですが、やっぱり彼が引っ張っていったのが大きいかと。でも彼にも金メダルを取らせたかったっていうのが正直なところでしょうね。

悔しいですね。
あとは立位の方がもっともっと若い選手が出てくると嬉しいなと思うところです。

三澤拓選手が実力を出し切れずに終わったのは寂しかったなという感じがしました。
ただ今回のコース設定なんかを見るとやっぱり片足というのはすごく大きなハンディになってきているレース状況の作り方かなっていう気もします。

皆川賢太郎さんともお話をしたんですけれど、3月っていうとちょっとパラリンピックをやる時期が遅すぎるのではないかと。もうちょい時期が早く上がらないかなって・・・。
そうですね。あとは私個人としては、今回雪質が悪いんですけれど、寒かった場合に病気から来ているハンディを負っている人には非常に厳しい状況に陥ると思うんですよね。それを考えると多少天候が暖かくなってきた時期にというところも。ソチはオリンピック自体のコースがもうすでに春でしたから・・・。終わってすぐ出来れば1番本当はいいんでしょうけれどね。


0316_kawabata002.JPG
左から、山田アナ、アルペン元オリンピック日本代表・川端絵美さん、
クロスカントリー元オリンピック日本代表・夏見円さん



男子は今20代の選手と、森井選手が真ん中にいて、40代の選手といいバランスを作ったチームだったと思うのですが?
いろんな意味で若い子が苦しんでいるところに、ベテランのおじさんたちが「まぁいろいろあるんだよ」っていうところとか。そういうチームワークの意味としては良かったんじゃないんですか?全体的にバランスが取れて。これからベテラン勢が辞めてまた若い選手になってくると、今度は森井選手にすごく負担がかかってくると思うので、また一からでしょうね。


本当に表彰台独占を狙えるチームになってきているっていうのが森井選手の功績だと思います。鈴木猛史選手は回転などの技術系で、狩野亮選手は滑降などの高速系でっていうスペシャリストも出て来ているっていうのが非常にいいですよね。
いいですね。アルペンを普通のオリンピックを見ているより興奮しましたね。私の種目には今、誰もいませんからね。そういう意味では何か一緒にも練習した事がある、見てきた人たちを見るというのはやっぱり嬉しいですよね。あとは女子がベテラン勢が抜けたあとがやっぱり差があるので。これから女子の強化がどうなっていくかっていうところですね。過酷の中に飛び込んでくる選手がいるのかっていう。


今回、若い高校生の女子選手も出て来て、森井選手も狩野選手も鈴木選手も妹というよりは娘のようにかわいがっているという風には聞いていて。・・・ターンも伝授しているっていう事なので、本当に受け継いでほしい。と同時にスキー場のコンディション。女子の選手が入りやすいコンディションになって欲しいなと思いますけれどね。
男子と同じセッティングでは厳しかったですね。スタート位置も一緒ですしね。


ある種バリアフリーの面に関しても、男子選手でもオムツをはいてやらなきゃいけない場合もあって。女子選手も同じ環境にあって、年頃の女の子がそれに抵抗を持つっていうのは多分あると思うんですよね。だからちょっとでも環境がよく滑れる事が出来るといいなっていう風に思います。
どんどんパラリンピックが大きく取り上げられるようになってきて、方向性が変わってきていると思います。スキーだけではなくて、いろんな事でそういう状況になったり、それがパラリンピックという最終目標じゃなくても、趣味でもどんどん出来るよっていうところを知ってもらえると嬉しいですね。


皆川賢太郎さんもおっしゃっていたのですが、鈴木選手の「逆手の技術」っていうのはとても常識的には考えられないような動きをしていて、オリンピアンも勉強になるところがあるんじゃないかっていう事もおっしゃっていました。パラリンピアンのナショナルチーム、オリンピアンのナショナルチームじゃなくて、お互いに切磋琢磨できるような環境ができるといいなと。
いろんな意味で若い子たちは知った方がいいですね。ただ競技をやっているだけじゃなくて、そこに立つまでにどんなことをしてきたかという事を踏まえた上で同じ競技が出来たら、(健常者である)自分がやっている事は本当にちっぽけな事だと思うんですよね。日常生活で何の苦労もしていないわけですから。そういうところを知った上でやるっていうのは強くなると思うんです。だからもっと一緒に出来るチャンスがあればいいと思います。私はキャンプにそういう方が来たら一緒に滑ってもらうんです。それを見て自分が奮起する気持ちも必要だと思うので、もっともっと身近でね、関われるような環境になってくるといいなと思いますね。

 

◆シリーズ ソチパラリンピック
3/20(木)夜8時、熱戦の舞台裏を生放送!


 

過去放送
(1)目指せ!“ぶっちぎりの速さ” ―アルペンスキー 狩野亮―
(2)攻めてつかめ!まだ見ぬ“金” ―アルペンスキー 鈴木猛史―
(3)究極の走りへ!最強ロシアに挑む ―ノルディックスキー 久保恒造―
(4)ただひたむきに 前へ ―ノルディックスキー 出来島桃子―

コメント

※コメントはありません